天体のメソッド #04「思いのかけら」元の関係に戻れたらという願いは共通しているのにすれ違ってしまう。
一度狂ってしまった歯車を元に戻すことの何と難しいことか。




記憶を取り戻し謝罪をしたからといって元の良好な関係に戻れるかといえば必ずしもそうではなく、長い時間を掛けて形成された負の感情は今なお深く根付いてしまっている。それぞれが何とかしたい思いを胸の内に秘めながら行動するも空回りし、すれ違ってしまう現状がもどかしく切ない。
今回は過去の少女が乃々香と知り感情を爆発させた柚季を軸に、こはると颯太を合わせた幼馴染メンバーに焦点が当てられていたと思うが、この三人がとにかくすれ違ってしまう。円盤出現前のような関係を取り戻したいと願う柚季は勿論、颯太だって柚季と険悪になりたいわけでは決してない。しかし妹の真意を取り違えていたこともまた、今のややこしい状態を作り出す要因にもなってしまっている。
二人の胸中を知るこはるに至っては更に複雑で、二人に仲直りして欲しい思いは人一倍強いのにどちらか一方に肩入れすることも出来ず、結果的に踏み込み切れずにモヤモヤしたものをずっと内に抱えて今まで過ごしてきた。
しかし円盤が出現して以降変わってしまったこはる達の関係が、完全に切れることなく危ういながらバランスを保っていられたのは、こはるが両者の間に入って取り成していたからでもある。こはるが何よりも柚季を大切に思っていることは回想シーンからも読み取れる。周囲の人物がどれだけ否定してもこはるは常に柚季の側に立っていた。
例え柚季の円盤追放運動が家業の営業を妨害しているとしても、これまでこはるは表立って柚季を否定することもなかったし協力すらしていた。こはるが柚季に本心を打ち明けたのは営業妨害云々ではなく、大好きな親友がこれ以上周りに嘲笑され傷つく姿を見ていられなかったからだろう。こはるは常に柚季を心配し影ながら心配しているのに肝心の柚季には正しく伝わらないことが悲しく切ない。
柚季の抗議活動は度を越えていた部分が確かにあるかもしれないが、柚季視点では密かに接触を図っていたようにも見える乃々香と颯太の姿を目撃したことで心を揺さぶられ、本心では自分を否定しているのではないかと疑っていたこはるに、自身の否定とも取れる言葉を投げかけられたことで、止めようもなく崩壊していく交友関係に対する柚季のやるせない衝動を、彼女の行動で示しているようにも映った。
柚季の回想で病院のカットが挟まれたことから兄妹関係の他に両親を失ってしまった可能性も示唆された。だとすれば乃々香に対する理不尽とも言える怒りのぶつけ方や、失うことに対して恐れを抱く柚季の行動にもある程度納得は出来る。それにしたって度が過ぎているとは思うけど。
三人それぞれが関係の修復を願いながらすれ違いを繰り返し形成された閉塞した現状を打開する役は、全ての発端となってしまった乃々香を置いて他にはいない。現状乃々香が置かれている状況は、全登場人物の中でも一番厳しい立ち位置であると思うが、それでもめげることなく積極的な乃々香の行動が、状況を好転させる一筋の光明となることを願ってやまない。


先週に続いて今週も辛辣な態度を取られる乃々香が可哀想になってきたよ。作中時間で言えば半日足らずの間に2回も頬にビンタを喰らったことになるんだよね…。感情や衝動に駆られ理性では抑制できずに行動に走ってしまうのは中学生らしいと言えばらしいのかもしれないけど。乃々香が過去を思い出し皆に対して真摯に向き合おうとしてるのにその機会すら与えられないのは厳しい。
表立って敵視してるのは汐音と柚季であり、こはるや颯太が割と同情的なのは救いでもある。無条件で乃々香の味方についてくれるノエルの存在は、こういう部分でも存外大きいものだと改めて感じた。乃々香が見かけに反してメンタルが強くて行動的な部分を持っていて本当に良かった。見た目通りの弱気な子だったら今頃潰れていてもおかしくないよ。いや、マジで。
そろそろ乃々香にも良いことが一つくらいあってもいいんじゃないかな、かな?
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