冴えない彼女の育てかた #03「クライマックスはリテイクで」むしろヒロイン側が倫也を育成しているような気すらする。
果たしてこれで無事に軌道に乗っていくのだろうか。




迫る締切、いつまで経っても真っ白な企画書。まるでいつも感想を書いている時の自分を見ているような錯覚すら覚える倫也の作業の進捗でありましたが、それもひとえに彼が描きたいと思うことに具体性が伴わないが故ではなかろうか。
理想の女の子との運命的な出会い。倫也が再現を望むのは衝撃的なそのワンシーンのみであり、その女の子が何を思いどのように考えて動いているのか。どのような過程を経てその出会いに至ったのか。その具体的な中身がない。具体性が伴わないから中身を煮詰めることも叶わない。英梨々や詩羽が駄目出しを行うのもこの具体性に欠けると言う点が決定的な要因とすら思える。
当然と言えば当然かもしれないけど一つの作品を作り上げるためには主人公側の視点だけでは駄目なのです。ヒロイン側にだってそれまで築き上げてきた個性なり生き方なり積み上げてきたものがある。それら全ての登場人物の背景を総括して出来上がるのが作品。ヒロインは決して主人公にとって都合の良い駒ではない。彼女達だって自分で考えて生きている。それは無視して通れない。
では倫也は運命を感じた相手の中身を見ようとしていたかというと必ずしもそうではない。前回の恵とのやり取りで倫也は恵に対し「キャラが死んでいる」と評したが、それは恵という人間を正面から見ようとしなかったことの表れとも取れる。自分が運命の出会いを感じた相手がこんなに凡庸であるはずがない、とゲームや漫画で培った属性を必死に当てはめようとしていた。加藤恵という個を見ようとしていなかった。
今必要なのは知ることではないかと思うわけです。今まで存在すらまともに認識していなかったけど倫也が運命を感じたのはそんな恵。倫也が認識してなくても加藤恵は一人の人間としてこれまで様々なことを考えながら生きてきて今の人物像を形成するに至った。そしてその中に倫也は光るものを見たわけで。
ヒロインの育成という観点から見ても、ないものを新しく追加するのではなく、倫也が魅力を感じた「何か」。それを引き出し最大限に高めることこそが肝要なのかなと思った次第。そしてそのためには恵という個人をもっと深く知り理解する必要があるだろうと。生い立ち、背景、家庭事情等々。諸々含めてですね。
むしろ先に倫也を理解しようと歩み寄りを見せてくれたのが今回の恵でありました。彼の求めるヒロイン像を再現し、そのために英梨々や詩羽の協力を請う。ちょっとした茶目っ気もあり意外な行動力もある。これもまた加藤恵という人間の一面。一つの個性であろう。それは新しく追加された属性などではなく元々彼女が持っていたもの。倫也にとっても一つの発見であったのではないかな。
自分を理解しようと歩み寄ってくれた恵に応えなければ嘘になる。煮詰まる倫也に対して発破を掛けに来てくれた英梨々と詩羽にも応えねばなるまいて。今回はむしろヒロイン勢が倫也を育成していたと感じたのはこの辺の事情も相まってのこと。ここからは主人公らしくビシッと決めていく倫也の姿が見られると信じてる。
何はともあれ同じサークルに所属しゲームを作るという一つの目標に向かう点からも互いの相互理解は必要不可欠。色んな意味で互いを知ることは大事なんじゃないかなーと思わされた第3話でありました。


メインヒロインらしく堂々とした振る舞いで存在感を放ちまくっていた今回の恵さん。
と思いきや英梨々や詩羽と同席すると途端にステルス性能を発揮して埋没する姿に安心してしまう。
目立つのも良いけどやっぱりこのモブっぽさは堪らない。抜群の安定感は今回も健在でありました。
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