結城友奈は勇者である #12「貴方に微笑む」これは奇跡か、それとも根性がもたらした結末か。
様々な苦難を乗り越えて勇者部の戦い、ここに決着!




いやはや、これは正直予想以上に幸せな結末となりました。概ね自分が望んでいた結末に収束し安堵と喜びがあるんだけど内容が濃く、かつスピーディに物語が展開してしまったためか自分の処理能力が追いついていないのかもしれない。惜しむらくはもう1話あれば終着まで余裕を持って描けたのかもしれないが、それだと鬱々とした気持ちを抱えながら間延びしてしまう可能性も無きにしも非ず。難しいところです。
前回までの流れを見て自分はハッピーエンドの方向に持っていくとしても、あり得るのは友奈が何らかの形で犠牲を払った上でのものになると予想していた。つまり今回の途中までの状況を結末に持ってくると。だから勇者部全員が無事に生き残り、尚且つ散華で失った身体機能に回復の兆しが見られたことはこれ以上ない結末と言える。
これをご都合と取る人もいるかもしれない。その気持ちも分からなくもない。でも個人的には傷ついて傷ついて時にはすれ違い、挫けそうになりながらも最後まで諦めずに戦い抜いた勇者部の面々が、自らの手で勝ち取った結末だと思う。そして常に彼女たちの中心に存在し、勇者部を奮い立たせる原動力となった結城友奈は真の意味で「勇者」だったのだと。
奇蹟というものがあるのなら、それは無条件で与えられるようなものではなく、人の強い思いや絆の果てに起こる行動から生じるものではないかと思う。諦めたらそこで試合終了だよという安西先生の名言ではないですが、折れそうになりながらも最後まで足掻いて足掻いてその果てに勇者部の面々は自らの力で掴み取った。
それを徹頭徹尾ブレることなく体現していた友奈だからこそ、奇跡ではなく根性なのだと。
東郷さんが言っていたことは、そういうことなのではないかと思うのです。
それに全てがご都合、奇蹟で片付いたわけでもない。乃木園子は回復の兆しを見せていたが、三ノ輪銀はそうならない。かつてバーテックスとの戦いに身を投じ、命を失った勇者は戻ってこない。「一番大切な友達を救えないなら他の者がどうなっても構わない」と発言していた東郷さんにしても、散華の影響がなくなりつつある今、記憶を取り戻したその時に、改めてこの言葉と向き合う時が訪れるはず。
何より神樹様が勇者に供物を課さなくなったとしても、世界の真実は何一つ変わることなく、今も厳然とそこに在り続ける。勇者としての務めが終わった友奈達にしても、世界の真実を知った以上、それと向き合うことからは逃れられない。故に勇者たちに捧げた供物が戻り身体能力が回復したことは、神樹様が元勇者の人間に課した新たな試練と取ることも出来るのではないかと思った。そしてそれを果たすための一つの行動が「勇者部」としての活動なのかもしれないと。
いずれにしても結城友奈を中心とした勇者たちの物語は、これ以上ないくらいの幸せな結末を迎えることが出来た。それが何よりも嬉しいし、やっぱりハッピーエンドの結末は視聴後の爽快感も良いものです。演劇の最後に友奈がフラついた時はどうなることかと凄い焦りましたけどね。ここまで上げておいて最後に落とす気か!とね。友奈と東郷さんのイチャイチャっぷりもこれでもかってくらいに見せつけられて最高でした。
最後に「結城友奈の章」と出たことは気になると言えば気になる。今後如何様にでも展開出来るし、世界の真実がああなっている以上、後任の勇者たちは絶対に必要になる。しかし勇者としての友奈達の話はひとまずこれで決着した。この閉じられた世界の中で彼女たちが今後何を為し何を掴みとるのか。それが少しでも幸せなものであることを願ってやまない。

終わってみれば本当に早かった!この作品が始まる前に公式サイトで情報を見た時は、たまに戦いはあるけどメインは日常。そんな甘い考えを持つ自分がいた。その辺に関しては1話と2話の感想でも言った気がするけど、当初は勇者部の活動の方に重きが置かれると信じて疑わなかった。
しかし始まってみれば重い重い。特に中盤から終盤に掛けて勇者システムや大赦の実情、そして世界の真実が次々に明かされていく展開は中々に辛いものがありました。秋アニメの中でも最も後発、またスロースタート気味な序盤の展開もあって最初の頃はそこまで話題になっていなかった気もするけど、最後の方は他のどのアニメよりも盛り上がりを見せていたように感じます。
外伝の使い方も効果的で、知らなくても問題はないけど知っていれば更に作品に深みが増す。また解釈の仕方が変わってくる部分が多数あるところも面白いなーと感じたところです。こうなると『鷲尾須美は勇者である』もアニメ化してくれないかと思ってしまう。やるなら是非とも見てみたいです。
最後の結末に関しては賛否両論あるだろう。しかしオリジナル作品でここまで挑戦的な作りにしたこと自体に自分は賛辞を送りたい。そしてこの三か月の間、毎回のようにドキドキハラハラを与えてくれた今作に感謝したい。スタッフの皆様、本当にお疲れ様でした!
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ハッピーエンドを迎えられて良かった…
救いの無いラストを回避できて胸を撫で下ろしています(^^)
ただ、そこに至るまでの過程の描写には釈然としないものが;
その点まだちょっと整理がつかなくて、作品としての評価には悩みます…
でも、日常ものかと思わせて引っくり返す開幕から急転直下のハッピーエンドまで、意表を突いた展開の連続には引きつけられっ放しでした!(^^)