為替変動要因

日刊アニログ

大好きな深夜アニメを中心に感想を書き綴りたい

天体のメソッド 第7話「乃々香、ノエル、汐音の三者三様の在り方と境遇が印象的に映る」

sorameso07_01.jpg
天体のメソッド #07「私のなくしたもの」

変わってしまうものもあれば変わらないものもある。
しかし選択の余地すら与えられない者には…。
sorameso07_02.jpg
sorameso07_03.jpg
sorameso07_04.jpg
sorameso07_05.jpg

母親のお墓参りを通して己の過去と向き合う乃々香の姿が描かれた第7話。これまで乃々香が過去を「忘れた」という結果の方ばかりが強調され、何故忘れたのか、どうしてそうなったのかという過程の方に関してはあまり触れられてこなかった。今回はその部分に焦点が当たっていたと思うが、忘れることで自分の心を守った乃々香が、過去と向き合う中で、その心情を打ち明けるという構成は良かった。

その思い出が楽しいものである程、失ってしまった時の喪失感も大きなものになる。同時に二度と手にすることの出来なくなってしまった楽しい思い出は、辛いものへの転じてしまった。大切なものであった霧弥湖町での諸々の経験や思い出は、全て母親を連想させる要素となり、忘れることで楽になろうとした乃々香の幼心も分かるのです。街から外に出た乃々香にとっては、特にそうすることが効果的であったことも理解出来る。

一方で同じ思い出を共有しながらも、乃々香と逆にその思い出を忘れることなく向き合い続けた汐音の姿は対照的なものであった。街から出て親元を離れ一人暮らしをしながらも霧弥湖町に簡単に行ける距離に居を構える現在の汐音の生活環境。これ自体が汐音の忘れようとしたけど忘れられない複雑な心境を反映しているのかなと今更ながらに気づいたのです。

一人暮らしが許されるのであれば、そして本当に忘れるつもりがあるのならば乃々香のように完全に切り離される場所に行く選択肢もあったのではないか。現実的に目の届かない場所なら親として一人暮らしは認めないとかそういう点はとりあえず置いておくとして…。本気で忘れようと思えば忘れる事だって出来たはず。でもそれをしなかったのは乃々香との思い出が本当に大切なものだったからだと思うのです。だからこそ綺麗サッパリ忘れていた乃々香のことが尚更許せない。

一方は大切な思い出であるが故に苦痛を伴うことで忘れることを選び、一方は大切な思い出故に忘れようとしても忘れられなかった。共通の思い出から端を発しているのに辿った道は真逆。これが今の二人のすれ違いを生み出してしまっていた。でも二人の根幹にある大切な思い出は今なお共有されているのですよね。

汐音の「一緒に流星群を見たかった」は、乃々香が思い出し過去と向き合おうとしていることを悟った、かつての友達からのメッセージでもある。辛かったかもしれないけど忘れないでいて欲しかった。友達のままでいて欲しかったという意味合いが込められているようにも聞こえた。グッと来てしまいます。

シリアス風味な乃々香と汐音の様子を描くのと同時に、コミカルな要素満載だったノエルと颯太の看板の修復も印象的でした。作った当時の思いをいまもなお持ち続けているのなら、楽しかった過去の修復が可能であることを示唆していたようにも映る。看板の修復が、ひいては乃々香と汐音の関係の修復を意識させるようになっていたのは興味深いなと思ったところ。

またノエルの置かれている現在の境遇が、乃々香と汐音とは別の意味で対照的であり重かったですね。自分の意思を介在させる余地のある二人に対して、ノエルは自分の意思で選ぶことすら出来ない立ち位置にいる。今後街を出ていくことが確定している颯太とのやり取りでノエルが街から出られないことを示唆されたのが何より印象的。

他のみんなはどんどん変わっていくのにノエルは「変わる」ことも「忘れる」ことも許されない。その選択の余地が最初から与えられていない。明るいキャラクター性とは裏腹に、その背負ってる業は誰よりも深く重いものがあると思わされたわけです。

街から出て自分の意思で全てを忘れることを選んだ乃々香、街からは出たものの自分の意思で思い出と向き合い続けることを選んだ汐音。そして街から出ることすら叶わず忘れることをも許されないノエル。三者三様の姿が垣間見えた回でもあったように思います。

何より付かず離れずの乃々香と汐音の二人を見てると切なくなって仕方ない。早く仲が良かった頃の二人に戻ってくれー!長々と書いたけど究極的に言いたかったことはこれだけ。誰よりも丁寧に心情が描かれ積み上げられているだけに、乃々香と汐音の和解回は堪らんものになるだろうなぁ。その予感しかしない。

にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ
にほんブログ村
関連記事
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
この記事のトラックバックURL

天体のメソッド 第7話「私のなくしたもの」感想
天体のメソッド 第7話「私のなくしたもの」感想 君とのなくしもの。
【アニメ感想】天体のメソッド 7話
前回の感想 んー、話自体は悪くないと思うのだけど、もうちょっと構成をしっかりできたんじゃないかと思う今日このごろ。 残り8~9話を汐音、10~12話をノエルで構成するのかなぁ? 重々しい話を続ける物語なのかなぁと思いきやそうでもなくなってきて、円盤も結局のところまだ何も進捗がない。 実のところ、ののかのネックにあるのが表面的にあまり現れていないのもどうなのかなぁ。 我慢して...
[2014/11/21 01:16] R.U.K.A.R.I.R.I
天体のメソッド 7話「私のなくしたもの」
過去から逃げていた乃々香。 天体のメソッド 1(特装限定版) [Blu-ray](2015/01/28)夏川椎菜、豊崎愛生 他商品詳細を見る
[2014/11/20 00:36] 新しい世界へ・・・
天体のメソッド 第7話 「私のなくしたもの」 感想
怪獣さんの腕の骨が折れた(ターミネータ2のピーター・シルバーマン医師のように) 天体のメソッド 2(特装限定版) [Blu-ray](2015/02/20)夏川椎菜、豊崎愛生 他商品詳細を見る
『天体のメソッド』 第7話 観ました
今回は乃々香のお母さんのお墓参りに行く回だったのでした。 ここで注意したいのはお母さんの命日ではなくて誕生日であるということ。 BS11で二回目を観るまでてっきり命日なんだと思っていたです。思い込みって怖いっすね〜。 さてさてこの回では乃々香と柚季とこはるの...
[アニメ]天体のメソッド 第7話「私のなくしたもの」
苦しみは一過性のものじゃない。
天体のメソッド 第7話『私のなくしたもの』 キャプ付感想
天体のメソッド 第7話『私のなくしたもの』 感想(画像付) キリゴンを心配するノエルちゃんが超可愛かったです(笑) ケガさせたのもノエルだけど、許しますw 汐音とののかにも仲直りのきっかけが見えてきましたね。 秋も深まり、冬の足音が聞こえ始めた頃、乃々香と柚季、 そしてこはるの三人は、郊外へ向かう列車に揺られていた。 遠出にはしゃぐ柚季の様子に呆れる一方で、どこ...
[2014/11/17 23:26] 空 と 夏 の 間 ...
天体のメソッド #07 「私のなくしたもの」
== 君の知らない物語 ==  どうも、管理人です。週末からとある事情で止まっていた仕事が、ここに来てようやく復旧。ただ、完全につけが回っていて、明日以降が余裕で死ねるという。なので、もしかしたら明日の記事は何本か落とすかもしれないです…すみません。 === 乃々香:「誕生日おめでとう、また来るね」 ===  今回の内容は、乃々香の母親の墓参り回。前回ラストで、乃々香が父親...
[2014/11/17 22:50] 戯れ言ちゃんねる
もう景色はいいの?/天体のメソッド7話他2014/11/17感想
<記事内アンカー> 天体のメソッド 第7話「私のなくしたもの」 漫画感想(「滅子に夜露死苦」1巻)  艦これ秋イベント、まずはE-1とE-2をクリア。出撃ロックがかかるため程よく2線級の艦娘を配置してクリアしたいところ……ということでE-2はこんな感じの面子に。全員レベル70程度です。矢矧は夏イベントには育成が間に合わなかったり、天津風とZ1にZ3は出しそびれてしま...
[2014/11/17 22:07] Wisp-Blog
天体のメソッド 第7話 「私のなくしたもの」
「怪獣さん死なないで!怪獣さん…死んじゃダメえ~~~!」 怪獣に泣いて謝るノエルが可愛い!(^ω^) 悪戯でノエルに追い討ちをかけた兄貴は許されざる存在かと言うとそうでもなく泣かせてむしろGJと思ってしまうようなノエルの涙目力だった(ノ∀`)
[2014/11/17 19:09] ムメイサの隠れ家
天体のメソッド TokyoMX(11/16)#07
第7話 私のなくしたもの 公式サイトから秋も深まり、冬の足音が聞こえ始めた頃、乃々香と柚季、そしてこはるの三人は、郊外へ向かう列車に揺られていた。遠出にはしゃぐ柚季の様子に呆れる一方で、どことなく不安そうな乃々香に気づくこはる。一方その頃、ノエルはケガをさせてしまったお店のシンボル、キリゴンの立て看板を、なんとか治そうとしていたのだが、さらなる重傷にしてしまう。店番をしていた湊太は、そんなノ...
[2014/11/17 13:09] ぬる~くまったりと
天体のメソッド感想私のなくしたもの
怪獣さんとガア対決(笑) 腕もげた(泣) ノエルわ怪獣さんが好き(笑) 電車旅(笑) 牛さん観れたん???(笑)
プロフィール

雪光

Author:雪光
相変わらずアニメばかり見ております。最近は全日帯アニメに回帰しているような気も。

当ブログについて

相互リンクについて

カウンター
カテゴリ
ブログランキング
1日1クリック応援して頂けると幸いですm(__)m