アイドルマスター シンデレラガールズ #16「The light shines in my heart.」自らが理想とするアイドル像を否定した先に光はあるのか。
個性も多種多様ならば輝き方もまた人それぞれ異なる。




まだまだ常務の改革の余波冷めやらぬ美城プロ。常務が中心となり推し進める既存のイメージからの脱却を図る趣旨のプロジェクトと、プロデューサーとシンデレラプロジェクトのメンバーを中心にあくまで既存のスタイルを貫き、アイドル個人の個性を重視する真逆のプロジェクトの二つが、プロダクション内で同時に並行する事態に発展。
前回も感じた通り分かりやすい対立の構図を作りだし、そこに異なる二つのプロジェクトの進行を当て嵌めることで、シンデレラプロジェクトの面々だけではなく、プロダクション全体のストーリーを描こうとする意図を改めて感じることが出来る。
今後の話は既に不動の人気と地位を築きアイドルとしての自らの在り方を確立している楓と異なり、目指すべき場所と己の在り方を未だに見定めることが出来ていない微妙な立場に置かれているアイドル達を、特徴毎に切り分けて、自分たちの個性と向き合わせた上で、目指すべき方向性を見出していくお話になっていくのかなと思ったりしたのです。
アイドルの輝き方や魅力はまさに千差万別でこれといった決まりはない。歌唱能力に秀でている者もいれば、ダンスパフォーマンスに優れているものもいる。それらの能力に乏しくとも人間的な魅力で人を惹き付け、輝きを放つ者も居る。画一的な正解と出来る回答は存在しない。
今回は自らにキャラ付けを行うことでアイドルとしてやっていこうとする者達に焦点が当てられており、シンデレラプロジェクトからはアスタリスクの二人、そして外部のプロジェクトメンバーからは安倍菜々に焦点を当てることで、常務の目指す方向性とは真逆の「個性」を重視するスタイルを、より顕著に感じることの出来る話の構成にもなっていたと思う。
所属するプロダクション側から方向性の変更を打診され、思い悩み自らのスタイルを曲げようとすることが本当に正しいことなのか。本当にそれで良いのか。これまでアイドルとして活動し、自分が積み上げてきたもの全てを否定して進んだ先に、果たして輝きを放つ自分は存在するのかと。
作った「キャラクター」を一つの売りとして、ファンとの一体感を作り出し輝いてきた菜々やみくだからこそ、「個性」に対する思い入れ、そして向き合い方や突き詰め方は、他のアイドルと一線を画する物があると思う。そんな彼女達だから個性重視のプロジェクトの道を進む前に己の在り方と向き合い、その覚悟を示す存在として、これ以上相応しいアイドルもいない。
今回のみくや菜々の描写と活動は、アイドルとしての人気と地位を確立出来ていない多くのアイドル達の先陣を切る意味合いもあったのかなと。前回の楓さんが自らの姿勢と行動で語ったように、アイドルとしての自分のキャラクターを殺し、方向性を変えてまで続けることに意味はあるのか。その問いに対する一つの回答を示した回でもあったと思います。


共に所属するアイドルに向かって通達を行う似たような構図のシーン。部屋の上座から一方的に通達を発するだけの常務派と、下座からアイドル達に向かって互いに協力していこうと訴えるプロデューサー。双方が主張するプロジェクトの方針の違いや姿勢が画にも表れているのが面白いなと感じたところ。


今回はみくとプロデューサーが意思の疎通を図るシーンが何度か見受けられたのが印象的。序盤の頃は特にプロデューサーに意見を進言しても曖昧な回答しか返してもらえず、不安を募らせた末にあの立てこもり騒動を引き起こした張本人でもあったのが、かつてのみくにゃん。
それだけに自分の提案をプロデューサーに肯定してもらい、即座に皆へ相談するという具体的な行動を伴うレスポンスに対するみくにゃんの本当に嬉しそうな笑顔と姿が目に焼き付いて離れない。こういう関係性の変化というか微妙な感情の機微に関しては、本当に丁寧に描写されている作品だと改めて感心した次第です。


子供の意見って残酷だけど的を射ていることも多い。あの人誰と全く興味を見せなかった子供が、菜々がウサミンキャラを発動した瞬間に虜となり魅入る。キャラが付くことでファンからの覚えは良くなり、そこから派生するネタはファンとの間に繋がりを生じさせ、親しみやすさと一体感を生みだす。
常務の方針はこれらを切り捨てようとしているとも言える。何が正解かは分からない。孤高の存在、スター性に溢れるアイドルに需要はあるのかもしれない。しかしこれらの事実を無視して進んだ先に、果たして正解はあるだろうか。進むべき方向性は意外と身近なところに存在しているかもしれないかもというお話。
あと全然本編と関係ない話になりますが、みくにゃんではなく制服を着て眼鏡をかけた普段の「前川みく」さんは本当に魅力的だと全力で主張したい。ただそれだけ(笑)
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