結城友奈は勇者である #09「心の痛みを判る人」供物である勇者たちの日常が徐々に浸食されていく。
このままでは本当に夢もキボーもありゃしない。




死ぬよりも辛い生き地獄の始まり。敵対勢力であるバーテックスとの直接的な戦闘がある回よりも緊張感があり切ない。勇者部の面々が徐々に供物であることの現実を突き付けられ、その弊害を実感し真綿で首を絞めるかのようにジワジワと追いつめられていく様が何とも重く苦しい。
視聴者視点からしても登場人物がバッサリ死ぬのとはまた別の意味の何とも言えない感覚を味わっている気分に陥り如何ともしがたい。ある意味で友奈達に近い感覚を共有して見ているとも言えるのかな。
今回は犬吠埼姉妹、特に風の視点から巻き込んでしまった者だから感じる責任と後悔の念が強く印象に残る。友奈達から真実を聞かされながらも何かの間違いと信じようとし、大赦に縋り裏切られ打ちひしがれる。もう風を苛めるの止めてくれと言いたくなるくらいに徹底的に打ちのめされる姿は直視に耐えない。友奈と同じくらい勇者部のムードメーカーで常に先頭に立って皆を引っ張ってきた風が失意のどん底に沈む姿だから余計に効く。
風が他のメンバーと決定的に異なるのは他者を巻き込むキッカケを作ってしまったこと。最終的に決断したのは各メンバーの自己判断によるものだが、それはあくまで自分自身のことだけなので。巻き込んでしまったことを悔いる風の言葉然り、真相を知らなくても代わりがいない以上、自分たちがやらなきゃいけなかったことに変わりはないと主張する友奈の言葉然り。
でもやっぱり心情的には風の言い分に賛同したくなる。知ってたんなら真相を通達した上で覚悟を問うてくれよと。勇者適性を持つ者が極少数しか存在しないといっても大赦のやり口はやはり釈然としない。ここに関しては序盤からずっと言ってることだから今更言うことはもうないんだけどさ。
また激情に駆られた風と夏凜をぶつけたのは上手いなと思ったところです。共に事が起こる前から大赦と接触のあった者同士。一方は真実を知り裏切られた思いを抑えきれず、一方は未だ大赦は正義と信じて疑わない。そんな両者の衝突。風以上に大赦との繋がりが強く、大赦で生まれ育った夏凜が受けた衝撃はある意味風よりも強いものだったかもしれない。根幹から揺らいだと言ってもいい夏凜の動向は今後も要注目です。
樹が風を赦し一先ず落ち着くところには落ち着いた。しかし全く安心できないことには変わりない。戦いは終わったという樹の言うとおりならいいけど絶対そうはならんものね。本当に全てが終わったのなら勇者システムを回収すればいいのに大赦はそれをしない。
そして東郷さんが突き止めた精霊の本来の役割がその不安を更に増大させていく。精霊は勇者の戦闘サポートシステムかと思いきや、その実態は散華の影響で絶望した勇者が自殺出来ないようにする防止システムとはどこまでも抜かりない。バーテックスは全て倒したはずなのに、まだ勇者適性を持つ者に自殺されては困る事情が大赦にはあるってことになってしまうではないか。
定期的にある程度の「供物」を神樹様に捧げないと結界を維持できないとかそういう理由でもあるのかな。そうであるならバーテックスも大赦自身が用意した自作自演のコマの可能性も無きにしも非ずなのでは…。うーむ、妄想が止まらない。
いずれにしても失った身体の一部はもう元には戻らない。これは揺らぐことのない厳然たる事実で現実。この過酷な状況の中で友奈達が如何にして未来に希望を見出していくのか。その辺りに注目して終盤の展開を見守って良ければいいかなと思う。全滅エンドなら希望も救いもないけどね!


忘れかけていた樹の声を久しぶりに聴けたのは嬉しいけど、こんな悲しい話の中で聴きたくなかった!
歌に自身の将来の可能性を見出し歩み始めた樹が、声を失った時点でこうなる予感しかなかったけどさ。
いざそれを目の当たりにするとやっぱりキツイですぜ…。
今回は内山夕実さんの熱演もあって犬吠埼姉妹にいつも以上に感情移入してたから特にね。
EDではちょっと涙腺ウルウルになってたような気がする。年取ると涙もろくなって駄目ですね。
でもやっぱり全員救いのある終わりを迎えて欲しい気持ちは俄然強くなりました。救いをください。
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今回の件が夏凜ちゃんにどんな影響を与えるのか…一人だけまだ満開していない夏凜ちゃんにはきっと何か重要な役どころが用意されていると思うんですが。
絶望しか無い重苦しい展開が続きますが、そんな中でも友奈のひた向きと樹ちゃんの優しさには救われますね…
悲劇によるお涙頂戴ではなく、理不尽を乗り越えるカタルシスを見せて欲しいなと思って(信じて)いますv