異能バトルは日常系のなかで #07「『覚醒』ジャガーノートオン」改めて声優さんの凄さを思い知らされる回であった。
要所における男性サブキャラ陣の立ち回りもお見事。




誰よりも付き合いが長く、いつも一緒にいたからこそ見えなくなることもある。ということで長年に渡って積もり積もった鳩子の感情が大爆発の回でありました。これまで思慮深さを見せていた寿来の不用意な一言が爆発のキッカケとなったところに、寿来と鳩子の特殊な関係性が象徴されていたように感じる。仮にこれが他のメンバーであったなら、あの場面であの一言は言ってなかったのではないかと思えるくらいにね。
やっぱり寿来と鳩子の関係は他にはない特別なもので、それ故に一種の甘えのようなものがあったのではないかな。自分の言うことを理解はしてくれなくても鳩子なら無条件で受け容れてくれる。灯代とは別の意味で自分の厨二トークを敬遠しない相手。そういった認識。厨二の自分を見ても離れて行かなかったから成立している付き合いの長さ。だからこそ生じてしまった誤った認識。
しかし鳩子からすれば何よりも辛いのは理解出来ないことなわけで。鳩子がずっと感じていたのは「不満」より「不安」の方が大きかったのかもしれない。一との会話で鳩子が気づいた根底にある願望は寿来に選んで欲しかった。必要とされたかったと言い換えてもいいのかもしれません。替えの利かない唯一無二の存在。特別な関係。それが根底にあるから自分の理解出来ない「厨二」について理解し合っている様子を見せる寿来と灯代の接近に堪らない不安を感じてしまうわけで。
そして必要とされるために鳩子が「厨二」について理解しようと必死になっていたのは、感情を爆発させるシーンの言葉の端々から読み取れる。日常を生きていく上では必要のない単語の数々。それに関する正確な知識の把握は寿来以上。なのに彼の言う「厨二」が何かは理解できず、肝心の寿来は自分に説明のないまま灯代の方へ寄っていく。寿来が自分から離れていく、必要とされなくなると鳩子さんが不安になるのも無理ないってもんです。
理解されなくても良いと考える寿来と理解したいと考える鳩子の根底部分における認識の齟齬。なのに成立している仲の良さ。静夢の言うところの「気持ち悪い関係」。それが成立していたのは鳩子の無理があったから。鳩子がストレスや悩みとは無縁と考えていたところからも、寿来の鳩子に対する認識の誤認、そして甘えを感じることが出来る。
今回は寿来と鳩子の歪な関係に焦点が当たっていたが、外側から見ないと分からないこともあると感じさせられたのです。二人の関係を動かすキッカケを与え指摘したのは真智、静夢、一。いずれも文芸部の「外」にいる人間であった。特に派手さこそないけど要所で男性サブキャラ陣が光ってるところは本作の魅力的な部分だなと思うところ。
物語としては後半戦に入ったこともあって、最後に如何にもな連中が出てきて大きな動きを見せそうな気配。起承転結で言えば転の部分に当たるのかな。これだけの人数を投入して一体何を行うのかは気になるところです。「甘えた分だけ男になれよ」と某機動戦艦の操舵手さんも言っていたことだし、次回は寿来の男の見せどころ。ギルティア・シン・呪雷の格好良い立ち回りに期待しましょう。
それにしても鳩子役の早見沙織さんは、本当凄かった。圧巻の一言です。2分以上に及ぶ怒涛の長台詞。しかも厨二ワードや神話系の単語満載。これ収録した時の裏話とか凄い気になります。オーディオコメンタリーでこの時の話を聞けるならそれだけで円盤買う価値があると思うね。
感情を爆発させた罵詈雑言をやらせたら早見さんの右に出る者はそうはいないんじゃないかなぁ。改めてプロの声優さんの凄さを思い知らされたところでもある。これで一発録りとかだったらもう何も言えないですぜい。


あれだけ下で鳩子さんが荒ぶっておられたのに一向に姿を見せる気配のなかった寿来の姉ちゃんマジ大物。レポートに集中していて気づかなかったのか、あえて見てみぬふりを決め込んだのか。寿来の姉であるだけに長年を掛けて二人が築き上げてきた「歪み」を見抜いていたのではないだろうかとも思える。
寿来の家に行くのは久しぶりという鳩子の台詞からも分かるように今回の招待は唐突感があると言えばあると思うのですよ。真智は最近の寿来と灯代の接近を見て揺らいでいた鳩子の様子を把握していたのではないか。そして今にも爆発しそうな鳩子の気配を察した上での今回の招待だったのでは…。と考えるのは深読みしすぎか。単に母親不在で楽して美味しいものが食べたかったというならそれはそれで良いんだ、うん。
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