三者三葉 #10「鶏肉とケーキを食べまくる日」三人が友達になってから初めて迎える年末年始。
一緒に過ごすことで今までとは違う特別になる。



ある出来事に対して三人が一緒に取り組むことにより、バラバラだったはずの認識が三人一致の共通のものへと変遷していく年末年始のエピソード。今回は折に触れてまずある出来事や物事に対して各人が抱いているバラバラの印象や認識が描かれている。その例としてクリスマス、雪の降る日の過ごし方、パジャマパーティー、餅つきなどが挙げられるかなと思います。
まず前半のクリスマスエピソードですが、これはもう分かりやすすぎるくらい皆の印象がバラバラです。クリスマスツリーを見て双葉は「鶏肉とケーキを食べまくる日のクリスマス」を連想し、葉子様は「暖房費にお金のかかる季節の到来」を連想する。個人的な事情が絡む照は「自分の誕生日を覆い隠し併せて行われるいつものクリスマス」を連想します。
皆がソワソワして大好きという西山さんも含めて、しかしそれらが照の誕生日という事実が知れ渡ることで一変する。特に双葉と葉子様は顕著で、もう彼女たちにとってはクリスマスよりも照の誕生日の方がメインとなり塗り変わる。照にしても数年ぶりに友達に祝って貰えた誕生日になる。そしてクリスマスに対してバラバラだったはずの三人の認識は、友達の誕生日を一緒にお祝いした日と共通のものとして共有される。
そして後半パートでもそれは同じです。雪が降ると薗部は「血湧き肉躍る」し、双葉は「ケーキを食べたくなる」し、光姉ちゃんは「お外で遊ばないと勿体ない」と感じるし、照は「寒い日は暖かいところでポカポカしてるのが一番」と考える。一つの事象に対して各人が見せる反応は実に様々でそれぞれで異なっている。葉子様にとっては除雪作業で腰が痛くなる日ですね。
しかしそれが薗部提案の年末年始のパジャマパーティーと双葉が提案した餅つきで一変する。勿論それら個々にについても三人の認識はバラバラです。葉子様の考えるパジャマパーティーは双葉と照のそれは異なっているし、実際に行ったパーティーも一般的なそれとはかけ離れている。餅つき機を使うつもりの双葉と、杵と臼を使う餅つきを考える葉子様と照の認識もやはりズレている。
でもそれを同じ空間で一緒にやることで、三人だけのパジャマパーティーと餅つきの認識が三人の中に生まれ共有される。暖房費がかかることを懸念していた葉子様は布団にくるまることでやり過ごし、暖かい所でポカポカしてるのが一番と言っていた照は、結果として寒い部屋の中で一夜を過ごすことになる。それこそが元々抱いていた彼女らの認識が移り変わったことの証でもあるように見えます。
そしてそれらは三人で一緒に過ごせたから変わったものでもあると思います。双葉がいなければ葉子様は布団にくるまる発想を得ることは出来なかったでしょうし、照も好き好んで寒い環境下で一夜を明かそうとはしなかっただろう。大切な友達と一緒だから出来たこと。楽しかったからこそ新しくなった三人共通のクリスマスと年末年始の認識なのではないでしょうか。
友達と共に過ごす時間の大切さ。そして思い出の共有が塗り替える共通の認識。寒い季節のお話でしたが、そこには微笑ましい光景が繰り広げられていて、心がポカポカと温まる実にハートウォーミングなエピソードだったと思います。双葉さんは終始食べ物のことしか考えてなかったような気もするけど、それはいつものことだし既に皆の共通認識なので置いておくことにいたしましょう(笑)



薗部さんじゃないけど女子高生のパジャマパーティーってもっとキャッキャウフフな光景をイメージするじゃない。見た感じ切なさすら感じさせる布団にくるまっている三人の姿。家具も少なく壁紙すら簡素な部屋がより一層切なさを募らせる。でも三人でじゃれ合えば心も体もポッカポカ。楽しそうな葉子様と全てを包み込んでくれる双葉ママの穏やかじゃない包容力に安心してしまう。
クリスマスと年末年始を迎えるに当たって、さり気なく気を遣ってくれていた薗部と山路の元使用人コンビの気配りも光っていたと思います。誰よりも葉子様と認識を共有しているのは、実は付き合いが一番長いこの二人なのかもしれませんね。
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クリスマスは3人一緒で楽しそうでしたね。
双葉は相変わらず食べまくってましたけど…。
年末のパジャマパーティーももっと楽しんでくれるとよかったんですけど。
でもまあなんか楽しめましたかね。