さばげぶっ! #10「トレジャーハンター/かなしみのアイドル/さVP」さVPの話はナレーションの玄田さんにあの台詞を言わせたかっただけとしか思えない!
しかし全体を通してその再現性の高さには素直に驚かされたのです。




金欠のモモカが何とかお金を得ようと偶然発見した自作の宝の地図を巡っての一騒動。交通費すら捻出できない状態の哀れなモモカが当然のように目を付けたのが金持ち美煌を含むさばげ部メンバー。必要な費用のみならず必要な人員も確保できるっていうんだから一石二鳥。移動に自家用ジェットのようなものを使用してる時点で相当金が掛かってるであろうことは想像に難くないが、そこに突っ込みを入れるのは無粋であろう。
モモカがプライドをかなぐり捨てて美煌に金くれって言えばそれで解決な気もしますが、それをやったらモモカがモモカでなくなってしまう気がする。それに美煌も面白いことがあるならそれで良し的な思考を持っているので、何も面白いことなくただ金をくれって言われても応えてくれるかは相当に疑問が付くところでもある。
ダウジングを利用した宝探しは地図の幼稚さからも結果は推して知るべしなもので、モモカにとっては過去の自分によって恥ずかしいポエムをメンバーに暴露されて失笑を買うという、これ以上ないくらいの屈辱を味わう結果となった。視聴者的にはモモカにこんな純粋なことを考えている時期が一時でもあったのかという衝撃的なポエムでもあったのですけどね。この純粋モモカに何があったら今みたいな徹底したゲスさを備えることになるのだろう。少女は謎で満ちている。
また同じ傷を持つ者同士で分かり合えたと思ったのに、それを嘲笑ったモモカをかよが迷うことなく撃ち抜いたことに同情する者は誰一人としていないだろう。同じ傷を持とうが自分にとって笑えることなら全力で笑い倒す。それが園川モモカなのである。




人気アイドルのヤミー失踪ということでそもそもアイドルとさばげ部をどうやって絡ませるのかなと先週の予告の時点で思ったんですよ。よくよく考えなくても麻耶がグラビアアイドルでもあるので芸能繋がりと推察できそうなもんですが、如何せん普段の麻耶を見てて自分の中で彼女が芸能関係の人と言うイメージが一切定着していないことに、今更ながらに気づかされたのである。
まぁ究極的にいえばそんなものなくてもどうとでも接点を作り出せるのが「さばげぶっ!」なんでしょうけど。
気になるエピソードの内容ですが、失恋からくる心因性の摂食障害で激太りして悩むなんて本作に似つかわしくない繊細な心の持ち主であるところのヤミーを、似たような経験をしたモモカが積極的に助けるってなるのが普通の流れじゃないですか。しかし助けるどころか自分が優越感に浸れるから逆に痩せさせまいと画策するモモカはもう救いようがない。モモカが激太りしたのはあくまで己の欲望に突き動かされた結果なので尚更性質が悪いんだけど。
そもそもモモカの行動理念はいついかなる時であろうと自分のため、自分さえよければ他がどうなろうと知ったこっちゃない。世界は自分を中心に回り自分の為に存在すると本気で思っている。その信条が揺らぐことはないから結果的にキャラクターがブレることもない。感心していいのかは分からないけど。
だからこの清々しいほどに真っ直ぐなモモカにヤミーが心酔してしまうのも百歩譲って分からなくもない。うららと似たような性質を秘めていたのかもしれない。何より傷心の時って普段受け入れられないことでもつい揺らいでしまうことってあるじゃない。ましてやヤミーの悩みの大元は「男」が発端になっているからこういう方向に走っちゃったのも仕方ない面があるよねと。結果的に同性の変人に好かれてしまうというモモカにとっては迷惑でしかないオチが付いて騒動は終息したのである。




サバゲの特訓でジャングルに行って遭難したり宇宙人が出たりすることに関しては最早何も言うまい。この作品はそういうもんだと視聴者の誰もが既に理解していることだろう。このエピソードはサブタイの「さVP」から分かるように「AVP(エイリアンVSプレデター)」のパロディエピソードである。一部2のネタも入っていた気がしますがその再現性は高く至る所に元ネタのあれこれが詰め込まれている。
ニャンコ星人の素顔を見てときめいたモモカに対しナレーションの玄田さんが「なんと可愛い顔なんだ…」と突っ込みを入れたわけですが、本家プレデターではシュワちゃんもとい玄田さんが「なんて醜い顔なんだ…」という台詞を発している。
正直このエピソードは玄田さんにこの台詞を言わせたかっただけではないのかとしか思えない(笑)正体不明の襲撃者に対して団結するどころか自分が生き残ることしか考えないモモカについてはいつも通りである。平然と味方を盾にして用が済んだら使い捨て、足手まといになりそうな者がいたら囮として置き去りにする。使えるもんは何でも使って用済みになったらポイというのは前回のレモン氏と同様であり、それは身内のさばげ部メンバーであっても例外ではない。
その鬼畜さたるや宇宙人から見ても他に例を見ないほどのゲスさであると認定される程である。可愛さ余って憎さ100倍というわけではないですが、おだてられればのぼせ上がり、煽られれば我慢ならないというモモカはいつも通りであった。
死んだと思っていた人間が実は生きていて、最後まで生き残った一人に止めを刺すという構成は元ネタのような映画のジャンルでもしばしば見かける。敵味方両方のパターンがあるけど。今回の場合、かよの交戦後に麻耶とうららと異なり吊るされる描写がなかった時点でオチを予想出来た方も多かったのではないかと思う。
それが分かっていたとしても、味方を裏切り使い捨て投降する意思を示した相手すら皆殺しにするという鬼畜の所業を繰り返したモモカを、かよが始末した時は思わず良くやったと叫びたくなってしまった。おそらく大半の視聴者が拍手喝采でかよを称えたのではないだろうか。まさしく因果応報。仲間を利用し見殺しにしたモモカに相応しい末路としか言いようがない。1話で着用して以降、使いどころがないと思っていたギリースーツがバッチリ役に立ったエピソードでもあった。
モモカがゲスいことはこれまでのエピソードで嫌と言うほど思い知らされていたわけですが、今回はそのゲスさにより一層磨きが掛かっていたように感じられた。作中でモモカが言っていた通り、彼女にとって世界の中心は自分であり世の中は自分のために回っていると考えている。そんな思考が根本にあるので例え対象となる人物が自分と同じ傷を持っていようがいまいがモモカにとってそこはどうでもいいわけです。
今回で言えばポエム仲間としてモモカはかよと同じ傷を持っていたと言えるし、激太り仲間としてヤミーと同じ傷を持っていると言える。でもモモカにとって大事なことは自分が被害を被るか、辱めを受けるかという一点のみであり、その対象が自分でなければ全力で弄るし笑いものにもするわけですよ。煽るのは大好きなのに煽られるのは我慢ならないというのも、この思考が大元にあるからである。
まさに「One for me, All for me」の精神なのである。悪びれることもなくこれを言い切り、また体現しているモモカはいっそ清々しい存在でもある。そんなわけで宇宙規模においてもそのゲスさを認定されたモモカのゲスっぷりが一層光る「さばげぶっ!」の第10話であった。そのモモカを二度に渡って始末したかよちゃんは今回のMVPキャラクター。
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