冴えない彼女の育てかた♭ #06「雪に埋もれたマスターアップ」お互い様で保留していた倫也と英梨々の和解という名の雪解け。
一つの終わりは一つの始まり。



雨降って地固まるというか産みの苦しみがあったからこその至上の喜びといいますか。前回だけに留まらず幼少期に端を発した倫也との長きに渡るすれ違いの期間があったからこそ、今こうして英梨々が報われる瞬間を見られた喜びも格別なものがある。もう一度あの頃みたいに接したい。認められたい振り向かせたい。その一心でこれまで描き続けてきた英梨々の願いが成就する瞬間。これだけでもう堪らんね!
第1期の9話や第2期の1話でも描かれていたように英梨々の創作に対する原動力は一種の復讐心でもあったわけだが、オタク趣味が災いして小学生時にいじめられて倫也との離別を余儀なくされた彼女が、その分野を突き詰めて見返すというのが実に英梨々らしいなと感じる。苦しい思いをしたの倫也だけでなく英梨々も同様。
お互い様とあの時に保留した和解を、倫也にとって一番のイラストとして認めさせた上で成立させる。これが本当に良いよなぁと。倫也と英梨々にとって思い入れの深い作品。作中描写で見てもイジメの発端にもなり、夏コミで出海が関わり英梨々の感情が爆発する契機ともなった作品。そんな劇中作のリトラプを二人にとって思い出の場所でもあるここで一緒にプレイするというのが実に象徴的でした。
夏コミ発端で生じた因縁は冬コミで清算するというわけではないかもしれないが、今までのイラストレーター柏木エリはあくまで倫也に認めてもらい振り向かせるために活動していた。しかし、これからはもうそうではないのですよね。長年に渡る目標を達成した今の英梨々を縛るものは当面なくなった。楔から解放されたクリエイターとしての英梨々の更なる成長の予感。
それは倫也にも認めさせた今までと少しやり方を変え仕上げた最後のイベント絵を見ても感じるところ。追われて抜かれる恐怖に怯えるのではなく、どこまでも自分を高めて駆け上がっていけるという予感。それも倫也に一番と認めて貰えればこそのものだったと思いまする。因縁の出海と相対する英梨々の姿勢からも、彼女の変化と解放、発展といったものを感じられるのかなと。
ともあれこれまでずっと苦しい思いをしていて展開的にも辛い方向に流れることの多かった英梨々だけに、こうして報われる瞬間が訪れただけで万感の思いなのです。これがどこまで続くのかという一抹の不安はさておいて。今はこの喜びと幸せに満ちた空気に浸っていたい。英梨々個人に関して見ると実に解放的な回だったのではないかと思います。


そう、メインヒロインのお怒りがなければ今回はマルッと収まっていたはずだったのだ。一難去ってまた一難というか一寸先は闇といいますか。他のヒロインに目を向けている間、知らず知らずの内に静かに蓄積されていた何かが、とあるキッカケでドカンと爆発するという某ときメモをプレイしている時の感覚にも似たものを今回の終盤の一幕から感じてしまったのだ。
でも恵の立場からしたらやるせないよね。何だかんだで献身的で協力的で自分から倫也たちのオタク界隈のフィールドに馴染もうと頑張ってくれていたのにさ。何かあったら協力は惜しまないと念を押してもいてくれたのにさ。いざ肝心なときに一切相談されることもなかったわけで。それって恵からしたら結局仲間はずれにされて本質的なところで信頼していないと言われたも同義だもの。
サークルのことを抜きにしても個人的に親交を温めていた英梨々の危機に、一番に頼りにしてもらえなかったとなればやりきれないし怒りもするよねと。こんな仕打ちを受ければ「なんだかなぁ…」だけで済ませられるわけもないのだと。今までにもあった辛辣な言動とはまた違う生の感情をぶつけてきた恵さん。メインヒロインの怒りに倫也はどう対処していくのか。またまた続きが気になる次回も楽しみ。
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