魔法陣グルグル #15「恋せよ!魔境!」あくまでもククリなんです。



ククリの悪魔化騒動からパンフォスの遺跡攻略途中までを描いた今回のお話。悪魔化してしまったククリの姿を目の当たりにし、ニケとククリは今まで見ようとせずに無意識下で避けてきた問題に直面せざるを得ない事態になったわけですが、デリダの「魔境とは嘘のつけない場所」という台詞にもあったように、このアラハビカにおいて様々なものが表出する回でもあったと思います。
一人の人間に一人の物事。でもその一つは必ずしも一つの要素で構成されている訳ではないのです。普段目に付きやすい表の部分。人はその分かりやすい部分で以て物事を判断して捉えようとしがちだけど、多くの物事は得てしてそんなに単純には出来ていないもの。表があれば裏がある。光があれば闇がある。両者は表裏一体でどちらか一方だけでは成立し得ないものなのです。
一つのものを形作る二面性といいますか。ククリの悪魔化に呼応するように、今回は今まで薄いベールで覆われていた普段は見えにくい裏の部分が様々なところで顔を出している。表向きは平静を装いながらも、ずっと内に秘めていたククリの暗い感情もそうだし、魔神を守る為にミグミグ劇場を模したアラハビカの町に覆い隠されていたパンフォスの遺跡もそう。グルグルの正体に関してもそう。
普段は見えにくい。見ようとしなければ見えない部分。認識できなくても一見それらは成立しているが、しかしそれらが欠けてしまえば、人も物もそれたり得なくなってしまう。覆い隠されたものだろうと虚構だろうと、それらを含めて一つの物として成立しているのであれば、やはりそれも含めた上で初めて人も物も一つの像として確立される。
確かにアラハビカは遺跡とそこに眠る魔神を守る為の虚構の町だったかもしれない。でも、それは全て偽りだったわけでもないのです。遺跡攻略において町で暮らしていたニケやトマが既にマッピングを終えた状態であったように。そこで暮らした時間や経験は決して偽りのものではなく、今の彼らを形作る本物に既になっている。
然るに悪魔化したククリに対するニケの捉え方の変遷も同じなのだと思います。悪魔の姿をニケが最初に見たときに、彼は今のククリの状態を「異常」なものとして捉えて対処しようとしていたが、それは間違っていたことに気がつく。ククリの不安や恐怖が表出して形を成したものが悪魔化であるなら、それも今まで見ようとしなかっただけで元々ククリの中にあった彼女を形作る大切な一部。
それは決して偽りでも虚構でもない。紛れもない彼女の本質の一部。それを否定してしまえば今までと何も変わらない。もう目を背けてはいけない。グルグルにしても彼女の内面にしてもそう。全てに向き合って受け容れるときが来たのです。この嘘のつけない魔境アラハビカで。全ての面を受け容れて包み込む。そうすることで初めて見えるものがあるし、前に進むことが出来る。
覆い隠されていた様々な物事が詳らかにされた魔境アラハビカ。町の実態を知り、ククリの秘めた思いを知り、その上でニケが再びククリと相対したときに取る行動は如何なるものか。ハートの魔法の極意が魔法陣に示されたように。目を見開いて全てを受け容れる覚悟を持ったニケが男になる時が来るのか。ククリの思いに対するニケの答え。それがどんなものになるのか楽しみなのです。



アッチ村でニケと視聴者を喜ばせてくれたケベスベス再登板。普段は感情表現の起伏に乏しく、何を考えているのか読み取りづらいジュジュですが、そんな彼女にも少なからず年頃の少女としての恥じらいや羞恥の心はあるのです。ケベスベスの魔法によって表出したジュジュの普段は見えにくい一面。しかし、これもまた彼女を形作る大切な一部なのだと思います。
そういう見方をすると、このサービスシーンにも本編と連動したメッセージ性というか意味合いを見出すことも出来るのかなと…。いや、ほぼほぼこじつけなのは自覚してますが(笑)ともあれ普段はサービスとかエロ担当とは一番遠いところにいて、照れや恥じらいの感情をあまり見せないジュジュの意外な一面が垣間見える貴重なシーン。ギャップ萌えは何時の時代であってもいいものだ。
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ククリ悪魔化して暴れまくってますね~。
元に戻ってくれればいいですけど。
ニケもククリの気持ちに目を背けてはいられないと。
パンフォスの遺跡が姿を現しました。
アラハビカはパンフォスの遺跡を封印するための幻だったんですね。
カヤたちは撤退していきましたがなにか考えがあるんでしょうか。