三者三葉 #07「十円足りない」これぞまさしく合縁奇縁。
こうして始まる友達関係もあるのですね。



食欲の秋シーズンに食べ物の恨みから紡がれていく人間関係。双葉を敵視する辻兄妹の登場回。数々の飲食店で大食い記録を打ち立てている双葉を、主に兄の一芽がライバル視して突っかかるのが発端となって、今回の騒動は始まっていたのですが、面白かったのは「怒り」や「嫌い」といったマイナス方面の感情を切っ掛けに、間接的に人間関係が構築されていったことではないかと思いました。
例えば兄のことが大好きな妹の小芽は、一芽が双葉を敵視さえしていなければ、そもそも彼女に興味を持つことすらないわけです。兄が敵視しているから双葉を悪者と決め込み、そうして彼女と接触を謀って難癖をつけることによって、葉子様から呼び出しを食らうはめになる。双葉を介して間接的に密かに憧れていた葉子様と関わりを持つことが出来たわけですね。
葉子様にしても似たような事が言えると思います。この時期になるまで同じクラスの小芽の名前すら知らない時点で、葉子様にとって彼女は好き嫌い以前に無関心の存在なわけです。それが「友達の双葉さんに失礼な振る舞いをする子」という意識付けがされることで憤り、良くも悪くも葉子様の興味の範疇に入ってくる。双葉を介し、なおかつマイナス感情が接触の契機になっている。
片や憧れ片や無関心。このままでは進展のしようもなかったわけですが、切っ掛けが間接的とはいえ一度繋がったことで、小芽も葉子様も互いの動向を気にかけるようになる。そうすることで互いに本当の相手の人となりを知り、誰かを介して見た第一印象ではない自分の目で見た印象で相手を推し量っていく。そうすることで少しずつ近づき、対等になっていけるのではないかと思うわけです。
よく好きの反対は嫌いではなく無関心なんて聞きますけどそれは置いとくとして。本当にどうでもいい存在なら葉子様のように無関心で意識にすら入ってこないわけです。嫌っているということは即ち相手を意識していることの表れでもあり、辻兄妹や西山さんは思いはどうあれ相手を気にかけずにはいられない。興味を持ち繋がる切っ掛けになるのは、好印象のみならず悪印象の場合もあるというお話。
始まりはどうあれこういう形で交友の輪が広がることもあるのですよね。葉子様が見た目通りのお嬢ではないことを知り、小芽が勇気を出して踏み出したことで変化し始めた両者の関係。その思いが届いたのも彼女が葉子様にとって無関心ではなく意識の内側に入ったからこそだと思います。まだハッキリ友達とは言えないかもしれないけど、クラスの中で話が出来る相手が出来たのは葉子様にとっては大きな前進。
それは葉子様と友達の双葉と照にとってもそうなのでしょう。彼女のクラス内での交友をさり気なく気にかけていた二人だからこそ、窓越しに見える光景に微笑む姿が堪らないのです。理不尽な物言いから始まったとは思えないくらいの心温まるエピソードでニマニマしてしまいました。山路や薗部の気持ちがまた少し分かったような気もする。


好き嫌いを考えさせられた回で特に「嫌い」が中心にあった気もする本編でしたが、逆に双葉さんの食べ物に対する「好き」という気持ちは終始一貫していて天晴れなのです。これぞまさしく愛ですね、愛。例え出禁にされようと周りで騒がれようともその気持ちが揺らぐことはない。どこまでも食べ物と真摯に向き合う姿勢に感服せざるを得ないのです。
好きこそものの上手なれですけど、そんな双葉ちゃんだから意味のない早食いもしないし料理の微細な変化にも気づける。嫌いから生じる関心もあるけど逆に好きだからこそ生じる関心もある。今は人間的にも食べ物への愛も双葉ちゃんが遙かに上回っているのでアレですが、いつか一芽ともわかり合える日が来るといいですね。大好きな食べ物を美味しそうに食べてる双葉ちゃんを見ているだけで幸せな気分に浸れる。
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まずは葉子様に新しい友達ができてよかったですね。
双葉や葉山とも仲良くなってほしいですね~。
兄のほうはなんだったんだ・・・?
追記:ごちうさの新作スペシャルアニメ制作決定しましたね。