結城友奈は勇者である #03「風格ある振る舞い」勇者の数があまり増えてしまうとそれはそれで不安になる。
誰一人欠けることのない幸せな結末を願うのは浅はかだろうか。




友奈たちとは異なり、勇者の正規訓練を受けて大赦から派遣されてきた三好夏凜の登場回。正規訓練を受け自らを真に適性を持った勇者と自負するだけあってその戦闘能力は絶大。危なげなく単身でバーテックスを屠る強さは本物であり、また今回の中でも任務に忠実で努力家な面が描かれたこともあって、尊大な彼女の態度も然程嫌味には映らなかった。大赦に勇者候補として育成された彼女の境遇を思うと、狭い世界で生きてきた上に任務以外の一切の些事を切り捨ててきたことは容易に察することが出来るので。
夏凜の圧倒的な強さや大赦が戦闘に特化した勇者候補を複数育成していた事実などから、友奈たちが勇者になる必要はなかったんじゃないかと短絡的に疑問に思ってしまったが、視聴していて簡単に思いつくような疑問に関しては、作中において美森が視聴者の気持ちを代弁する形で直ぐに質問し、それに対する答えも的確に返ってくるので見ていてストレスも感じない。
物語の核心部分について把握してると思しき大赦にしても単純に正義の機関とは言えない部分が見受けられて今後の動向は気になるところ。バーテックスの襲来は予見していたはずなのに、勇者システムを改良するために実戦データを取る名目で素人同然の友奈たちを試験部隊として投入したり、夏凜と同じく大赦から派遣されている風に対して夏凜のことを事前に通知していなかったりと大赦の動きもハッキリ言って怪しい部分が多すぎる。
勇者候補を複数人に渡って育成しているらしいことは、夏凜の言で判明したが現場で戦う勇者をただの駒としてしか見ていないとかであれば、今後の物語の重みが大きく変わってくるのではないかと思うのです。また勇者の力を増すレベルアップに関しても勇者部の面々には伏せられていた事実であるが、既に半数近くのバーテックスを討ったのに未だにレベルアップの気配もないことも気になると言えば気になる。このレベルアップという要素も勇者にとって必ずしも良いものではないという予感すらしていて不安な要素が増える一方だ。
今回は大赦という狭い世界で生きてきた夏凛が外の世界に来て多くの人間と接することで変化の兆しを見せた回であり、どちらかというと日常パートに重きを置かれていた。1話と2話は勇者として活躍する戦闘パートに比重が置かれていたが、個人的に開始前に本作に期待していたのはこういう日常シーンの方だったので今回はとりわけ面白く感じた。それを考えると最初に一挙放送で戦闘メインの話を一気に済ませてしまったのは、良かったのではないかと思える。
誰が相手だろうとどんな毒を吐かれようと己のスタンスを変えることなく終始マイペースな友奈の姿に安心させられたし、友奈にペースを乱され振り回される夏凜も可愛かった。親交を深めれば深めるほど、今後誰かが脱落した際のショックも増すだろうけど今しばらくは勇者部の活動を通して年相応の反応を見せる彼女たちの姿を見守っていたい。
しかし今後も終わるまで何か不幸な出来事が起こるんじゃないかという不安は常に付いて回るんだろうなぁ。樹のタロット占いで死神が出たのとかあまりに直球すぎるし…。それも楽しみの一つではあるけど個人的に願うのはハッピーエンドな結末。それが良い。



今回夏凜のキャラがあまり嫌味に感じなかったのは、夏凜がエリート然としながらも様々な表情を見せてくれたからである。とりわけその夏凜を振り回し本来の魅力を引き出した友奈のマイペースな姿に依るところが大きかった。友奈もおバカな子であるという指摘に自覚はある一方で、己の信ずるところは決して譲らない芯の強さも持っている。誰に対しても同じ態度で接するから夏凜の心を動かすことが出来たのだろうなと友奈の主人公らしい面が光った部分でもあると感じる。
しかしね、いくらマイペースとは言っても他人の家の冷蔵庫を勝手に開けてカレンダーに予定を書きこむのは度が過ぎてると思うんだ。そりゃ夏凜じゃなくても怒るのは無理ないってもんですよ~。でも友奈のマイペースな部分は嫌いになれないところでもある。
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