日刊アニログ

天体のメソッド #09「さよならの意味」

あちらを立てればこちらが立たず。
みんなが笑って幸せになれる道はないものか。

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北美祭のチケットがノエルの元に全て集約したことが、乃々香たちの願いが同調し、かつての関係を取り戻せたことを象徴しているように映る。全員の願いの向きは同じなのに、ノエルを心配する汐音の思いがひずみを生み、各人が別々の方向に行動してしまうのが悲しくもどかしい。願いの成就は、乃々香たちの元から円盤が消失し別の願いに引かれていくとノエルが言ったことで汐音の行動は決まってしまった。

乃々香と汐音の対峙シーンが特に印象的で、一度目と同じ流れを踏襲しつつ、辿る過程が変化することで、キャラの心情の変化が分かり易くなる見せ方は上手いなと思う。汐音のヘッドフォンを外す乃々香の行為が、心を閉ざそうとする汐音の解放を意識付けられるし、小物の使い方一つとってみても素晴らしい。

全てをぶつけ合って分かり合えたから、汐音は乃々香の頬を打てないし、乃々香も一歩も引こうとしない。汐音の態度は、視聴者視点からすれば容易に心中を察することが出来るが乃々香視点では難しい。しかし汐音が態度を硬化させたことに関しては、何らかの事情を抱えてのことだと乃々香も察しているし、逆に汐音もそんな乃々香の心中を察している。前は通じ合えずにすれ違ってしまったが、今回は通じ合っているが故に上手くいかない。

お互いに望んでいることも目指しているところも同じなのに、それでもすれ違いが生じるのはノエルの事情を知っているか否か。その差のみ。事情を乃々香に打ち明けること自体が、願いの成就に繋がりかねず、故に簡単に打ち明けることも出来ない。やっとの思いで和解出来たと思いきや、それが新たな別れを生み出すのだから如何ともしがたい。二重苦です。もどかしさを感じる最大の原因もここにある。

ノエルが言ったように「みんながニッコリ」するためにはノエルの存在は必要不可欠。絶対にいなくてはならない。事態を進展させるにしても解決するにしてもキーになるのは「願い」なのかなって思うのです。某ドラゴ○ボールみたいに円盤が何でも叶えてくれれば世話ないですが、そんな簡単に行かないのが世の常である。

円盤を呼び出した際の経緯も次第に明かされていく中で、しかし肝心の最初の「願い」が何であったのかは未だ不明のまま。円盤召喚の発案者が乃々香ではなく汐音であったことが判明したが、ノエルがずっと待っていた相手が乃々香というのも、こうなると改めて気になってくるところ。

ノエルのことを思い、あえて憎まれ役を買って出る汐音を引き留め、流星群を一緒に見るという願いは果たされるのか。霧弥湖町の外に出て倒れてしまったノエルの行く末はどうなるのか。物語もいよいよ佳境に入りますます見逃せなくなってきました。


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