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ハナヤマタ 第11話「確固たる決意を胸に前に進むことを選択したなるの姿は主人公であった」

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ハナヤマタ #11「スマイル・イズ・フラワー」

『花は踊レヤいろはにほ』の歌詞に込められた様々な思いが垣間見えた。
なるちゃんの主人公らしさ全開の回でした。
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様々な苦労や衝突を乗り越えて一つのチームとして結束力が出てきたよさこい部。5人全員の物理的な距離が近いことに加えて会話の内容も遠慮のないやり取りが自然と交わせるようになっており、よさこい部の面々が本当の意味で互いに気を許し仲間になったんだということを実感させてくれる。

夏の日差しが降り注ぐ解放感溢れるプールを練習場所として用いることで「光」を意識させるのと同時に、悩みを抱えるハナの「影」を挟むことで、全体として見たら順調に進んでいるよさこい部と、個人で見たらそうではないハナの落差が明確に浮かび上がるようになっているのが面白い。もちろん視聴者サービス的な要素も含んでいるのだろうけど、それ以上に視聴者に「明暗」を意識づける狙いがあったのだろう。


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ハナの異変をいち早く察したのがなるであったことは見逃せない。こと他人を見るということに関しては、ずっと憧れのヤヤと多美を見続けてきたなるに一日の長があると思うのです。日陰者であったが故に人間観察力に長けていると言いますか。勿論ハナとの付き合いがメンバーの中で誰よりも長く深いことも大きいと思いますが。

その次にハナの様子がおかしいことに感づいたのがヤヤでした。ヤヤが観察力に長けていて誰よりも他人を思いやる優しい子であるのは、これまでの話を見て分かるのですが、ハナに関して言えば当初は邪見に扱っていた。出来れば関わり合いになりたくないとすら思うほどにですね。

しかし嫌っていても強く意識していたことは間違いなく、付き合いの長さで言えばなると然程変わらない。ヤヤに関してはなるですら為し得ていないハナとのデートまでしてましたし(笑)合間に挟まれた短いカットですが、そこにこれまでの話の積み重ねやキャラクターの個性が反映されているのが素晴らしい。


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OPにも使用されている『花は踊レヤいろはにほ』の歌詞。

真智によって歌詞の一部に訂正が加えられましたが、訂正前と後で歌詞を見比べてみるとヤヤと真智の性格の違いがモロに出ていて面白い。ヤヤはパワフルで男らしさすら感じさせる勢いのあるフレーズを選択する傾向にある。王子様です。逆に真智は厳格な見た目とは裏腹に乙女ちっくなフレーズを選ぶ傾向にあるから分からないものですよねぇ。アイドルの追っかけ設定がこんなところで役立つとは思わなんだ。

作中ではこれまでの物語があってヤヤ作詞という設定だから当然かもしれないが、改めて見直すとなる達のこれまでの軌跡が凝縮されていて、歌詞を聞くだけで作中のシーンを回想出来てしまう。だからアメリカに帰国することを誰にも打ち明けられないハナが、一人で歌詞のフレーズを追うシーンにも効いてくる。

特に「これからの君が見たい」は、今のハナの願望のみならず周囲の状況を含めて現状をストレートに象徴しているフレーズではなかろうか。それを叶えるためには一緒にいなければいけないのに自分はそこに居ることが出来ない。よさこい部と同じくらい家族だって大事なものだから。

ハナとよさこい部の関係と同様に、ハナとハナママの関係を見てもこのフレーズは当てはまるのではないだろうか。これからの君を見るためには一緒に居なければならないのだから。よさこい部のみんなと一緒にいることを想像して歌詞を呟いていたハナを現実に引き戻したのは部屋に入ってきたハナのママ。つまりそういうことなのかなと。ワンフレーズに込められた様々なものを考えただけでグッと来てしまいます。泣ける…。


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花彩よさこい祭りに向けて順調に準備は進み士気も最高に高まっているのに、言い出しっぺの自分が直前に離脱するなんてそうそう言い出せるものではない。悩み抜いた末にハナが頼ったのがなるでしたが、なるの部屋での二人の会話シーンは2話を彷彿とさせるものがあり、あの時の場面と併せて見るとより印象深く映るのではなかろうか。

あの時の二人は初めて本音を語り合い、自分の夢、求めているものを相手に伝えあった。よさこい部が始まった瞬間であったと言ってもいい。そして今度は同じなるの部屋でハナが悩みを打ち明けたことで、二人が一緒のよさこい部に終わりが告げられた。始まりと終わりがこの部屋での会話に収束している。

これからの始まりを予感させた2話の時は昼間、夢の終わりを告げた今回は夜間。
ここでも「明暗」が意識されているのではないかと感じる。


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物語開始当初のなるであれば精神的な拠り所でもあったハナが居なくなると知れば、おそらく身動きが取れなくなっただろう。しかし当初と決定的に異なるのは、なるがこれまでの経験を通し著しい成長を遂げたことである。みんなへの伝達役というのは非常に辛い役回りであると思う。本番直前のこの時期だから尚更ね。

また、話を聞いて誰よりも怒り、空港に向かって真っ先に駆け出したヤヤの姿も非常に印象的。
やっぱり一番仲間思いで情に厚いのはヤヤなんだなって改めて思い知らされるシーンでありました。


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空港でのお別れシーン。ハナからなるへの鳴子の譲渡は、ハナの思いと夢をなるが引き継いだことを示していて良い良い。ハナに対してハナ不在であってもちゃんと踊ると力強く宣言したなるの姿は主人公の貫録たっぷりなものであった。よさこい部におけるハナの立場の継承でもあり、これからはなるが皆の中心に立ってよさこい部を引っ張っていくことになるのだろう。

大好きな童話や演劇のヒロインのように、いつか誰かが迎えに来てくれることを願っていたのが1話開始時点のなるであった。もうあの時の姿は微塵もない。今のなるは自らの足で前に進むことが出来る王子様になったと言えるのではないか。


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よさこい部においての精神的な支柱、ムードメーカーとしての役割を担っていたのはハナだった。その不在は当然大きいものであり下手をしたらここで瓦解することもあり得たと思うのです。そんなみんなを繋ぎ留め奮い立たせたのがなるであることが嬉しくて堪らない。本当によくぞここまで主人公らしくなってくれたと。ずっとなるちゃん推しで来て良かったと思えた瞬間である。

またここでも『花は踊レヤいろはにほ』の歌詞が印象深かった。今度はメタ視点で見た場合の解釈になるのですが。落ち込んでいるみんなの前でヤヤが再生したのが、最初のワンフレーズである。

『パーッとパーッと晴れやかに』は、この時点で落ち込んでいたよさこい部がこれまで通り元気であって欲しいというハナの願いの表れであるように感じられる。これまで心の葛藤を乗り越えてきたメンバーのことも表しているのだろう。例え居なくなってしまってもみんなの気分を盛り上げるキッカケはハナになっている。

また『咲かせましょう花のように』は、それぞれのイメージに合わせて割り当てられている花のように、美しく開花して輝くという意味も込められているだろう。ただそれだけではなく、居なくなった「ハナ」がそこに居るかのように思わせられるくらいの元気な踊りをという願いも込められているのではないだろうか。これは空港で別れ際になるがハナに対して言った「ハナが居なくてもちゃんと踊る。踊ってるときはいつも一緒」という台詞に掛かる部分であると思うのです。

今更ですが『花は踊レヤいろはにほ』の歌い出しがハナなのは、今作の全ての発端がハナだからなのではないかなと。ハナの夢がなるを動かすことになり、そして連鎖的に繋がって今に至っているのだから。このように今回はOPの歌詞に込められた意味に様々な解釈が出来て面白いと感じた次第である。かなり強引なこじつけになってる気がしないでもないけど、そこは言わんで下さい。自分でもそう感じてるので(笑)

ただアニメのOPEDはその作品を象徴する一要素である。そこに作品に関する要素やメッセージ性を込めてくれているのなら、これほど嬉しいことはない。今作のOPはもともと気に入っていたのですが、今回の話を見て更に大好きになった。本当に作品のことを考えて作り込まれたOPだと感心させられてしまったのです。


共に歩んできたハナとの別れ、そしてこれからに対する新たなる決意。
なるちゃんの主人公らしい姿が存分に堪能出来て個人的にはそれだけで満足してしまった感じはある。

今回はOP歌詞に繋がる表現が良かったのは上の方で散々語ったのですが、それ以外に風景を使った演出も印象的であった。よさこい部のメンバーにはそれぞれイメージとなる花が割り当てらている。今までの回でもその該当する花を演出の一端として描いていたし、今回もハナに割り当てられているブルースターが描かれていた。花言葉である「幸福な愛」「信じあう心」はまさに今回の話にピッタリな花である。

今回はそれに加えて空模様でハナの心情を映し出す演出が印象に残った。
本当に空を映したカットが多用されていて、花と併せて風景を上手いこと使っていたと感じたのです。

あとはいい意味で気安く接してくれるようになった真智の姿が新鮮でしたね。素の彼女の姿をもっと見る機会が欲しかっただけに、やはり何の不安もなく5人で楽しいだけの回を1話見たかったかもしれない。物語的には足踏みをすることになるので入れにくかったのかもしれない。円盤特典のOVAエピソードとかでやってもらえないものだろうか。

さて、次回はいよいよ最終回!本当に早いね!以前にトラウマやコンプレックスは容易に解消できるものではないという話をしましたが、今回のハナとの別れ、そこから生じた新たな決意はなるのトラウマを払拭する大きなチャンスにもなり得る。

ハナの帰国は本当に急でせめてイベント終了後まで待てなかったのかなという思いは正直あります。
しかし主人公としてのなるのことを考えた場合にある程度の荒療治的な要素は必要になってくる。
多少強引であっても一度完全に切り離すというのは逆に良かったのではと個人的には思っている。

5人揃ってこその『ハナヤマタ』。
予告を見る感じではハナ乱入もありそうだが、そこも含めてイベントがどうなるかは楽しみ。
最後の舞台、最高の舞台がどのようなものになるか見ものです。

■言及
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