アイドルマスター シンデレラガールズ #24「Barefoot Girl.」自分の意思で決断し上がったステージで多くの人を魅了する。
人を惹き付け魅了するアイドル島村卯月の笑顔は彼女だけが持つ強み。




卯月が今一度原点に立ち返り、そして確かな決意を持って大きな一歩を踏み出した回。最後のライブは当然見応えがありましたが、そこに至るまでの緻密かつ丁寧な描写がライブシーンをより力強いものへと昇華させていたように映る。悩み苦しみ立ち止まって俯いて。それでも必死に前を見据えてステージに立った卯月の姿が頼もしく何よりも美しかった。
ステージに再び上がる前に笑顔だった頃の自分はどうしていたのか。アイドルになろうと思ったあの頃の気持ちはどうだったのか。シンデレラプロジェクトの面々との交流と今は空っぽになった部署の部屋。そしてスタッフとして参加したライブの会場を再度訪問することで改めて自分と向き合おうとしていた。それでもなお答えが見出せなかったのが一つポイントだったのかなと。
普段通りに接してくれる未央や、優しさと厳しさの両方で復帰を歓迎してくれたみくを始めとして、ここで正規メンバーがプロジェクト参加に対する不安や、アイドルとしてやっていけるのかという不安。抱えていた心情を初めて語ったのは印象的。しかしそれでも卯月の顔に笑顔は戻らず、下を向き俯いている姿も変わらない。前を見据え未来への展望を語る皆と卯月の姿はあまりにも対照的。
プロジェクトの正規メンバーだろうと補欠だろうと抱えていた不安は同じなのだと分かっても、もうそれだけでは今の卯月を立ち直らせるには至らない。一度失ってしまった自信と本来の自分の姿、アイドルとしての在り方を取り戻すことは容易ではない。周りで支えて背中を押してくれる仲間が居たとしても決断をするのは卯月自身。だからこそ卯月自身が強い意思を持たなければならない。
その決断を迫り道を指し示す最後の手助けをする役割をプロデューサーが果たしてくれたのが良かった。ペンライトを持ち、その光で卯月を先導する姿はさながら灰被りの娘を導く魔法使いの役目のように映るけど、出会った当初と今ではあらゆる点が違う。もう導かれるまま流されるままに進むのではない。
卯月は自分に魔法をかけてここまで導いてくれたプロデューサーに対して心に秘めた思いを包み隠さず全て吐露し、凛や未央と同様にプロデューサーも卯月の笑顔の魅力を今一度説く。お互いに胸の内を明かしあい、その上でプロデューサーは方向性を示し、卯月は自分の意思で決断をした。進むことを決めたのは他の誰でもない卯月自身の強い意思なのだ。
そして自らが選択し再び立ったステージの上で、仲間とファンの声に後押しされ、本来在ったはずの最高の「笑顔」を取り戻していくというライブが、それまでの過程があるからこそより力強く映り、アイドル島村卯月の拠り所の復活に強い説得力を伴わせていたようにも映る。
ステージに立ち歌う中でアイドル島村卯月の最大の魅力を、「笑顔」を取り戻す。もがき苦しんできた様々な葛藤をステージ上で歌うことで一つずつ解放していく感覚。凛と未央が見守る中、一人でステージに立ち、やり切った卯月の姿は、彼女がかつての笑顔を取り戻し、他の皆と同様に行く先を見据えて独り立ち出来たことを意味していたように映った。
これで本当の意味で卯月は凛と未央に並び立つことが出来たのだと。理屈以上に感性で。下を向き俯いてばかりだった卯月が最高の「笑顔」で正面を見据える。小手先の修正や立直りではなく、あくまでステージ上で失ったものを取り戻したところに、アイドルを題材にしている本作の真髄を見たような気すらします。
それくらい卯月のライブシーンに惹き込まれたし、それを納得させられるだけの下地の形成と丁寧さ。そして力強さがあった。彼女の代名詞とも言える「S(mile)ING!」の曲名と、そこに込められた歌詞に、これまでの経緯が加わることで更に魅力のあるものへと昇華させれていて、本当に最高で堪らんかったです。
煌びやかな専用のライブ衣装ではなく普通の学校の制服でステージに上がったのも、灰被りの女の子が光り輝く存在になれることを示唆していたのかなと。言うなれば今回の卯月の姿そのものが、プロデューサーの掲げる「パワーオブスマイル」を体現するアイドルとしてあの場に立っていた。これがシンデレラプロジェクトの一つの結果、成果の証明でもあったと思う。
型に嵌った特別な才能や資質に捉われずに一人一人のアイドルの個性を重視する。涙混じりの最高の笑顔で歌う卯月が輝いていることは、会場にいたファンの反応が雄弁に物語っていたわけで。部長の強い言に圧されて見に来ていた常務は、果たしてこれを見て何を思うか。卯月の笑顔がこれまで皆を救っていたように、彼女の笑顔が舞踏会に向けて一つの光を差したようにも思える。
ともあれ今よりも先へ進む決断をする時は勇気がいるし、その決断の瞬間は一人きりかもしれない。でも踏み出した先は一人ではなく、不安も喜びも分かち合ってくれる仲間が居る。乗り越えてやり遂げた卯月は、今ようやく他のプロジェクトメンバーに追いつき並び立った。今度は喜びを苦労を共にした仲間たちと分かち合う時なのだと。
様々な苦労や挫折を味わう中で、アイドルとしての在り方に悩み苦しみ、それらを乗り越えてきたシンデレラプロジェクトのメンバーが再集結を果たす。サマーフェスの時以上に力を付けて心を一つにしたアイドル達が一同に会するシンデレラの舞踏会。もう不安も迷いもない。仮にあっても横に居てくれる皆が分かち合ってくれる。あとは歓喜の瞬間を迎えるのみ!最終回楽しみすぎるのですよ~。


OPで卯月の顔を覗き込み駆け出して手を差し伸べる未央と凛と、今回ステージに向かおうとする卯月を顔を覗き込み、卯月の手を取る未央と凛の構図が同じなのですね。そして改めて三人の足並みが揃う。細部に渡って細かい仕掛けを施し、一つ一つのカットにもしっかりとした意図を込めて仕上げているのが素晴らしい。
公式サイトのキービジュアルの卯月が笑顔になっているのも堪らんですなぁ。今でこそ当たり前にあるアニメの公式サイトも使い方一つでこうもメッセージ性に富んだ仕掛けとして機能するのだなぁと感心するばかり。本編の話に合わせ作品の演出の一環として取り込むこだわりが素晴らしい。でもランランのコメントとプロデューサーの翻訳はちょっとズルい(笑)
何はともあれ一度は失い艱難辛苦を乗り越えて再び取り戻すことの出来た卯月の笑顔。悲しい涙が伴う話はここまでだ!紆余曲折を得てようやく辿り着いたシンデレラの舞踏会への入り口。もう最高の最終回になる予感しかない!一週空くとしてもただただ楽しみに待つばかり。でも早く見たい!
にほんブログ村
- 関連記事
-