魔法陣グルグル #21「復活!魔王ギリ!」このじじいたち――危険につき。



グルグルの物語もいよいよ佳境。ピグナピナ大陸上陸からジタリの遺跡到着までを描いた今回のお話。王道冒険譚において、封印されていた魔王の復活ともなれば、世界にとっても作中キャラにとっても、本来はこれ以上にないはずの脅威であるが、その復活したギリよりも爺ファンタジーや謎のパワーアップを遂げたキタキタおやじの方が、インパクトがあるというのだから無常である。
ともあれ愉快痛快な爺たちの活躍に、飛行能力まで得たおやじの相変わらずのやりたい放題等々。ニケ曰く最終章突入の展開でも、これまでと全く変わらないノリと勢いで突っ走る作風は健在であり、何とも言えない安心感のようなものを与えてくれていたのも事実。前回がある意味で異質というか独創的な雰囲気に包まれていただけに、元に戻ったとも言える。冴え渡るニケの突っ込みが気持ちいい。
しかし、爺ファンタジーの面々の一見ふざけた何の意味もない、前後の脈絡がないような台詞の中には、とても重要な内容が含まれていたし、格好や台詞が奇抜でも次の遺跡攻略の突破口を開くために、奇声を発しながら再度合流したキタキタおやじも何気に重要な役割を果たしていたりする。
そして、この一般人なんだけど勇者や魔王以上の存在感を放つ親父たちの存在が、ニケに勇者としての立ち位置や己の果たすべき役割とは何かと言うことを、今一度問いかける契機にもなっている。世界の修理人として、またグルグル使いとして明確にやるべき方向性が見えているククリ。それに対し勇者としてニケは自分に何が出来るのか。
何をすべきなのかというのを未だ見出せていない。ジタリの遺跡はこのニケならではの勇者像というのが、一つの焦点になるだけに、何気に重要なことが指し示されていた回でもあったと思います。アニメではカットされていたが、ギリ復活の報に際し時間のやり直しではなく、自分たちで時間を進めることを選択した今のニケとククリだからこそ、向き合わなければならない命題なのかもしれません。
ただ、そうは言ってもそこはグルグルなので重くならずに基本は緩く面白く。相変わらずユニークなやられ役として場を和ますレイドだったり、主にトマを含めた周りを言いように振り回すジュジュだったり。爺ファンタジーやキタキタおやじもそうなんだけど、やっぱり今作のキャラは己の欲望に忠実で、周りがどう思うとかはそんなに重視しない傾向にある。
そして、そういう奴ほど何よりも恐ろしく強い。勇者として何が出来るか。ニケらしい勇者像とは。その答えは他でもないニケの周りに溢れているのかもしれない。弱い力も力の内。例え凡人でも人は誰かになれる。ジタリの遺跡でニケたち一行を待ち受けるものは果たして。次回も楽しみなのです。



既に魔技師という自分の歩むべき道を見定めて歩みながらも、作中で誰よりも要らぬ苦労を背負い込んでいるトマも、苦労人であるのと同時に悩める一人であると言えるかもしれない。渾身の発明品を夏休みの工作呼ばわりされ、暇つぶしの相手に意図が読めないメールを連日のように送りつけられる。まさに、強すぎる個性を持つ者に悩まされる凡人代表とも言えるキャラの一人だ。
でも、それでも反骨精神というか不屈の精神で前に進むのを辞めないから、ある意味においてトマは強いのかもしれません。ジタリの遺跡でもトマの見せ場はあると思うんだけど、きりなしの塔のときみたにやむなくカットされる可能性も。一番削りやすいところかもしれないとはいえ、尺の都合の煽りをモロに受けている彼は、やはり不憫であることに変わりはないのだ。


髪ふわククリちゃんマジ天使。ニケじゃないけど露出度アップの衣装は、こういうときにこそ真価を発揮し、ククリのヒロイン力を更に高めてくれる。そんなククリにレイドが魅了されてしまうのは、最早お約束。
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魔王ギリが復活。なのにギリ自身は全然登場しませんでしたね。
変なおやじ連中やキタキタおやじのほうが目立ってました。
ひさびさにジュジュやトマが登場してくれてうれしいです。
ルンルンが全然登場してくれませんけど。
ククリは世界の修理屋になれるのか。