あまんちゅ! #12「蒼い世界のコト」勇気を持って一歩を踏み出した先に広がる未知の世界。
不安で怖かったはずのドキドキがワクワクのドキドキになっていく。



あの日、ダイビング部のみんなと黒板に描いた光景が現実に。遂に迎えたてこの海洋実習。最後まで揺るがない素敵で無敵な恥ずかしい台詞の応酬。てこ目線でここまで温存された本物の海の中に潜るダイビングへの高揚感と、眼前に広がる色とりどりな景色と見たことのない世界の情報量に、ただただ圧倒され魅了されてしまう。最終回まで海へのダイビングを引っ張った甲斐があったというものです。
その中で今回はこれまでの物語でテーマとして描かれてきたことを、改めて触れていく作劇が印象的で、まさしく一つの集大成として相応しい内容だったのではないかと思います。今いるところから一歩を踏み出す勇気、知らないことを知るワクワクドキドキ、大好きな物が増えていく喜び。これらを知っているから目の前にある世界の楽しさと無限の広がりに気付くことが出来るのですよね。
実際の海洋実習に当たり、てこは不安もあるけどそれ以上のワクワクを感じていたのだけど、それでも実際に海の深さを目の当たりにして怖くなってしまう。未知の世界に対する恐れ。それっててこがこの街にやってきたときに抱いていた印象と同じものなんだと思う。知らないから怖いし、楽しさをどこに求めたらいいのか分からない。でも今のてこはあの時のてことはもう違うのです。
今のてこは知らないことを知る楽しさを知っている。勇気を持って一歩を踏み出した先に、見たこともない素敵でワクワクするものがあることを知っている。だから一歩を踏み出せる。泡の柱は道しるべ。ぴかりやダイビング部の先輩、ダイバーの聖地に集った思いを同じくする仲間が、てこの手を引いて導いてくれているようで素敵すぎる。
勇気を持って一歩踏み出した先に広がった海底に広がる蒼い世界は、言葉にならないくらい美しくて知らないもので溢れていたけど、皆と一緒だったからもっとワクワクでドキドキなものとして映ったと思う。大切な人と一緒だからもっと楽しくなる。これも以前の雨の日の回でやっていたことだけど、今回のてこがそうだったようにぴかりも同じように描かれていたのが興味深い。
無事にダイビングを終えて、てこが晴れてオープンウォーターダイバーの証を手にした後に、ぴかりはてこに対して感謝の気持ちと共に出会ったときの不安だった心中を吐露する。グイグイ行き過ぎて失敗してしまったこともあった。てこもそうだったのではと暗に問うているかのような独白は、ぴかりにとっても勇気を持って一歩踏み出したことと言えるのではないかと思います。
でもてこはもう誰かと一緒に知らないことを知る楽しさを知っている。ぴかりと一緒だとその素敵で楽しいことがもっと楽しくなることを知っている。内面的にとても前向きになり、海洋実習を経て大海原のように広い心でものを見ることが出来るようになったてこが、ぴかりを包み込むかのように肯定して感謝の気持ちを伝えるのが凄く良い。一歩を踏み出した先にはこんなに素敵なことが待っている。
ぴかりやぴかりの祖母。これまでの話でも描かれていたように、気の持ちようや見方によって、世界の在り方は大きく変容する。世界が輝いて見えるか否かもその人次第。海から去る際にてこが聞いた「拍手」も、彼女がそういう風に物事を捉えられるようになった証だと思う。知らなかった人と出会い、知らなかった街を知ったてこ。
そんな彼女が「顔を上げればいつだって目の前には大きな楽しい世界が無限に広がっている」ことを知っていると言うのです。これまでの回で描かれてきた要素を回収しながら、この街に来た頃と今のてこがどれだけ変わったのか。それをとてもよく実感することが出来る最終回で素晴らしかったと思います。


知らないことを知る楽しさ。未知の世界に足を踏み入れる不安と、それ以上のワクワクドキドキ。これを軸にして気の持ちようや見方で世界はいくらでも変わるんだということを、魅力的なキャラクターが織りなす優しい空気と、素敵な世界観で見事に描いてくれた作品だったと思います。当初私が今作に期待した癒やしも勿論ですが、それ以上に明るく前向きに変わっていくてこを見るのが毎回嬉しかった。
人との巡り合わせって本当に大事で、出会った人たちによって運命って大きく変わる。でも自分が持っていないものを持っている人。自分にはない考えで物を見ている人。そういう人たちとの出会いって、そのまま自分の世界の広がりに直結するのではないかと。だから色々な出来事を通して触れ合う人との出会いを大切にしたい。それこそが今の世を楽しく生きる秘訣ではないかと。
そんなことを考えさせられたのであります。今回が最終回で明日に向かってレッツラゴーしたいのに続きがないという現実なんだけど、それでも今作で教わった知らないことを知る喜びや楽しさを噛みしめながら日々を生きて行けたらと思えたのです。最後に出演陣の皆様、制作スタッフの皆様。原作に対する深い愛が感じられるアニメを見せて貰ったことに感謝しかないのです。本当にありがとうございました!
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