りゅうおうのおしごと! #03「研修会試験」極限状態に追い込まれても折れない不屈の心。



棋力も気力も十分。プロ棋士から見ても誰もが認める才能もある。しかし、それでも今のあいには突破出来ない壁。立ちはだかる現実の問題もある。三連勝を厳命した母親の課した試練。最大最強の壁として立ちはだかった銀子の与える重圧。過酷な棋士の世界を生きている彼女だから出来る。確かな経験に裏打ちされた盤上だけではない駆け引き。
今回はこれでもかというくらいに、幼いあいの心を試し、折ろうとする要素に満ち溢れていた。それらに相対したときに、最後に物を言うのは何者にも屈することのない強い心。折れそうになっても何度でも立ち上がり、前を向いて歩き続ける不屈の闘志。強者を前にしても怯むことなく立ち向かう勇気。技術面ではなく精神面に依るところが大きいのだと思います。
実際に才能溢れる者が集う棋士の世界で、僅かにある技量の差を持つ者同士が相対したとき、その勝敗を分けるのは技術面ではなく精神面。勝ちたいという思いを強く持ち、それに対してどこまで貪欲になれるのか。よりそうなれた者が競り勝つ世界でもあるのだと思う。最後まで勝ちを諦めずに執念を見せて勝利をもぎ取り、スランプを脱した前回の八一がそうだったように。
確かにあいは銀子に届かなかったけど、人に重圧を与えるのが心ならば、人に良い影響を与えるのもまた心。涙を流しながらも最後まで勝利を諦めず指し続けたあいの気迫。それは見ている人の心を振るわせ、例え棋士になれなくても将棋界で娘が得られるものはあると、あいの父親に思わせる契機にもなった。劣勢でも負けを悟っても最後の最後まで打ち切ったあいの強い心が、一筋の光明を手繰り寄せた。
何より一度は折れそうになったあいは、師匠である八一の後押しを受けて、顔を上げて再度母親と向き合って将棋の道を歩むことを嘆願したのだよね。あのまま俯いたままでは途切れていた道と繋がり。それが叶ったのも壁に跳ね返されても立ち上がり、顔を上げて歩み出そうとすればこそ。不屈の闘志が、折れない心が、強者を前にしても退かずに立ち向かおうとする勇気が、状況を打破する一手となった。
勿論諦めなかったのは師匠の八一も同じだが、最初は春休み限定で弟子を取るつもりもなかった彼の心を動かし、実際に行動に移させたのも、あいの気迫溢れる将棋あってのものだもんね。例え一つの壁を越えても更に高い壁が立ちはだかる。どこまで行っても終わることなんてない棋士の道。そこを歩み誰よりも高い頂きに至ろうとするならば、何よりも誰よりも強い心が必要になる。
ということであいの研修会入会に際し、まだ小学生のあいの心をこれでもかってくらいに攻め立てる話運びに魅せられたのであります。二枚落ちとはいえ久留野七段や姉弟子との対局は見応えありましたし、JSとの絡みだけでなく本来のテーマでもある将棋でも魅せてくれたのが嬉しい。いや、勿論それもあるに超したことはないんだけどそれだけでもいけないということでね。
ともあれ無事に弟子入りを認められ一段落。でも女流であろうとプロであろうと棋士の道を目指すあいに休息のときはなく。これが終わりではなく全ての始まり。晴れて正式に師弟となった二人の前に立ちはだかる次なる難題は如何なるものになるか。新展開も楽しみなのです。



姉弟子の真価発揮というか女流二冠は伊達じゃないと言いますか。この若さで複数のタイトルを持ち、将棋史上で最強の女性と評されても、それでも銀子は現状に甘んじることなく常に上を目指し続けている。化け物が集う奨励会の三段リーグ。その上にあるプロ棋士を目指し、今も臆することなく挑み続けている。
あいに対して踏み込めなかった自身を省みて、苦悶の表情を浮かべながらなお顔を上げる強かさ。棋士として最善の勝利を突き詰めようとする姿勢。彼女の生き様。強さみたいなものは、今回の話を更に盛り立ててくれていた。あいにとっても公的な場で、勝負師としての銀子を感じられたのは色々な意味で大きかったのではないかなと。


晴れて弟子入りを正式に認められ、最後には満面の笑みを見せてくれたあいちゃん可愛い。あいの母親が新たに示した条件は、八一にとっては人生の詰みに至る道筋が切り開かれたかもしれないが、あいちゃん的にはそれはそれでオールオッケーなのだろう。今泣いた烏がもう笑う。子供ながらの可愛さを持ちながらも、大人顔負けな負けん気の強さは母親譲り。その強い心で自分が志した道を邁進していって欲しいのです。
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あいが正式に八一の弟子になりました。
なんかあいが中卒までにタイトル取れなかったら八一が婿養子に入ることになりましたが。
無事3連勝するのかと思いきや銀子様には勝てませんでしたね。あいのリベンジなるか。
局面はサッパリわかりませんでしたが。将棋を勉強したほうがいいかな。