天体のメソッド #12「円盤のない街」一連の出来事が夢幻の如くうつろい揺らいでいく。
ノエルと円盤の存在が今一度5人を繋ぐ鍵となるか。




全ては暑い夏の日差しが見せた夢幻だったのか。もう一度最初からというこの展開は正直全く予想していなかったが、だからこそ面白くもある。あの時、円盤を召喚出来なかったらというもう一つのあり得た世界。むしろこちらの世界の方が正常であり、円盤が上空に浮かんでいた今までの霧弥湖町の方が異質。
故にただ一人だけ全てを覚えていた乃々香の存在が、今度は世界にとって異質なものと映り、彼女の孤独感を浮き彫りにし、一連のノエルとの出来事が本当にあったことなのかという不安を煽る。
全てを忘れていた乃々香が円盤とノエルの存在を通して記憶を取り戻し、かつての関係を一つずつ修復していったのがこれまでの話。今度は乃々香だけが全てを覚えているという対照的な状況ながら、例え円盤が存在しなくても乃々香たち5人を繋ぐものが、円盤と天文台、そしてノエルであることは変わっていないのが面白い。
これまでの様々な出来事から得た経験、そして何よりもノエルに対する強い思いもあっただろう。どんな状況下に置かれても積極的に動く乃々香の姿勢も健在で、それだけにどれだけ手を尽くそうとノエルとの繋がりを何一つ得られないことに、見ていて焦りを感じずにはいられなかった。
一際ノエルとの繋がりが強かった汐音すら消えてしまったかのように映り、最初は確信を持っていた乃々香に揺らぎが生じていく見せ方は実に印象的であった。
それだけに自分まで忘れてしまったのなら本当にノエルが消えてしまう。その思いを抱え天文台で一人寂しく佇んでいた乃々香の前に現れた汐音の何と頼もしく勇ましかったことか。これまで何をやってもすれ違い、最後の最後にようやく分かり合えた汐音が、最初で唯一の理解者になるというパンチの効いた魅せ方が素晴らしい。乃々香にとっても視聴者にとってもこれ以上に頼もしい存在は他にいないだろうとね。
だからというわけでもないが提供画の使い方が物凄く効果的に作用したようにも映って凄く良かった。他のみんなが忘れ否定することをたった一人で背負い信じ続けていく事は辛く苦しい。これまでの経緯があるだけに、それを共有できるたった一人の相手が汐音というのが、本当に爽快感があって良かったです。
前回までは再会する展開が濃厚かと思っていたが、こうなるとむしろ再会よりも「忘れないこと」の方が重要になってくるのかなとも思う。ノエルが消えた事実は変わらないけど、ノエルが確かにそこに居たという事実もまた変わらない。ありきたりな言い方になっちゃうけど、乃々香たちが忘れさえしなければノエルという存在は彼女たちの中で生き続ける。
この一連の出来事を通して得た経験を如何に未来に向けられるか。それが肝要なのかもしれないと思い至った次第。円盤がないこの世界で唯一最大の理解者同士となった乃々香と汐音の動向は。忘れてしまった柚季、颯太、こはるの三人は全てを思い出せるのか?
勿論ノエルとの奇跡的な再会があるのならそれでもいい。みんなが笑顔でニッコリになれるのなら。
ここまで来たらあとはもう最後まで見守るのみ。最終回、どのように決着をつけるのか楽しみです。
にほんブログ村
- 関連記事
-
特に汐音は転校までしてた……これはおそらく、ノエルのいない世界では乃々香はすぐ戻るつもりであるとの伝言を貰えなかったため、待ち続けることをせず親についていったからでしょうけど……今になって突然思い出したわけですよね。
7年前からノエルと会っていたのはこの二人だけだったからかもしれないし、或いは一旦街を離れていたからかもしれず。
汐音は私服姿で学校休んで駆けつけたのかと思ったけど、そういえば北海道だから2学期が早いだけで転校先はまだ夏休み、墓参りに戻っていたのかも?
2話で乃々香が勘違いして遅刻しかけたのはこれの伏線だったのですね。