この感情だけは自分だけのものだ双熾が今まで何を思い生きてきたかという生い立ちが語られた回となりましたね。
本当の自分に気づいてくれたのは双熾だけでなく凜々蝶様も同じでした。
凜々蝶様同様に双熾もまた名家という特殊な環境の犠牲となった一人だったんですね。
違っていたのは先祖返りでも御狐神家は管理をすることで家が栄えると考えていたこと。
軟禁されて自由とは本当に無縁だった双熾が成長の過程で歪んでしまうのも無理はない。
生まれついての恵まれた容姿や狡猾さも双熾をより歪ませるのに一役買ってしまった。
次々に女性に取り入ることでより権力を持つ者へ近づき自由を求め続けていた双熾。
そんな折に彼が出会ったのが青鬼院菖蒲であり彼女に近づいたことで蜻蛉とも出会った。
しかし自分自身というものを持たず故に感情を持ち合わせない双熾は変わることがない。
そんな彼にとって転機となったのが蜻蛉から依頼され始めることになった代筆でしたね。
見たことのない相手の凜々蝶に対して架空の存在蜻蛉を通して感情について考えていく。
凜々蝶と話を合わせるために今まで意識しなかったことを意識し経験して見聞を広げる。
今まで役に引っ張られたことのない双熾が引っ張られてしまったのも錯覚ではなかった。
凜々蝶に感化されて空っぽだった双熾の中に初めて個というものがが生まれたんですね。
今の御狐神双熾という人物を形作ったのは他ならぬ凜々蝶様であったことは揺るがない。
だから双熾も凜々蝶を見てみたいと思い同時に彼女の姿に最初落胆したのだと思います。
自分に変化を与えて新しい個を生み出してくれた手紙の彼女も偽りでしかないと考えて。
でもそこで何より落胆を感じたのは既に双熾が変わっていることの証でもありますよね。
今までは他人は利用する存在でしかなくその内面は気に掛けるものでは決してなかった。
思えば今回は凜々蝶様と双熾の二人が色んな点で対照的な存在として描かれていました。
同じ先祖返りでありながら形式上周りから大事にされた凜々蝶と常に孤独だった双熾。
それでいて器用に立ち回ることが出来る双熾とそれが出来ない凜々蝶様が対称的ですね。
対称的な存在だった二人ですが根本部分で求めていたことは実は共通なのかなと感じた。
二人とも誰かと繋がって誰かに本当の自分を理解して欲しいと言う思いが奥底にあった。
双熾のそういった感情は代筆を請け負い凜々蝶と文通を通して芽生えた感情かもだけど。
共通した思いを抱いてるからこそ相手の内面を知り愛おしさすら感じるようにもなった。
そして同時に自分のことを知って欲しいとも思ってしまうことに繋がってしまいました。
陽炎というサブタイがまた秀逸で凜々蝶の文通相手は双熾の作り出した虚構の存在で。
凜々蝶が内面を見せる相手は実体のない虚構虚像の存在であり自分ではないという葛藤。
それでも自分を知って欲しいと言う欲求を抑えられず勇気を出して初めて自分を出した。
それに凜々蝶様が気づいたと言うことは初めて自分という存在が認められたのと同義で。
周囲から遠ざけられ本当の意味で自分という個を見てくれる人が周りにいなかった二人。
そんな二人が求めていたのは本当の自分を理解してくれて繋がりを感じられる他の存在。
全ての事実をを聞かされた凜々蝶様が感じたのは戸惑いでも不安でもなく納得でしたね。
気づいてくれたのは双熾だけじゃなく凜々蝶様も同じでそれが救いになったのも同じで。
全てのわだかまりがなくなって本当の意味で二人が繋がることが出来て本当に良かった。
次回 第12話「二人になった日」今まで経歴や内面といったもの殆ど全てが謎に包まれていた双熾のことが分かりました。
凜々蝶様に救われたという理由や双熾が凜々蝶様を何よりも大事に扱うのも納得ですね。
今の御狐神双熾を生み出したのは凜々蝶様と言っても過言ではなく全てになるよねぇと。
それにしても蜻さまは昔からあんなだったのかと分かって安心したような驚いたような。
まぁただ現代の蜻蛉も含めてですけど突拍子もない言動はあっても人を良く見てますね。
双熾や凜々蝶様に対してそれとない助言を与えて見守り謝る時はしっかり謝れるお方!
人の上に立つ人間って言うのはやっぱりこういう器の大きさも必要なんだなと思ったり。
今回の感動話を受けて次はいよいよ最終回となってしまうのが寂しいですねぇ。
物語的にはむしろここからなんじゃないかとも思えるのですが実際はどうなんだろうか。
アニメの最後がどういう風に締められるのかを楽しみにしつつ次回を待つことにします。
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関連エントリー第12話「二人になった日」第11話「陽炎」第10話「裏切りの妖狐」第9話「約束の日」第8話「お茶と距離」第7話「ふたりのよる」第6話「考えるよりも」第5話「春の蜻蛉」第4話「妖館ウォークラリー」第3話「ほんとうの契約」第2話「淋しがり屋の犬」第1話「いぬとぼく」
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話数単体でなら今期ベストです。
正直ここ最近は似た様なモノローグを繰り返しているだけで退屈かな?と感じていたんですが、全てはこの話のためだったのだと納得させられる出来でした。
想像し、感じ、考える事で情緒を育ませていく。丁寧で美しい描写に自然と涙が流れました。
エンディングにOPが流れたのも良かったです。紙飛行機の意味が分かる、完璧な流れでした。