日刊アニログ

アイドルマスター シンデレラガールズ #05「I don't want to become a wallflower」

先に選ばれた者と選ばれなかった者。
歩む速度は違っても確実に前へと進んでいく。

---

明暗分かれたユニットメンバーの選出。スタートラインは同じなのに歩む速度に明確な差が出始めたことで、メンバー間に温度差が生じるのは自然。ともすれば目を背けたいメンバーの不安や不満と言った負の部分を避けずにしっかりと時間を掛けて丁寧に描いてくれたのが好印象。また選ばれなかったメンバーの本音を、選出されたメンバーが聞くシーンを数回挟み、卯月たち選出メンバーが次第に選ばれたことの重みを実感していく様子も描かれていて、全体的に非常に纏まっていた話だったと思う。

今回は選ばれた側と選ばれなかった側を二つに区分し、同時進行させながら対照的な様子を描くことで、より両者の温度差が見える構成になっていたように感じる。互いに相手側の様子を見ることで影響を与え合い、変遷していく彼女達の姿の描き方が本当に素晴らしい。どちらにも見せ場があり、それが次のステップアップに繋がっているのも見事です。

最初は選ばれたという事実を純粋に喜んでいた卯月たちも、実際にデビューに向けて動き出す中で変化が生じていた。それに拍車を掛けたのが、不選出メンバー達のデビューに対する強い思い。それを受けて選ばれた重みを実感する。その変遷が見て取れる作りになっていて本当に良かった。

一方でその卯月たちの姿を見て、みくを筆頭に選ばれなかった側も影響を受けていたのは見逃せない。莉嘉やみりあのように最初は気楽に構えていた者も、確実に前へ前へと進んでいく選出側の様子を見て次第に不安な様子を見せ始めるところは印象に残る。デビューという当面の目標に向けて進んでいる実感が得られない不安。何故自分たちではないのかという不満。そういう感情が凄く出ていた。

そして極めつけはみくの爆発。ここ数話で誰よりもデビューに対して強いこだわりを見せていた彼女の見せ場。みくの叫びは選ばれなかった側のアイドル全員の意見を集約した代弁者としての叫びにもなるが、みくがデビューに並々ならぬこだわりを見せていたことは、シンデレラガールズにとっても周知の事実。故にその叫びの重さが響くようになっていたのではないかなと感じたわけです。

武内Pが語ったようにタイミングや諸事情があっての選出。しかし選ばれる側であるアイドルにとっては、それだけで割り切れるものではない。普段以上に困惑する様子を見せていた武内Pの姿も、アイドルとの間に生じる齟齬を感じさせるのに一役買っていたように思えます。

何にしても本当にアイドル作品で避けがちな負の面を正面から描いてくれて嬉しくなりました。他のメンバーも自分たちの後に続くという事実は、先頭を切る卯月たちにより責任感を持たせる一助となっている。デビューに不安な様子を見せていた美波を鼓舞するという点からも、上手く影響を与える作りになっていて本当に感心しきり。

選ばれても選ばれなくても互いに影響を与え合う掛け替えのない存在。デビューの時期に差はあれど、彼女たちは「シンデレラプロジェクト」という枠の中にいる仲間同士なのだなーと思わされたのです。





今回も唯一、選ばれるとか選ばれないとかそういう観点からは外れたところにいた杏ちゃん。しかしストライキと聞いた途端に誰よりも張り切る杏ちゃんマジ杏ちゃん。ストライキの趣旨を知るや否や迷うことなく一抜けするマイペースっぷりには貫録すら感じたよ。

そんな杏ちゃんですら思わず聞き入ってしまうのだから、みくにゃんの叫びが如何に真に迫っていたかということを感じられるではないか。地味に大きな役割を果たしていたと思うんだ。


にほんブログ村

関連記事

• アイドルマスター シンデレラガールズ 第7話「魔法が解けて再スタート！プロデューサーもまた共に頂きを目指す一人なのだ」
• アイドルマスター シンデレラガールズ 第6話「一難去ってまた一難！？未央がリーダーとして頼もしい姿を見せていたかと思いきや…」
• アイドルマスター シンデレラガールズ 第5話「選ばれなかった側にも意地やプライドはある！一日でも早く全員がデビュー出来ると良いね！」
• アイドルマスター シンデレラガールズ 第4話「PV撮影を通してのメンバー紹介！各キャラに次第に愛着もわいてきた！」
• アイドルマスター シンデレラガールズ 第3話「堂々たる初ステージ！本番までの緊張感の高め方が素晴らしかった」