さばげぶっ! #11「ゴテゴテデコ/ぜったいシンデレラ/赤い流星」いつも以上に変人オンパレードな回であった。
金のためならあらゆる労力を惜しまないモモカさんは流石っす。




美煌から銃のメンテ依頼を受けて1話以来となる渋谷の街を訪れたモモカですが、周囲からの視線を気にするところはあの時と変わっていないですね。普段散々やりたい放題やっている割にこういうところで外面や体裁を気にするところがまた図太い。スイーツショップと間違えて入ったスイーツデコショップで年相応の少女らしい反応をいくら見せようが、視聴者のイメージが変わることは決してないのは言うまでもなかろう。
しかし今回はこの年相応の少女らしい一面というのがミソであったと思うのです。互いの認識にズレがあるのに何故か成立してしまう会話というのは、それだけで面白くなる傾向にあるのに、店員の妄想と現実のモモカの姿のギャップによって面白さを更に助長させている。
視聴者からすれば普段のモモカを知っているだけに、モモカがファンシーなものにときめいているだけでも笑えてしまうのに、その姿と真逆の極道の方がしっくりくるのだから更に面白い。6話でもそうでしたけど普段が普段なだけに硝煙と暴力の方が似合うと思ってしまうのは致し方ないことなのです。
予定外にデコられた美煌の銃を隠ぺいしようと動いていたモモカのことは置いておくとして、意外なまでに使い勝手が良いから部員みんなの装備一式をデコろうという発想が凄いわ。さばげ用とは思えない程にデコられた迷彩服と銃に仕立て上げられたけど意外にも嫌そうにしていたのはモモカとうららだけであった。
まぁ美煌は言い出しっぺだし麻耶もグラビアアイドルだからこういうの見られるの意外と慣れてるのかな。
かよに関しては1話でも街中でギリースーツを着用していたことからも推して知るべしである。
一人だけ凄い嬉しそうにニコニコしてるもの。
1話の時同様、周囲から奇異の視線を向けられることになるとは何も変わっていない…。
柄にもなくファンシーなものにときめいてしまったモモカが痛い目に遭うエピソードであった。




憧れの君にもう一度会えるのなら。大金持ちの言い出した突拍子もない話はシンデレラを彷彿とさせるものであり上手くいけば大金ゲットのまたとないチャンスである。しかし普通であればこんな話を真に受ける奴はそうはいるはずもないのですが、そのために全力を尽くすことを厭わないのが我らのモモカなのです。
当然のようにモモカの前に現れ特訓に付き合い、その博識ぶりやオタとしての強いこだわりを見せるレモン氏の姿に漢を見た気がする。一方で上手くいかないから簡単に投げ出そうとし、それでも思い直した理由はただひたすら大金を得たい一心である。
金、金、金なのだ。
乙女心でもレモン氏の真摯な姿に共感したわけでもなくひたすら己の欲望に忠実な姿は、己の生き方に一種の誇りと美学を持っているレモン氏とはあまりに対照的である。ゲスいことを誇りや美学と言ってしまうのならモモカもそれらを持っていると言えるかもしれないけど(笑)
この話のオチに関しては完全にしてやられた感じがします。個人的にハイヒールの君はモモカのママなんじゃないかと予想していたのです。モモカが失敗することは目に見えていたけど、そこに颯爽と現れたママンが大金を手にしてモモカが強奪に掛かるけど返り討ちみたいなオチを期待していた。思い返せばハイヒールを履いて機敏に動き回っていたレモン氏を見た時点で察しなければいけなかったのかもしれないが無理だよ。会長も周りのSPも何を普通に納得してるんだと突っ込みを入れたくて堪らなかったですぜ。
モモカの「変態だー!」という非難の台詞が今回ばかりは至極まっとうなものであるのが何故か悔しい。
変態も極めてしまえばフェチになる。モノは言いようですね。




美煌が高級ガニを持ち込んだことに端を発した珍騒動。食材として喰われるだけと思われたカニが実はまだ生きていてカモと戦闘行為を始めたところからおかしな方向に流れ始めたわけですが、この話のカモの行動はモモカとは対照的に描かれていたように感じる。
拳で語り合った好敵手だけが通じ合える共感を得てカニを助けるための行動を取っていたのがカモですが、それに関してはモモカとレモン氏の関係と似てるんですよ。ゲーセンの時は互いに死闘を演じシンパシーを感じ合ってオーストラリアの時は共に死線を潜り抜けた。しかしカモが終始カニを助けるために動いていたのとは逆にモモカはレモン氏を不意打ちで倒し、またアッサリ見限り使い捨てた。普段一緒に居ることが多いのに行動が真逆になっているところが面白い関係である。
カニを喰いたい一心で学校の敷地内や街中で大立ち回りをするさばげ部メンバーの姿には何も言うまい。しいて言うなら街の至る所に当然のように銃が配備されていることが気になるがそれも些末なことである。麻耶が当然のように最初に脱落することもそうなのです。例え同一エピソードで2回も最初に脱落したとしても些事なこと。細かいことは気にしたら負けだ!
この話のオチもちょっと予想とは違っていてカモがカニを逃がした代わりに食材として鍋に投入されるのではないかとね。カモの懇願によりモモカを除くさばげ部メンバーが同情的になり食べるのを諦めるなんて思わなかったのです。実際モモカがジャンケンを提案し部員全員がゲス顔をしたときは全員がグーを出すと信じて疑わなかった。しかし一人空気の読めないモモカだけが勝つ気満々だったというモモカのゲスっぷりが際立つオチ。最後の最後までカニを食すことを諦めないモモカは流石としかいいようがない。
ということで今回は個人的にオチが読めないエピソードが多くてそれだけでも楽しかったです。
また出てくるモブキャラがいつも以上に曲者で変人揃いだったのも印象的であった。
唯一まともだった人ってスイーツデコショップのやさぐれ店員さんくらいだよ…。
そんな変人揃いのモブが多数登場した回だったけど、とりわけ異常だと思えたのがカニを見つけて追い始めた一般生徒である。そもそも美煌を崇拝する生徒が多数存在するという設定がある時点でモモカ達の通う高校が普通でないことは分かるのです。石動会長の時やモモカ男装エピソードの時からもそれは窺い知れるところではないかと思う。
だから最近ではあの高校においてさばげ部のメンバーって実はそれほど変わった人間じゃないのではないか。そんな恐ろしい考えが自分の中に生まれつつあるのです。変人揃いの中で群を抜いてはいるけど如何せん周囲も同じ属性持ちばかりだからそういう認識を持たれていないのではないかと。石動会長が一人孤独に悩んでいた理由が分かってきたような気がする。
さてさて、早いもので次回は遂に最終回。
最終回だろうと何だろうと今作はきっといつも通りに突っ走って暴走するのだろう。
でもそれでいいのです。この作品は最後までそのスタンスを崩すことなく駆け抜けて欲しい。
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