魔法つかいプリキュア! #45「想いは時を超えて…!友情のかたち!」人の信念、揺らがぬ決意。
時を超えて今再び通じ合う親友同士の想い。




物語も佳境にさしかかっているこの終盤。ここに来て本来は主役であるはずのプリキュア一同が霞むほどに、脇を固めるサポート側の人間や元幹部の存在感が抜群の作劇が新鮮であり、物語に更なる厚みと熱さを加味してくれて素晴らしい。どこまでも人間らしさが感じられる今回。自分本位で愚かであることが人間の持つ弱さならば、大切な誰かを守る為に自らの身を賭すことが出来る強さを持つのもまた人間なのです。
同じ志を抱きながらも分かたれたように思えた校長とクシィの友情。それも全ては友を思うクシィの気持ちがあったからこその別離。来たるべき災厄に備えて校長と共に対抗策を模索した日々。しかし、みらい達とは異なり伝説の魔法つかいたり得ず、リンクルストーンエメラルドの実態にも全く迫れない日々は、彼の中に焦燥を募らせるには十分すぎたのですね。
校長がどこまでも真面目な奴と評したように、実直で友達思い。そんなどこまでも人間味に溢れるクシィが、禁断の力に手を出し、最終的に人間味を廃したドクロクシーと化してしまったことは確かに悲しい。でもその原動力となったのは大切な人を守るためという純粋な思いからで、とても人間的なものですよね。そしてそれが今のみらい達と同じで変わらないというのが良いなと思うのです。
世界そのものより自分の目に映る大切な人を守りたい。大切な人が住む世界だったり平和な日々の時間を守りたい。その気持ちを原動力に戦う。全体より個人に目を向けるのは高尚なものではないのかもしれない。でもそれがとても人間的な感情に基づくものであるが故に、そとてつもない力を生むものになるのではないかと思う。だって本作の魔法の力とは即ち思いの力。それが奇跡を呼ぶ力になるんだから。
大元にあったクシィの思いは歪められ、その形は変わってしまったのかもしれない。クシィ本人の人間味は失われてしまったのかもしれない。でも彼が作り上げた闇の魔法によって生まれた幹部一同が、その人間味の部分を継承し、今再び一つとなって大元になったムホーの力に立ち向かう。そして、それをそれを仕込んだオルーバを退ける。
それは、彼が貶めた人間特有の「弱さ」を生む心が、強大なムホーの力をも打ち破る強さをも生むことの何よりの証ではないかと思います。闇の魔法つかいの生き様=信念。それがムホーの再現を期待されながらも完全下位互換であったはずの闇の魔法を、大元のムホーすら打ち破る力へと昇華させる原動力になった。魔法とは思いの力であることを、幹部の活躍と熱い気持ちからも感じられるのです。
歩むべき道が分かれ悲しい結末を迎えてしまった校長とクシィ。しかし、友を思う彼等の熱い気持ちは時を超えて今再び一つに結びつき災厄の一端でもあったオルーバを退けた。彼等の思いを受け継いだプリキュアとバッティ率いる幹部勢がそれを成したことが、分かたれてしまった校長とクシィの道が再び交わり、若かりし頃に抱いた彼等の思いが結実したことの象徴ではないかと思います。
いつか校長とクシィの関係性は、みらいとリコのあり得たかもしれない未来の可能性の一つ。みたいなことを書いた覚えがあるのだけど、この一連の成り行きを見守り、時と場所を越えた繋がりを感じたからこそ、今一度共に居られる時間と平和な世界の有り難みを感じたのではないかなと。冒頭のかの子の台詞や校長の涙ながらに絞り出した台詞が更に深みのあるものしてくれた。
そんなみらい達の周りに居る人物や敵対していた幹部の活躍が光り、なおかつまほプリでこれまで描かれてきたテーマが一つに集約していたような回でした。今までの積み重ねあればこそと理解はしつつ、プリキュアの活躍は控え目で存在感も薄かったこの回が、しかし個人的に本作の今までの話の中で一番の回だったんじゃないかと本気で思う。いや、マジで。



熱い気持ちに溢れるバッティさんの激闘が文字通り熱い!熱すぎる!いやね、個人的にこういうの本当に大好きなのですよ。本来であればどこまでも無機質に人間の気持ちなんて踏みにじって然りの敵対勢力の幹部が、人間味に溢れる姿を披露するのが。垣根を越えて共闘するような形になるのが本当にたまらない!己の信念を貫くからこそ、思いはより強まり魔法の力も強くなる!
前回の感想で各幹部の「我が見えた」的な事を書いたけど、今回を見て彼らこそが亡きドクロクシーが失った、かつてのクシィが持っていた人間味の部分を継承する存在なのだと思い至りました。オルーバの思惑はどうあれ、友を思うクシィが手を出し築き上げた闇の魔法。そんな闇の魔法から生まれた彼らは、まさしくクシィの思いを体現する代弁者のような存在でもあるのだと。
生きる意味と活力を失い、悩み苦しむ様子を見せていたバッティは、オルーバが言うところの人間の弱い部分の象徴であったと思います。そんな彼が自らと仲間の生き様を賭け奮い立ち、全員の力を結集して果敢に挑み打ち破るに至る。ヨクバールがドンヨクバールを上回り打ち倒す。それこそが人の思いが結実し、ムホーを上回ったことを表す何よりの証に映ります。
戦いが終わったときのドクロクシーを模した案山子に対する一礼など。バッティの行動は最後の最後まで人間らしさを感じさせるものでありました。



揺らぐことなく悪に徹し最後まで強者で在り続けたオルーバさんにも天晴れ。散り際まで優雅に一片の迷いもなく己の道に徹する強さは、彼が否定した人間の弱さとは対極に位置する存在だと自らの行動を持って示しているような気もします。しかし、この色々な面での優遇っぷり。制作側にもオルーバさん推しが多数いるのだろうことは想像に難くない(笑)
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