うらら迷路帖 #09「母と心得、時々あなたのため」災いを転じて福となす。


紺の母親にして二番占でもある時江との出会いと九番占の選抜予選試験の様子が描かれた今回のお話。時江との不意の出会いと予期せず訪れた試験。そのどちらにも共通していたのは降りかかった災いがあったからこそ、後々の喜びや良いことに繋がっていたことではないかと思うわけです。
千矢が迷子になって闇うらに絡まれたことで、千矢と時江は受験者と試験官という立場とは異なる出会いを果たし、千矢はうららとしての心構えや探し人である母親のことを聞くだけではなく、時江に母性や親子の繋がりといった母のそれを感じるという良いことがありました。千矢にとっては苦手なはずのお着物も、それを着て甘いお菓子を沢山貰うことで、災いが福に転じた形になっていた。
後半パートで時江が宣告した災厄は、選抜予選試験の為に用いられた偽りのものでしたが、当事者である千矢たちにとっては紛れもない災いの一つであったことに相違ない。しかし、それを力を合わせて乗り越えたことで、うららとして着実に一歩前進する良いことが待ち受けていたのも事実なのです。まさしく災いを転じて福となすを体現する試験でもあったと思います。
試験中にノノを守るために千矢や小梅が提案した対抗策も、その性質を反映していたものになっていたのではないだろうか。小梅が引いたタロットカードのデスは転じて逆位置にすると新展開、上昇、起死回生と言った意味合いに変わりますし、千矢が言っていた南天の木のおまじないも、福をなすという意味合いの花言葉が存在している代物でもあるようで。
南天の木には難を転じる力がある。災難を利用し、自分に有利な状況を作り出すという意味を持つ南天の木のおまじないは、まさに今回の話の内容にぴったりではないかと思います。また南天には福をなすを含め全部で四つの花言葉の意味合いがあるようで。その四つが千矢たち四人に対する時江の評価と重なるような気がします。まぁこれは若干こじつけでもありますが(笑)
捉え方や考え方次第で物事の性質は大きく変わると以前の回で描かれていましたが、これからより大きな試練が立ちはだかった時に、ピンチをチャンスに変えるためにうららとして心掛けなければいけないことは何なのか。技術もさることながら、それ以上に大切にしなければいけないことがある。
うららとしての規範を重んじる時江や、邪な考えを持ち規範から外れる闇うらの存在が、うららが大切にすべき適した心の部分を引き立ててくれていたように感じました。逆境をはね除け前に進むために必要になる大切なこと。二番占の時江の力を以てしても阻まれた母親探しを続ける千矢は勿論、彼女と同様に各々の思いで一番占を目指す他の三人にとっても、また一つ大きなことを学んだ回だったんじゃないかな。


成長する我が子を見守るニナ先生と時江さんの眼差しは、まさに母親のそれでしたなぁ。試験の実態を隠そうとしていたニナ先生のお芝居は、芝居がかりすぎて何からの含みがあるとバレバレだったかもしれませんが、当人たちに気付かれなければそれでいいのだ。
教え子や我が子が自分の庇護下から少しずつ離れていく寂しさと、反面彼女たちの成長の早さに対して感じる喜び。相反するそれらの感情もまた転じていることの一つの表われ…なのかもしれません。本作の大人組は優しさと厳しさの塩梅も素晴らしく、指導者として、人生の先を歩む者として良い人揃いで素敵だな~と改めて感じた次第なのです。
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ノノに災いが起こるってのは選抜試験だったんですね。
合格できてよかった。
千矢の母はあの黒うさぎと関係があるのでしょうか?
千矢は着物姿のほうが似合ってますね。