キラキラ☆プリキュアアラモード #44「雪に秘めた想い!愛をさけべ、あきら!」大切な妹と自分自身の為に。




お互いのことが大好きで、幸せになって欲しいと願う姉妹同士だから生まれる闇もある。尊き姉妹愛の裏に潜む心の闇。共にそれを抱える剣城姉妹ならではのお話という感じがする。自分の存在が足枷になる。これまでも姉を縛り、更には姉の将来をも束縛すると感じたみくが、それは嫌だと思うのは彼女の生い立ちや境遇を鑑みても当然生じる感情だよね。姉が大好きだから尚のこと。
今回踏み込んだのはどちらかというとあきらの方で。病弱な妹ありきで彼女の存在が密接に結びついてきた今までの生き方。妹の為に研究者になるという進路の選択。それは献身的とも言える無償の愛故に生まれた自然な感情の発露か。その妹の為は義務感や束縛から生まれたものではないのか?それは本当に自分の為になると思って選んだ道なのか。
互いが互いのことを思い合う。無心の愛情という尊き姉妹愛の一方で、互いに利己的な愛を主張しあうからこそ相容れない。それ故に生じたすれ違いというか間隙をエリシオに突かれた形でしたが、今回は姉妹愛を描く過程で愛とは何なのか、愛情の本質はどこにあるのかを考えさせられる回でもあったと思います。
愛する対象に捧げる献身的で無私の愛。それが今のあきらを育み、今の彼女を形作り支えとなっている。それもまた事実。一方で妹の為というあきらの感情は、自分の寂しさを埋める為という側面も確かにあった。でも、その利己的な愛が自分の為の揺らがぬ願いを生み出す源泉になっている。献身的な無心の愛だけでなく、利己的な愛をあきらが直視し受け入れたことが大きいのではないかと思います。
利己的と言えば聞こえが悪いかもしれませんが、それこそがその人自身の何よりも強い願いを生み出す力に通じるものね。そして願いは未来に、将来へ向けて歩み出す力をくれる。互いが互いを強く思い合うが故に、あきらとみく。相手に対する献身的な愛情故に先へ進めなくなっていた姉妹が、利己愛によってこれから展開される未来。将来へ向け動き出すというのが何とも興味深いなぁと。
これまでの二人の生き方(伝統)を踏まえ、新しい境地を開こうとする。無垢を経て経験を積み重ねて人は未来へ向かう。おそらく今回の話の下地になっているだろう詩集のテーマというかメッセージ性を、上手く剣城姉妹の物語にマッチさせていたんじゃないかなと思います。


勉強の際にあきらがノートに書いていた一文は、ウィリアム・ブレイクの「経験の歌」。その中でも「土くれと石ころ」の部分に該当するフレーズなんですね。上でも少し触れましたが今回はこの「経験の歌」と「無垢の歌」がベースになっている話ではないかと思います。要約すれば愛の本質について歌った詩。二つの詩集が扱っているのは、人生のそれぞれ異なった相とのことで。
幼少期のあきらや今のみくが「無垢の歌」に当てはまるのなら、今のあきらは「経験の歌」に該当する存在として描かれていたように感じる。無心の愛は、「無垢の歌」に盛られた人間の尊いを暗示しており、利己の愛はこれから展開される「経験」の世界を先取りしているとのこと。寂しさこそが自分の強さで愛だと言い切るあきらの利己愛は、故に未来へ向かう力になる。
無垢だった少女は自らの人生を通じて様々な経験を重ねて、無心の愛の中に利己的な愛を内包させていく。本来であれば相容れないはずの二つの愛。でも、その二つを併せ持つのが人間で、それこそが愛の本質であるのかもしれないね。利己愛の肯定。ちょっとした我が儘というか自分を通すというのは、前回と前々回のあおいひまり回にも通じるテーマだったのかも。


とまぁ宗教的、観念的な難しいお話は正直自分の手には余る。とにもかくにもこんなにお姉ちゃん思いで優しくて可愛いみくちゃんが、大切な人と笑い合える素敵で幸せな未来を迎えられる世界であれば、もうそれだけで良いのだ。それだけが自分の唯一にして絶対の願い。
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