繰繰れ!コックリさん #12「DESTINY!」生きている以上いつかは必ず訪れる別れの瞬間。
しかし今はこの騒がしくも楽しい気分に浸っていたい。




最終回だから良い話、というわけではなくコックリさんはこれまでも割と良い話の要素が多かった。しかし如何せん最後にそれをひっくり返すオチが用意されていて、雰囲気を一転させてきたのであって、その点に関しては今回も同様であった。最後だろうと何だろうとこれまでと同じスタンスを徹底する。こういうところが自分がコックリさんを好きな理由の一因なのかもしれない。
今回も凄く良い話だなと思える要素とギャグ要素のバランスや緩急が絶妙で、特に前半のクリスマスエピソードは不覚にもウルッと来てしまった。どう見ても変質者のそれでしかない、のえる父との出会いに始まり娘であるのえるも多分に変人要素を含んだ子供。コックリさんの周囲には変人しか寄ってこないなと思いつつ、ここから良い話は無理だろうと思っていたところにあのオチだもんね。ズルいよ!
コックリさんが接点のない一般人を気に掛けた理由が、駄目な人を放っておけないオカン属性あってのものかと思えば、既にこの世の存在ではなくなっていた者の救済のためだったのが意表を突かれたところで、先の展開を読ませにくくしていたのはお見事だったと感じたところ。
親子としての触れ合いが少なかった父と娘の最後の思い出。基本は良い話ながら最後のプレゼントは心霊写真というギャグ要素を利かせた贈り物で悲しさや寂しさを緩和させる作用を果たしているのが小気味いい。これが感動とギャグの理想的な融和ではないかと思わされるくらい綺麗に纏まった話であったように思う。
出会いがあれば別れもある。始まりがあれば終わりもある。物の怪と人間、幽霊と人間。形は違えど異なる時間を生きる者同士の時間の概念の差が意識させられるところで、今回のエピソードでテーマとして共通していたところかなと感じる。いつかは必ず別れの時が訪れることになる。だからこそ楽しくも騒がしい今を目一杯後悔することのないように過ごしていくことが大事なのではないかな。のえる父娘は今後共に過ごす時間を得ることはもうないのだと思うと尚更そう感じるのです。
また市松家に集った物の怪たちが、こひなと共に疑似的な家族関係を形成しているということは序盤の頃の感想で触れたけど、今回は「家族」としての繋がりのようなものも感じられるエピソードで揃えられていた点が印象的。核家族化が進み家族のみならず他人との関係が希薄化していることが叫ばれる現代社会。年末年始はそれらを埋めることの出来る数少ない機会なのかもしれない。
最後だからというのもあるかもしれないが、サブキャラ含めて最後にみんなが一堂に会したことは、そういうメッセージ的な意味合いもあったのかなってね。いずれにしてもコックリさんが扱ってきたテーマが凝縮されていて最終回に相応しいエピソードだったのではないかなと思う。本当に視聴後に良い気分で笑って終われる良い作品でありました。

序盤の頃こそ作品独自のテンポがあって戸惑うこともあったけど、主要キャラが全員揃う頃には見事に今作にドップリ浸かっている自分が居た。日常ギャグコメディ系の作品は特にキャラの性格や作品独自の空気を掴むことが肝要かなと思っているので。結果的にそれが合う合わないは人によりけりだと思うので。
唯一残念だったのはサブキャラクター勢の登場が基本的に登場回のみであったことだろうか。山本くんの出番は意外と多く下手したらタマよりも出番が多かったかもしれないけど(笑)しかし市松家に関わる物の怪たちとこひなの珍騒動とそこから生じる触れ合いこそが大事でサブキャラはその味付けを果たすという意味では役目を全うしていたとも言える。
ただやはり山本くん以外のキャラがもっと出ていたら、より面白おかしくなったのかなって思うこともある。逆にバランスが崩れる危険性もありそうですが。今回のクリスマスエピソードにしても途中までじめ子さんのお父さんだと思ってましたからね、自分。初登場ののえるの方がこひなと仲良くパーティーだなんて…。じめ子さん頑張ってこひなと友達になれると良いな!
どのキャラクターも好きなんだけど個人的に一番魅力があったのはやっぱり信楽おじさんかなぁ。普段は昼行燈。しかしやる時はやるキャラってそれだけで好きな要素満載だけど信楽おじさんは特にその傾向が強かったからね。悲しいことに彼の言動に共感してしまう駄目な自分もいてそれも大きかったかもしれない。いや、己の欲望に忠実に生きることって大切だよ?
笑いあり、感動あり、たまにゲスい言動あり。いつも良い話だと思わされて最後にひっくり返されるのは正に狐や狸に化かされている感があって途中からは騙されることに味を占めている自分がいた。
これからもオカンなコックリさんのストレスフルな生活は続いていくだろうけど、それも限られた時間の中での貴重なものの一つ。いつか来る別れの日まで、コックリさんやこひなが悔いのない日々を送ってくれれば言うことはない。今回で今作と一足早く別れることになる一視聴者としては辛いものがあるが…。終わった後の喪失感は今期ナンバーワンかも。スタッフの皆様、お疲れ様でした!
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