りゅうおうのおしごと! #06「オールラウンダー」それぞれにとっての越えなければならない壁。



壁にぶつかり乗り越えて成長していくのは弟子のみに非ず。プロ棋士になろうとタイトルホルダーになろうと将棋指しとしての彼らに終わりなどは決してなく。その世界に身を置き続ける限り、相手だけでなく常に己と向き合い限界を越えていかなければ先はない。ということで今回は主に竜王の防衛戦を見据えて戦術の幅を広げようとしていた八一が中心の回でしたが、壁に当たっているのは何も彼に限らない。
年齢制限により女流の道が閉ざされるのが迫る桂香もそうだし、敗北だけでなく勝利することで味わう苦痛をあいも学んで苦しんでいる。才能の有無に関わらず、この世界で生き続けようとする者は、程度の差はあれ遅かれ早かれ等しく壁にぶつかることになるんだよね。時にもがき苦しみ、非情な決断をして、それでも折れずに壁を乗り越えようと挑み続けるような人だけが、先へ進むことを許されるのだと。
八一が苦手意識を持っている山刀伐八段。八一に振り飛車を授けてくれた生石玉将いわく、才能だけなら八一が上とのことだが、それでもなお今の八一が彼に翻弄されるのも、ひとえに将棋と向き合ってきた時間の差。将棋界でも屈指の研究家として名を馳せる将棋に対する執念情念なのだと。その自己研鑽の賜物。裏打ちされたものが、彼のオールラウンダーというスタイルに直結している。
プロだろうと女流だろうと棋士になるためには、確かに才能が必要だろう。それも覆しようのない一つの現実だ。しかし、それが全てではなく、それ以上に必要なものもある。どこまで将棋や自分と向き合えるか。突き詰められるのか。終わりのない世界だが、本当に終わるときがあるのなら、それは心折れて諦めた瞬間。限界を悟り自分で線引きを行った瞬間なのだと思います。
だから絶望的な状況に置かれたときに、それをはね除け乗り越えていく強さが。壁を越えても慢心せず、今の自分に満足せずに己を高め続けられるような心が求められるんじゃないかなと。桂香とあい。ながなか壁を破れず長年もがき苦しむ者と、圧倒的な才覚故の悩みに直面する二人の姿もあったから、八一の前に立ちはだかる山刀伐八段の存在感と、棋士としての彼の生き様がより映える。
竜王のタイトルを取ったから終わりじゃない。既にタイトルホルダーで弟子を持つ身となった八一だが、そんな彼でもこれから先の時間の方が圧倒的に長い。未だ年若い彼の道は始まったばかりだ。故に必要となる覚悟と強い心。立ちはだかってくれる相手。高め合ってくれるライバルの存在。これまでの回でも描かれてきたそれらの要素が、如何に大事なものなのかを改めて感じさせてくれる。
師匠として優しいだけじゃない厳しさを併せ持つ八一の姿、また一人の棋士として八一がこの先向き合っていかなければならないもの。何度となく立ちはだかるだろう壁を前にしたときの心構え。相変わらず小学生に対して危ない言動を素で繰り出す面白さを交えながらバランス良く描き出してくれていた回だったと思う。相変わらずシリアスとコメディのバランス、緩急が絶妙な塩梅。


あいちゃんの素敵な観察眼によって飛び出した爆弾発言。姉弟子はツルツル…覚えましたし。桂香さんのフォローになってないフォローもまた秀逸でありました。でも、ロリ王的にはそっちの方がポイント高(ry。


一切の迷いなく澄んだ爽やかな笑顔で踏んでくれと高らかに言い切る八一さん。他意はない。他意はないはずなのに危ない言動にしか聞こえないのは何故だろう。JS研によるマッサージもご褒美だが、姉弟子に容赦なく踏み抜かれるのもまたご褒美。初回であいちゃんが銀子に対して言ったSMの女王という評も、あながち間違いでは…。
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八一にとって手強い相手がでてきました。その名は山刀伐。
精神攻撃で自分のペースにのせている感じでしたね。
はたして、八一は勝利することができるのか。
八一まだまだ修行しなくてはなりませんね。