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ハナヤマタ 第10話「真智がよさこい部の仲間として溶け込むまでの過程の描写が素晴らしい」

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ハナヤマタ #10「オンセン・ガッシュク」

合宿を通して更に結束力を高めるよさこい部の面々。
今度こそ全ての問題が解決したかに思えたが―。
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多美を除くよさこい部のメンバーにしてみれば突然とも言える真智のよさこい部への加入表明。
今回は真智が本当の意味でよさこい部に溶け込み、仲間になるまでの過程を丁寧に描いていたと思う。

まず真智は入部の経緯が他の部員の時とは若干異なることに注目したい。
真智はあくまで自らの意志で入部してきたのである。
こう言うと語弊があるかもしれないのですが、なる達の熱烈な勧誘を受けることなくという意味でですね。

なるとハナは部の創設メンバーだし、ヤヤと多美は繰り返し勧誘を受けた上での入部であった。ヤヤと多美は元々なるとの付き合いが長いし、ハナとの関係を見ても勧誘活動や町内イベントの見学等の交流を経て、入部前からそれなりに仲良くなる下地が出来ていた。しかし真智にはそれが殆どなく唯一接点のあるメンバーは多美だけである。前回の姉妹の問題に直接的に介入したのも多美だけであった。


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また入部時点の部の置かれている状況というか環境も真智と他のメンバーで異なる点の一つかなと感じる。よさこい部が実質的に動き出したのは4人が揃ってからであり、その時点では部における役割や立ち位置などは決まっていなかった。各々が出来ることはある程度定まっていたかもしれないけど。

しかし短期間とはいえイベント参加を果たし、その準備や練習の中で部の中におけるそれぞれの役割や立ち位置が固まって来ていた。そこに飛び込んできたのが真智である。ここが4人と真智で異なる点であり、前半のシーンにおいてはメンバーとの距離を図りかねている真智の様子が多く見受けられ強く印象に残る。この時点では、よさこい部の中において居場所というか立ち位置を確立出来ていないのである。


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距離感を図りかねてどのように接したらいいかと戸惑っているのは、なる達も同様であった。
特にその傾向が強く表れて反応したのがヤヤであったように感じる。

それまで良好な関係を築けていた集団に、新しいメンバーが加わることに拒否反応を示す人って当然いると思うのです。保守的といいますか。それまでのメンバーで上手くいっていた集団が、悪い方向に変わってしまうのではないかという漠然とした不安を感じることで生じる無意識の拒否反応といいますか。

また言い方は悪いかもしれないが、それまでの集団の方針があるのに新参者がいきなりその方針に口を出すのかという不満。よさこいに関しては先輩であり、これまでの活動をやってきた自負もある。そこから抱いてもおかしくない様々な負の感情。

神の視点で見ている視聴者と異なり、この時点のヤヤ達は真智が影ながら頑張っていることも自分たちとの距離を詰めたい一心で必死になっていることにも気づいていない。表向きは傲岸不遜な態度を取っているように見える真智が、自分たちの方針に同調してくれず歩み寄りの気配すら見せてくれないとすら映る。なる達にとってこの時点の真智は未だに「厳格でちょっぴり怖い生徒会長」の常盤真智なのである。

またこの不満を持つ役割をヤヤが担ったのは、ヤヤが一度バンドの解散という集団の瓦解を経験しているからではなかろうか。「集団」に対する思い入れという点ではヤヤが一番強いものを持っていると思うのです。だからそれまで良好だったよさこい部に、今までと違う何かを与えかねない真智に強く反応していたのではないかと。元々の我の強い性格が大きく影響しているとも思いますけど。


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花彩よさこい祭りまで時間がないのに仲間と打ち解けられず踊りも思うように上達しない焦燥感。これまでのよさこい部を揺るがしかねない得も言われぬ不安感。互いに燻った感情を身の内に抱えていて火種は着実に育っていたわけで、あとはキッカケひとつでいつ爆発してもおかしくない状況。

そこに本命の花彩よさこい祭り参加の申し込みを忘れたという事実が投げ入れられて、真智からこれまでのよさこい部の否定とも取れる言葉をぶつけられれば衝突は火を見るより明らかである。

プライドが高く我の強い者同士のヤヤと真智がここに至るまでの心の機微の描写が素晴らしい。衝突のキッカケに本命イベントの参加申し込みを忘れるというのを持ってきたのは、一視聴者としてもビックリしましたけどね。「え?イベントのエントリーそのものを忘れたの!?」って。そこはなる達でなくても驚くよ(笑)


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他でもないヤヤが恐れていたであろう事態に陥りかけたよさこい部。
それを救い折衝役を担ってくれたのは、やはり多美お姉ちゃんであった。
戸惑うみんなと真智を「繋ぐ」のは、真智のことを知っている多美を置いて他にはいない。

分かってみればなんてことはない。真智も自分たちと同じく頑張って楽しみたい。
追いつきたい一心で必死になっていただけ。
その思いがあると知ったなら拒否反応を示す理由もなくなるのです。

音楽はない。まだまだ拙い部分もあり完成度は低いのかもしれない。
それでもようやく5人で一つになったよさこい部の踊りを見たときは正直ウルッと来てしまった。
本当にずっとこれが見たくて見たくてたまらなかった瞬間であったので。


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今回の冒頭で突然よさこい部への入部を表明した真智ですが、そこで入部の理由を明かさなかったのは、真智の真意をぼかすことで視聴者にもある程度なる達と同じ視点で常盤真智という人物を見て欲しかったからではなかろうか。

入部の理由は「凄く楽しそうだったから」というシンプルなもの。でもそれでいいのです。
憧れの人物のようになりたい、一緒に楽しみたい、感動の共有を得たい。
こららはハナヤマタという作品がこれまで一貫して描いてきたものである。
真智もなる達と同じなのです。よさこい部のメンバーは全員その想いを抱えてここまでやってきたのだから。

冒頭ではなくあえてここで入部経緯を明かすことで等身大の真智のイメージがより強く植えつけられる。
姉との確執を解消し重圧から解放されたからこそ出てきた真智の年相応の少女らしい一面。
なる達にとって生徒会長だった常盤真智が、よさこい部の仲間の真智に変わった瞬間ではなかろうか。

真智がなる達に抱いた気持ちも憧れ。向日葵の花言葉が示す通りですね。
満開に咲き誇る向日葵と同じく美しく咲いた真智の満面の笑顔、頂きました!


ということで真智のよさこい部加入の経緯が描かれた回。姉妹の確執を乗り越え年相応の面を見せ始めながら、どのようにメンバーと接したらいいのかに悩み、影ながら孤独に頑張る真智の姿がいじらしい。

繋ぐ役目に多美お姉ちゃん。メンバーを代表して変化に対する漠然とした不安や不満を感じ、ぶつける役目に真智と似た性格のヤヤを持ってくるところに、これまでの話の積み重ねが感じられたのも良い。真智の心の機微を繊細に描いて入部までの過程を丁寧に作り込んだ回だったのではないかな。

さて、真智も加わり不安要素なく本番になるかと思ったら最後の最後で不穏な気配!思い返すと全ての発端になっているハナの個別エピソードはこれまでになく、ここで持ってくるのかと。前半にハナが家庭事情を語るシーンを挟み、パパさんを登場させたのも今後の話へ含みを持たせるためだったんですね。

最後の最後まで予断を許さないハナヤマタ。
贅沢を言えば仲良くなった5人で何の不安もなく楽しむ回が1話欲しかったけどその余裕はなさそうだ。
予告を見た感じだと次は楽しさ7割、シリアス3割くらいのバランスになりそうな印象だい。
残り話数もごく僅か。物語もいよいよ佳境に入ってきました。

■言及
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