HUGっと!プリキュア #16「みんなのカリスマ!?ほまれ師匠はつらいよ」自分以外の大切な人の為に自らを捨てて動けるのもまた人間。




自分の為?それとも他人の為?人間の心は複雑怪奇なものであり、ときに理屈では測れない。自分でも予期せぬ行動に走ることもある。衝撃の幕引きとなった今回のお話。幼馴染みでクラスメイトのじゅんなとあきのすれ違いに端を発していた回でしたが、彼女ら二人が仲違いをしてしまったのも、お互いを思う気持ちあればこそなのですよね。
大切な人を思うが故に喧嘩する。誰かを思う気持ち故にすれ違っては本末転倒かもしれないが、その気持ちがあるからこそ、より強く結びつくこともある。そんな矛盾を抱えた存在が人間であり、時に自らの気持ちや考えを押し殺して、自分以外の他人の為に衝動の赴くまま行動してしまうのもまた人間なのだ。然るに今回のルールーも理屈ではなく自らの思惑に矛盾した行動に走っている。
プリキュアを抹殺するにはあのままプリハートを奪ったままでいればいい。それが合理的で自分の任務を鑑みても当然の帰結。でも、そうは出来なかった。結果的にルールーは自らが不合理で理解不能とした感情に基づく行動を選択するに至ったわけだ。彼女が機械人形であることが作中で明確に示された回で、機械的ではない人間的な感情に基づく行動。心の機微を繊細に描くというのが凄いよね。
ルールーに限らず人の心は複雑で大人だって一概に割り切れないことがある。はな達のように多感な時期の少女なら尚のこと。周りから大人びて見られる事も多いハリーやほまれとて例外ではなく、今回は登場人物の心の振れ幅とその繊細さを絶妙な加減で描写していて魅入ってしまいました。光と影の明暗、空模様を用いて各キャラの心情映し出す鏡にする等々。本当に丁寧な作劇で素晴らしい。
特にルールー周りの描写は細かいところまで含めて徹底されていて。ここ数話で光に寄り始めていた彼女が、光差す場所から影のある闇に自ら一歩踏み出すシーンや、一度は奪ったプリハートをどうするか葛藤して揺れ動く光と闇が交錯する黄昏時のシーン。天候だけでなく時間経過に伴う変化と、ギリギリのラインで揺れ動くルールーの繊細にして不安定な心情の変遷の重ね方は見事と言うほかなかった。
演出・アクション・作画。どれをとっても申し分なく、前回とはまた違った意味で見応えのある。有り体に言ってしまえば神回の一つであったと思う次第です。理屈ではなく感情を優先した行動。ルールーの正体の露見。物語的にも一つの山場を迎えていて、早く次を見たいという思いが回を追うごとに強まっていく。
はな達が回収されたルールーと再び対峙するとき、彼女らはルールーとどのように向き合えるのか。感情と人の心が理屈を超えて奇跡を起こす一助となり得るのか。物語的にも凄い盛り上がりどころ。想定以上に早いペースで出し惜しみすることなく次々に畳みかけてきてくれているだけに。本当に次回どうなるかが楽しみ。



これまでの描写でそれっぽいフラグはあったんだけど、ルールーちゃんはやはり機械仕掛けの機械生命体。人工的に生み出された人造人間的な存在だったのですなぁ。ここ数話で見せていた心や感情の芽生え。前回のえみるとのやり取り。そして今回冒頭のバスケシーンでの馴染みっぷり等々。順調に依ってきていたからこそ、今一度元いた闇の方に戻る過程と変遷。
それを踏まえた上でのラストシーンのインパクトの跳ね上がりがあったように感じる。理屈やプログラムでは推し量れない。感情に基づいた行動が彼女にもたらしたものは大きく、その代償もまた大きい。何が正しくて何が間違っているのか。それは当人にしか分からないかも知れないが、キュアエールを庇い機能停止する直前にルールーが一瞬だけ見せた口元の笑み。
それが全てを物語っていたように思います。そういう表情や仕草の細かいところまで含めて今回は最高だったと思います。

パップルさん頑張る。プリキュア側の力を如何にして削ぐかという敵幹部同士の比較的シリアスで真面目な内容の会話が交わされたシーンでもあったんだけど、やっぱり画的なインパクトが強すぎてどうしてもネタ要素というかギャグ要素としての側面が強く出ていることは否めなかった。ルールーちゃんの辛辣かつ現実的な評価。無理もないのである。
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