話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選話数単位の選出記事は去年に続いて二度目の試み。
今年もやっぱり無駄に長いですがこれが年内最後の記事!
年間総括の「
話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選」企画。
話数単位に関しては去年に続いて二度目の参加です。
・2017年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。
以上のルールに基づき、今年放送された話の中から10個のエピソードを選出。
掲載順は放送日時が早いものからです。
魔法つかいプリキュア! 第49話「さよなら…魔法つかい!奇跡の魔法よ、もう一度!」
脚本:村山功 絵コンテ:三塚雅人、大塚隆史 演出:三塚雅人 作画監督:宮本絵美子時間と空間を隔てて繋がる奇跡のみらリコ再会劇。実質的な最終回と言っても差し支えない回で、エピローグにじっくりと時間を割く構成でしたが、本編内で数年後に当たる大学生となったみらいの姿を描いていたのが印象深い。時が経つにつれて徐々に風化していく人の思い。人として成長するに伴い自然と減退していく純粋に物事を信じる力。
その数年という時間経過によって、本作のテーマでもあった魔法の本質。その力の源泉がどこから来るものであるのかを、改めて問う形になっていたのが見事という他ない。動くことも喋ることも出来なかったモフルンが、しかしそのモフルンの願いによって全てが始まったように。今は直接言葉は届かなくても、思いが繋がっていれば奇跡は起こる。それが本作の魔法なのだから。
素直な言葉は力になる。一度は諦めかけたみらいが、それでも木の枝を握り直し、今の自分の素直な気持ちを言葉に乗せて紡ぐシーンは、それ故に尊い。みらいとリコの出会いを導いたモフルンが、今一度二人を繋ぐ架け橋となってくれるのも堪らないし、その先に果たされたみらいとリコの再会シーンは、本当に涙なしでは見られない。
人の思いに根差した魔法をテーマに扱うだけに、最後の最後まで人と人との触れ合いに重点を置いて描かれていたのが本当に良かった。願いが言の葉に乗って伝わることで繋がり、それによって生まれた魔法の力が奇跡をもたらす。願い=モフルン、言の葉=ことは、魔法=リコ、奇跡=みらい。誰が欠けても成立しない。やっぱりまほプリチームは四人で一つの家族なんだ。
プリパラ 第139話「愛フレンド友」
脚本:大島のぞむ 絵コンテ:柊陽菜 演出:小林浩輔 作画監修:斉藤里枝、川島尚、本多恵美、戸田さやか神アイドルになった喜びも束の間。世界規模で機能不全を起こしたプリパラ史上最大の危機の回避に向かう最後の流れが熱い!全世界のプリパラの根幹に関わる大きな事態。例え神アイドルになった今のそらみスマイルとはいえ、個の力で対処するには手に余る。神アイドルは特別な存在だけど、だからといって女神のように万能の存在にはなり得ない。
何よりらぁら達が神アイドルになれたのは、彼女たちの力だけではない。競い合い高め合ってきたライバルや仲間、支えてくれるファン。皆の力があったから彼女らは頑張ることが出来たし、神アイドルの領域に到達することが出来た。言わば皆の思いと力が一つになったから生まれた神アイドル。故にその本当の力を最大限に発揮するためには、同じように皆の思いと力が一つになること。
神アイドルは全てのアイドルの象徴的存在。らぁらたちが皆を牽引して引っ張り、その思いを集約して一つの力に纏め上げ歌に乗せて届ける。み~んなトモダチ!み~んなアイドル!らぁら達が常に掲げてきた理念。アイドルとしての彼女たちの根底にある思想。それがプリパラの根底部分に纏わる危機を乗り越える力になるというのが堪らない。
決して万能ではなく見守られるべき子供でもあったらぁら達。しかし、万能ではないが故に彼女たちが持つ可能性と伸び代は無限大。そんな彼女たちだから女神にすら成し得ない奇跡を起こすことが出来るのだと思う。自分たちで考え自分たちで動き自分たちの力で困難や危機を乗り越える。神アイドル編のテーマでもある子育てに絡めた物語運びが見事でした。まさに三年に及んだ物語の集大成に相応しい回。
ポケットモンスター サン&ムーン 第21話「ニャビー、旅立ちの時!」
脚本:冨岡淳広 絵コンテ・演出:浅田裕二 作画監督:岩根雅明、志村泉ニャビーとムーランドのお別れ。そしてニャビーがサトシに付いていくことを決めた回。劇場版ではなくテレビシリーズの本編で死生観に纏わる話が描かれるのは珍しく、まずその点だけでも自分の中で印象深い回として刻まれた。勿論ムーランドの死は直接的に描かれたわけではないが、風景や天候の変化を通した予兆。自然現象を用いた描写で、しっかりとそれと伝わるように示唆されている。
生き物だから始まりがあれば終わりもある。別れの時はやっぱり悲しいしとても辛い。でも出会わなければ良かったのかというとそうでもないのですよね。楽しい時間も嬉しい時間も出会って共に過ごしてきたから生まれたもの。ならばその思いをしっかりと胸に抱きしめて忘れないこと。その上で乗り越えて前に進むこと。それが大事なのではないかと訴えかけてきてくれる。
ニャビーがサトシのポケモンとして仲間に加わる上で、いつかは来る別れの辛さを知った上で、それでもこの新たな出会いを大切にして前に進もうとする。生き物の生死を絡めた上での加入回ということで、自分の頭にとても強く焼き付いた回になりました。年長者としてのククイ博士の重みのある台詞や、人とポケモンの繋ぎ役たりえるニャースならではの立ち回り。挿入歌として用いられたニャースのバラード等々。演出面でも神懸かっていた。
基本は明るく元気が売りのアローラ地方を舞台にしたサンムーン。でも今までと違ってサトシが各地を旅するのではなく、一所に留まりその地に根差して日々を生きている。そんなサンムーンだからこそ、こういう回をやれたのではなかろうかと。異色の回ではあるけれど本当に良い回。
進撃の巨人 Season2 第31話「戦士」
脚本:瀬古浩司 絵コンテ・演出:田中洋之 作画監督:門脇聡、大杉尚広、加藤美穂、山本祐子 アクション作画監督:胡拓磨 総作画監督:門脇聡衝撃の事実発覚の回。壁内に侵入した巨人から始まった一連の騒動。仲間を失いながらも破壊されたと思っていた壁の調査が一段落し、疲れに疲れ切っていたところで本体と合流して流れた束の間の安心感を一変させるライナーの発した衝撃の一言。前後の会話と全く繋がらないライナーの脈絡のない話の切り出し。その後の支離滅裂な言動。
作中のエレンだけでなく、アニメが初見で何も知らない視聴者にも「何言ってんだこいつ?」と思わせるライナーの唐突な話の振り方が絶妙。静かな口調で淡々と事実を語る不気味さ。何かがおかしいのにそれが何か分からない。決定的に噛み合わないからこそ増す緊張感。徐々に徐々に増大していく焦燥感の煽り方が見事と言うほかない。その後の怒濤の展開の幕開けという意味でも印象深い。
冴えない彼女の育てかた♭ 第8話「フラグを折らなかった彼女」
脚本:丸戸史明 絵コンテ:亀井幹太 演出:柴田彰久 作画監督:石田一将 総作画監督:高瀬智章、福地友樹人と人との関係は変わっていく。加藤恵の本領発揮回。普段は感情の起伏に乏しく、その真意を掴みにくいところがあるとはいえ、恵も人並みの感情を当然持っている人間なのです。その恵がこうして生の感情をぶつけてくれるようになったのも、共に過ごし積み重ねてきた時間があればこそ。それが本来倫也がやりたかったゲームのコンセプトに合致するというのが堪らんのです。
一番目立たないとされ感情の起伏に乏しかったはずの恵が、実は誰よりも熱い気持ちをサークルや仲間に向けていたのが明るみになる。それに恵の感情解放を重ねてくるのだから、その破壊力たるやね!過ごしてきた時間や付き合いの長さによって変わる人間関係の変化や心の変遷。人間的魅力を描き出すストーリー重視の次回作。次に向かうに当たって、まさにそれを体現して見せた加藤恵の人間的魅力。その神髄を存分に堪能することが出来る回だったのではないかと思う。
安芸倫也にとっての、そして冴えない彼女の育てかたという作品にとっての「メインヒロイン」は、やはり加藤恵であったのだと改めて痛感させられる。メインヒロインとしての面目躍如。恵の魅力が凝縮されていた回でした。真打ちは遅れてやってくる!
プリンセス・プリンシパル 第8話「case20 Ripper Dipper」
脚本:大河内一楼 絵コンテ:入江泰浩 演出:高田淳 作画監督:田中克憲、逵村六、小倉典子、実原登、内原茂、桜井木の実、澤木巳登理、小笠原理恵珠玉のエピソード揃いだった本作の中でも、アンジェとプリンセスの全ての始まりに当たる今エピソードが、自分の中では一番印象深く刻まれた好きな回。真逆とも言える二人の生い立ちと境遇。予期せずして訪れた運命を一転させる入れ替わり。本当のプリンセスだったシャーロットの夢を叶える為に、文字通り血の滲む努力を重ねて本物以上の本物になった今のプリンセス。
そして、それまでの自分の全てを捨て去り、嘘で塗り固めた新しい自分を構築する中で、しかし「アンジェ」という名前だけは捨てられず嘘にすることも出来なかったプリンセス改めアンジェ。理想のプリンセス像。捨てきれなかったアンジェの名前。それぞれが大事にしたものが、いつかあの子と再び巡り会う為に、二人が縋った唯一の希望と思うと、その尊さとそこに込められた決意の重さに震えずにはいられない。
東西に分かたれ長い間分断されることになった二人。しかし、だからこそ運命に翻弄された二人が再び巡り会えた第二話。そこでの二人のやり取りが意味するものは、より格別なものとなり、破格の感慨深さをもたらす。時系列を入れ替えられた放送形態。その醍醐味を存分に味わえる。素敵で無敵で悲しく寂しい。様々な感情が入り交じる味わい深いエピソード。
メイドインアビス 第10話「毒と呪い」
脚本:小柳啓伍 絵コンテ:飯野慎也、阿保孝雄 演出:工藤利春 作画監督:伊藤晋之、樋口香里、大下久馬、三浦龍リコの身を襲った凄絶とも言える深界四層の上昇負荷による苦しみ。自分の至らなさを悔いながら衰退していくリコの姿を前に己の無力さを痛感し空虚になっていくレグの葛藤。アビスの深淵に挑んでから本当の意味で初めて直面した死の危機というのも大きいが、アニメ媒体で声と色と音が付いたからこそ、この重く苦しく辛いシーンのインパクトは格段に跳ね上がったと痛感する。
それだけにこの状況下で突如として現われ、淡々と状況を推移させていく救世主ナナチの異質さと魅力もより映えたと思います。演者である富田美憂さんと伊瀬まりやさん、井澤詩織さんの好演には、心からの称賛と拍手を送りたいのです。痛いけどその痛みがとても愛おしい。
ひなろじ ~from Luck & Logic~ 第11話「一年の計はカウントダウンにあり/据えチョコ食わぬは女の恥」
脚本:高木聖子 絵コンテ:白幡良志之、児谷直樹 演出:児谷直樹 作画監督:Hwang seong-won、Seo Jeong-ha 総作画監督:仁井学ひなろじ改めゆりろじと言っても過言ではない程に、いつも以上に百合百合した空気が全開だった至高の回。前話で本当の意味で友達になったリオンとニーナの急速な百合ップル化にニマニマせずにはいられない。ニーナが初めてのチューを奪われた年末年始のエピソードに、キューピッドの力が宿ったチョコを食べた影響で、いつもは沈着冷静なニーナが人目も憚らずに過激な行動でリオンに迫る様は必見。
そのチョコレートにしても、ゆうこに迫った瑞希がいつも通りであったり、弥生に迫った万博の潜在意識に潜む思いを引き出したりしていたことから、日頃からリオンにベタベタされるのをニーナが心の底では嫌がっておらず、満更でもない思いで受け止めていたことがハッキリと見て取れるようになっていて、無限に肥大していく尊さに昇天するしかなかったのでありました。
最終回直前に放り込まれた至高の百合ップルエピソード。リオンとニーナは勿論のこと、弥生とまひろのあれこれも見応えあったし、弥生を慕うかりんかれんを交えての絡まりっぷりがまた濃厚で、過激な方向に突き進んでいたのもまた良かったのです。ひなろじが永遠に続いて欲しいという思いが、最終回直前にしてより強まってしまうのだ。
宝石の国 第10話「しろ」
脚本:ふでやすかずゆき 絵コンテ・演出:武藤健司 CGディレクター:越田祐史ど迫力な新型月人との追走劇と戦闘パート。CGアニメの神髄ここに見たりという動かし方で、キャラクターだけでなく背景や建造物の緻密な描写がもたらす臨場感たるや、半端なものではなく否が応でも引き込まれてしまう。逃げて隠れて戦って。多彩なアクションに多角的かつ多面的にキャラを捉えるカメラアングル。これは本当に見応えありました。
強固に結びついているようで危うく脆い。パートナー組んでいた時には決して内心というか本音を言い合えなかったダイヤモンドとボルツの兄弟が、一度離れ、ダイヤの顔面が砕けて見えなくなったことで、初めて相手に言いたいことを言えるという物語的、キャラクターの心情的な意味でも見せてくれる回になっていて、とても印象深いものとして刻み込まれた。ダイヤの顔に映し出されるボルツのカット、本当良いよね。
アイカツスターズ! 第86話「涙の数だけ」
脚本:待田堂子 絵コンテ・演出:安藤尚也 作画監督:橋口隼人桜庭ローラの物語には涙が付き物である。それは嬉し涙であったり悔し涙であったり。その時々の状況や状態は異なれども、今までもローラは涙を流すことで大きく前進し、飛躍を遂げてきたアイドルでもある。それはまさに彼女にとってのアイカツの軌跡であり歩んで来た道のり。桜庭ローラにしか成し得ない彼女だけのゴーイングマイウェイなのです。
そして、それらの涙はローラが臆することなく挑戦し続けてきたから得られた尊きもの。他の相手がどうこうではなく、彼女が自分自身に負けずに挑み続けてきたから手にすることが出来た得がたき経験。それが今の彼女を育み築き上げている。だから、強敵のエルザとの勝ち負け以前に、自分自身に負けることは自分自身の否定。そして築き上げてきた全ての瓦解を意味する。そうなればこれから先は当然ないのだ。
業界は違えども似た境遇の綾乃との会話を経て、自分自身に負けないことの大切さに改めて気づけたことが素敵。今出来ることを全力でやり遂げ、ぶつかっていくこと。更に先を行くために歩みを止めずに立ち向かう決意と覚悟を固めたこと。これまでの物語を踏まえた上で先行きを展開していく物語構成の緻密さに否応なく引き込まれてしまう。
確かに勝負はエルザに圧倒された。でも、今の自分に出来る最大限を発揮した実感。その上で流した悔し涙。それらは挑戦しなければ得られなかったもので、挑戦したからこそ手にした得がたい経験。これまでもそうだったように。ローラが前を向いて挑戦し続ける限り、流した涙は決して無駄にはならない。その涙が彼女を強く大きくしてくれる。
ゴーイングマイウェイなアイカツを模索した一年目、S4戦、スパイスコードの継承、そして今。繊細かつ丁寧に積み上げられてきたローラの物語があるから得られるカタルシス。気合いの入った作画が流れる涙の美しさをより引き立ててくれる。サブタイトルに冠された題を噛みしめるのです。
今年も本当に刺激的で挑戦的な作品に多数出会えて選出も難航しましたが、その半分くらいが朝夕アニメからの選出になるのは私らしい。やはり年間通して放送してるっていうのは、それだけで大きなアドバンテージであるのかもしれない。ただ、それも一つの味ということで。今年も案の定ギリギリだったけど、来年もまた挑戦できたら良いな。
改めてやってみると大変。でも楽しい年間総括記事!去年に続いて二度目となりましたが、こうしてギリギリでも何とか形にすることが出来て一安心。さてさて、今年も色々ありましたが年内の記事の投稿はこれがラスト。最後までお付き合い頂いてありがとうございました。来年もまた数多くの素敵なアニメに出会えることを願って。それでは皆様、よいお年を!
次点
一部本編で挙げた作品と重複してますが、他に最終候補として挙げていた話を参考までに。
・ALL OUT!! 第14話「Xデイ」
・リトルウィッチアカデミア 第8話「眠れる夢のスーシィ」
・アイカツスターズ! 第50話「最強のLIVE☆」
・弱虫ペダル NEW GENERATION 第24話「雑草の走り」
・エロマンガ先生 第11話「二人の出会いと未来の兄妹(ふたり)」
・月がきれい 第12話「それから」
・僕のヒーローアカデミア SECOND SEASON 第23話「轟焦凍:オリジン」
・ボールルームへようこそ 第11話「評価」
・結城友奈は勇者である -鷲尾須美の章- 第4話「たましい」
・リルリルフェアリル~魔法の鏡~ 第31話「思い出のメロディー」
・魔法陣グルグル 第20話「抜け出せ!レフ島!」
・このはな綺譚 第10話「姉上襲来」
・キノの旅 第10話「優しい国」
・Fate/Apocrypha 第22話「再会と別離」
・少女終末旅行 第12話「接続/仲間」
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