カードキャプターさくら クリアカード編 #16「さくらと苺鈴とおともだち」去り際まで完璧な苺鈴ちゃんに感謝しかない。




一難去ってまた一難。揺動の騒動に一段落付いたかと思ったら、立て続けにさくら達の身を襲うカードによる騒動。往年のツイン戦を彷彿とさせる体術勝負も動きに動いていて凄い見応えあったし、ケロちゃんすら介在しないさくらと苺鈴二人だけのコンビ性が主張されたことで、苺鈴の帰国に伴う別れ際のやり取りの破壊力やキレがより一層増していた気がする。
魔術の名門李家に生まれながらも魔力がないことで、さくらや小狼の直接的な力になることが出来ないことを気に掛け、今でもそれを悔いている苺鈴だけど、例え魔力がなくても彼女の圧倒的すぎる存在感は揺らがない。さくらや小狼にとって精神的な支えであることを改めて痛感したし、さくらと小狼双方に特別な縁を持つ者として、苺鈴にしか出来ない役回りをキッチリ果たしてくれていた。
もう本当にそのことに感謝しかない。他人のことを気遣うあまりに、自分のことを蔑ろにして他人の幸せを優先してしまう。さくらも小狼も苺鈴が言うところの「良い人」だからこそ、あえてそれを指摘して自覚を促してくれる苺鈴の存在が本当に有り難い。さくら達が幸せになれなければ悲しみ人たちだっている。真の意味で友達になろうとしている今だからこそ染み渡るシーンだ。
だからこそ、別れ際の呼称の変更と呼び捨て。苺鈴のさくら呼びは効くよね。幼馴染みで従兄弟で初恋の相手でもある小狼が介在しなくても、一個人として苺鈴の中で特別な親友という位置づけのさくらが今いるのだから。その親友にして戦友の幸せを一人の友として心から願っている。苺鈴がさくらに向けた鼓舞と粋な計らいは、それだけにとても味わい深くて尊いものだと。
さくらにとっても小狼にとっても大きな存在。二人を繋ぐ存在でもあり、精神的な支えでもある苺鈴は、その役目を終えて帰国の途についてしまう。でも、お互いの幸せを心から願う。その上で自分の幸せにも目を向けることを意識した「良い人」であるさくらならきっと大丈夫。何よりさくらには無敵の呪文「絶対だいじょうぶだよ」があるのだから。
ということで来日していた期間は短かったけど、それでもさくら達にとっても物語上でもとても大きなものを残していってくれた苺鈴ちゃん流石だなと思わざるを得ないここ数話の内容でした。他人の幸せを願う余り、自分のことを疎かにする。自分のことはどうでもいい人になってしまう。そうなる人を見て悲しい思いをする人もいるんだよと、さくら達に訴えかけるのに苺鈴以上に適したキャラもいない。
その境遇やこれまでの経緯。全てをフルに活用して皆が幸せになれる未来への道筋を示してくれた苺鈴ちゃんに、だから感謝の念しかないのだ。胸に秘めていながら表に出せなかった感情が表出するのに呼応するように、水面下に潜んでいた様々な事柄が浮上し始めた。ここから物語がどのように進行していくのか。ますます見物なのである。



いつも通りの穏やかな時間。その会話の中に混じったほんの少しの違和感が、事態を大きく変える転機となる。ということで遂に魔術師としての姿。その一端が垣間見える海渡の魔法使用シーンでしたなぁ。時間に干渉する魔法が如何に高度で、術者に負担が掛かるものなのかは、前々回の小狼を見ても明らかですが、それを平然と使用してのけていることからも、彼が高位の魔術師であることを窺わせる。
表向きは自分にとって都合の悪い秋穂の記憶を、意図的になかったことにしたように映るが、そんな彼の真意はどこにあるだろうか。苺鈴ちゃんが語る「良い人」の定義。誰かの幸せを願う良い人に彼も当てはまるのか。また、その為に自分のことはどうでもいい人であるのか。秋穂のことを思えばこその行動かそうでないか。それ如何によって話は大きく変わるだけに、今回の話ってやっぱり今後の展開を大きく左右しうるウェイトの重い回でもあったのだなぁと。
願わくば海渡も他の人の幸せを願う優しい世界の住人でありますよう。それにしてもやっぱり海渡もカードキャプターさくらの世界における、穏やかな雰囲気を身に纏う物腰の良い人はやはり…のパターンに入ってしまったようだ。観月先生にエリオルくん。各編の裏事情を知る者たちは、すべからくこうなってしまう運命なんだな…。
ケロちゃんにお任せのコーナーでも名指しで怪しい認定されてしまった海渡くん。彼が今後表立って本格的に介入し始めるの否か。彼の今後の動向からますます目を離せないのだ。



知世ちゃんが放つ底知れないプレッシャーに怯えるケロちゃんが面白い。封印の獣ケルベロスも今や非常時の専属代理カメラマンとして、すっかり調教されてしまったのである。何と悲しき世の無常よ。争闘のカードの騒動時に、眠っていて主を守れなかったことを嘆くのではなく、撮影出来ずに知世ちゃんに何て言ったらと嘆くのも面白かったが、ここも何気に重要なところなのかなと。
あれだけの騒動だったにも関わらず全く目を覚ます気配すらなかったこと。それも揺動のカードを捕獲する際に、さくらが広大な範囲を「包囲」で覆う大規模魔法を行使した影響かもしれないが、第12話でもそれとなく仄めかされていたように、必要以上の眠りに就いているケロちゃんの現状というのはやはり気になる。この点を含めてこれまでの物語で巻かれていた諸要素が、徐々に表出し始めているのを感じる回でもあった。
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TVシリーズの続編として期待以上のものを見せてもらえました。
(むしろ苺鈴のいない原作世界は大丈夫なの?と心配になるレベル…)
>時間に干渉する魔法が如何に高度で、術者に負担が掛かるものなのか
先日の小狼君の奮闘もこの前振りだったのか…と、戦慄(^^;)
海渡が「良い人」なのかどうかは、今後の言動に注目ですね。
(寝過ごしケロちゃんのコンディションは気になります…)