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魔法陣グルグル 第20話「変化する日々が積み重なって少しずつ大人になっていく」

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魔法陣グルグル #20「抜け出せ!レフ島!」

変わらない日々も素敵だが、先へ進まなければ始まらない。
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長かったコパ大陸編もいよいよ大詰め!レフ島からの脱出までを描いた今回のお話。今回はミウチャとの出会いとレフ島到着までの道中が丸ごとカットされていて、ハマリ状態に陥ったところから始まっていたけど、そのおかげで夢現の境界が曖昧になり、外界から隔絶されたレフ島での繰り返される日々。どこか浮き世離れした独特の空気を形成するのに一役買っていたと思う。

そんなレフ島の物語は子供が大人の階段を一歩登る話なのかなと思う。永遠のようにも感じる変わらない平穏な日々。この感覚って現実の我々も子供時代に少なからず感じたことがあるんじゃないかと思う。いつかは大人になるんだと頭では分かっていても、でもそれを実感することは出来なくて。大人になった自分は何をやっているんだろうと漠然とした不安を抱えながら日々を生きている。

ククリとミウチャの会話の中にも出てきたけど、子供の時分で具体的な夢や目標を持ち、脇目も振らずにそれに邁進できる人は少数派。大多数は色々なことに興味を持ちながらも途中でそれを辞めたりして、それを繰り返す中でやりたいことを見つけていくもの。でも、今これをやってみたいと思う気持ちがあるのなら、失敗や不安を気にせず挑戦してみればいい。

珍しく良いことを言っていたキタキタおやじやミウチャ父ら大人勢の、「まだと言っていたらいつまでもスタート出来ない。誇りを持って進めばいい」という台詞も、迷える子供たちを導く大人としての役割が感じられて良いなと思うところです。失敗や未知を恐れず自分が歩むべき道を見つけたら歩き出す。自分で小さな一歩を踏み出すことは、大人になるための大きな一歩。

容姿が似ているククリとミウチャは双子の姉妹に例えられていましたが、当初は二人がいつまでも一緒というトリコの語る絵本の結末を良いものだと思っていたククリが、離れても違っても同じ時間を過ごせるのが素敵だと思えるようになったのも、ククリの心や考え方が、今より少しだけど確実に大人になったことを示す描写であると感じます。

自らを「観測者」として己の心と向き合っていたククリ。レフ島での繰り返しの日々という一幕は、コパ大陸に上陸して以降、様々な形でハートを揺さぶられ続けたククリが、次なる新大陸へ向かう前に、今一度自分の心と向き合い、自分の中で一つの答えを出した上で未来へ歩み出すための舞台装置でもあったんじゃないかなと。今ではそのように感じる次第です。

泡沫の夢のような日々でやり直しもしたけど夢ではない。攻略本の件とかミウチャの面白魔法とかギャグ的な描写は極力省きつつ、それでもアニメ版ならではの魅力的なレフ島の物語を描き出せていたのではないかと思います。今回は本当に出来が良くて感嘆するしかない。最終章を前にしての一時停止。再び進み始めたニケとククリの前に待ち受けるものは…。グルグルも本当に終盤戦突入ですね。


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子供の頃に原作を読んでいた当時もレフ島の物語はかなり難解で、今こうして見直してみても全てを理解出来たと自信を持って言うことは出来ない。でも、やっぱり鍵を握っているのはククリのハートに纏わるもので、コパ大陸編に入ってからの物語は、特にそれが顕著に表われている。その最後を飾るレフ島は、そこに一区切りを付ける為の舞台でもあったのだと思います。

アニメでは11話から始まったコパ大陸編ですが、コパールではニケの女の子に対するだらしなさ、優柔不断さが改めて示され、それが後のアラハビカにおけるククリの悪魔化にも繋がっている。ニケに対して素直になれないククリの心。誰かにニケを取られるのではないかという不安。ニケ自身の曖昧な態度の解決というのが、アラハビカ編の肝でもありました。

それを経て前回のバトーハの塔で、ククリはワンチンから通称「ブリはテリヤキに限る!」事件のあらましを聞かされている。それを聞いてククリは無意識下で思ったと思う。今暫くは「ニケとこのままでいたい」と。先々に対する不安から選択した停滞と不変。これこそがレフ島の舞台装置の背景であり、ククリ自身が無意識に構築した障壁だったのだと思います。

容姿が似ていて何もかもが中途半端なミウチャのキャラ造形は、ククリの深層心理が反映されたものでもあり、その彼女が抱える問題の解決=悩めるククリの心に一つの決着が付くという形なのではないかと。

観測者であるトリコは、想い人と通じ合いたいという強い思いが、時に一方的な感情に変わり衝突に繋がること。ブリはテリヤキ事件を聞かされ、無意識下でそれを恐れ先に進めなくなったククリが、自らをトリコさんというキャラに置き換えて具現化していた存在。いつまでも変わらない平穏で安定した「今」を求めたククリの願望の具象。故に彼女が読む絵本の結末は白紙だったのだと思う。

ということでレフ島の話は本当に難解で、ストーリー全体の構造と流れを掴まないと読み解けない側面があったんじゃないかと今でも感じます。上でも書いたけど自分もこじつけてるだけで、全然自信ないのです。でも、やっぱり好きなんですよねレフ島の話。それだけは子供の頃から変わらない。いや、今だからもっと好きになったと断言出来る事実。


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しかし、全く立派ではないけど大人になった今だから逆に分かる。いつまでも子供のままでいたい気持ち。年を取るのも悲しいし、時の流れの残酷さを感じることも少なからずあった。いつまでも平穏で変わらない日々があるのなら、それはそれで幸せなのかもしれない。好きな作品も最後まで見ない読まないことで永遠に楽しいままでいられることもありますし。

アニメ版のグルグルも終わりが近くなってきた今だからこそ、今回の話の中に込められていたメッセージが、より強く響いたのです。でも、本作は年寄りやおやじキャラこそが強く光り輝く性質があるだけに、年を取るのも悪くはないかもしれない。魔法陣グルグルシルバー。ニケやククリが今のおやじ以上に鮮烈な活躍をするのであれば…いや、それは考えないことにしよう(笑)

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雪光さん、こんばんは。

レフ島というところに無限ループしてしまうニケとククリ。
てっきり観測者はミウチャかと思ってましたがトリコさんだったんですね。
それもククリ自らが作り出していたという。
ククリも一歩成長できたようですね。

次回は、いよいよ魔王ギリが復活!
とうとう復活ですか。
物語も佳境に入ってきましたね。
[ 2017/11/24 21:44 ] [ 編集 ]
Re: 諸葛鳳雛さん
色々と妄想や解釈が広がるのもレフ島の楽しさの一つですよね。
ククリのハートの中にあるものを現実世界のものとして具象化してしまう。
グルグルという魔法の特性が如何なく発揮されている話でもあるなぁと。

一難去ってまた一難。
ハマリを抜けたニケ達の前に立ちはだかる更なる窮地。
アラハビカより後の話がアニメになるのは初なだけに、凄く楽しんでいます。

アニメ一作目と違って原作準拠の魔王ギリが遂に…と思うと気分も高まるのです。
終わりが近づいてきたグルグルの物語。最後まで全力で楽しめたらと思います。
[ 2017/11/25 19:40 ] [ 編集 ]
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[2017/11/23 14:29] のらりんすけっち
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