幸腹グラフィティ #10「はもはも、みちちっ。」新生活への不安は誰もが抱くもの。
それでも前向きに物事を捉えることが肝要。




春は出会いと別れの季節なんてよく言ったりしますが、人や物が盛んに動く年度の変わり目を前に、節目を迎える人にとっては色々と心中が複雑になる季節でもあったりするわけです。特に進学進級、就職などを控えている者にとって環境が劇的に変化することに対し、期待よりも不安の方が大きいという人の方が多いのではなかろうか。
そう考えてしまうのは他でもない自分自身が、環境が変わるごとに対人関係で苦労してきたからというのもあるのかもしれないのです。だからというわけではないんだけど、今回ようやく本筋に絡んできた名前の通りに内気で対人スキルに難のある内木ユキや、何事に対しても不安に感じてしまうきりんの気持ちもよく分かるのです。
これまでの回でも所々で出番があって気にはなっていたリョウの部屋の下に住んでいるユキとの思わぬ形での交流。その出会いはきりんの落下という偶然に近いものでありましたが、得てして人と人との距離がグッと近づくのはこういう偶然からの始まりというのもよくあることなのではないかと。対人スキルに乏しい者なら自分から積極的にいけないし尚更ですね。
そして人見知りで自分の意見を主張できない者が積極的になるのに必要なものは…。と考えた時にやはり自分の得意分野や興味のあることに相手を引き込むことなのかなと。何かきっかけが一つあれば一気に近づくチャンスとなる。偶然だろうと何だろうと相手から自分の得意分野の話を振ってくれればもうこっちのものです。あとは引かれない程度に盛り上がり、少しずつ詰めればハッピーハッピー。
今回その役目を果たしてくれたアイテムが、ユキが偶然注文したピザだったのではないかとね。3食食べても飽きない工夫をするくらいの大好物。ピザを食べた途端、それまでとは打って変わり嬉々として語り始めたユキの何と輝いていたことだろうか。
椎名ママ以外で初めてリョウときりんの食レポに対し普通の反応を示してくれたと思ったユキが、実はリョウ達と対して変わらない同類の人であったと分かった時の何とも言えないシンパシーが堪らない。少し前までの自分と同じ境遇にあると知り、誰かと食べることの大切さをユキに説くリョウの姿も見受けられて、ここ一年でのリョウの変化も分かりやすく見て取れるようになっていたのかな。
お近づきのキッカケが偶然。でもその後はやっぱり自分次第なところもあって翌朝に顔を合わせた時にした挨拶。些細なことかもしれないが、ユキにとってはこれまでにない大きな変化。少しずつ積み重ねていけば気づいた時には自然と距離も縮まっているだろう。人間関係ってそういうもんではないかな、かな。
実家に帰りたいと零すくらい孤独で寂しかったユキの心にも、季節に合わせるかのように日が差し前向きに歩み始めた。今後の再会を示唆するような最後のシーンも含めつつ、リョウ達が無事に受験を乗り越えて新しくも楽しい出会いに恵まれることを願ってやまない。春はもうすぐそこまで来ているのだ~。

ナーバスになってるきりんの気晴らしのためにパーッと楽しめる映画として、リョウが選択したのがホラー作品というのが、意外といえば意外でビックリ。むしろきりんがこういうのを面白がってリョウが嫌がるというイメージが何となくではあるけど自分の中にあったのですよ。でもこういうのが一つのキッカケになったりすることも…あるのかもしれない。功を奏したかはともかくリョウの気遣い自体が有り難いものなのですよ。
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