アイドルマスター シンデレラガールズ #25「Cinderella Girls at the Ball.」夢の舞台であるシンデレラの舞踏会は一つの到達点なれど終着点に非ず。
更に輝くための道程は一つではなくアイドルとしての可能性もまた無限大。




物語的には今回が最終回なんだけど後日談的な内容も多分に含まれていたが故に、物語の盛り上がりとしては前回が最高潮であった感じは正直ある。色々と悩み苦しんだ末に主人公である島村卯月とニュージェネが一つの答えに辿り着き、プロデューサーの提唱するパワーオブスマイルを体現する存在として成立した瞬間に、魔法が解けて復活を果たすシンデレラの物語は一つの終着点を見ている。
でもそこで終わりではない。その先も道は続き時は止まることなく流れ続ける。一つの可能性が実を結んだとしても、その可能性だけが全てではない。一つの目標に到達し分岐点に差し掛かった時、より輝きを放ち更に高みへと昇るためにいかなる選択をするのか。後半クールを通して描かれてきた自分の意思による選択。後日談の皆の様子はそのテーマに対する一つの回答のようにも映る。
特別な物を何も持たない普通の子が、魔法の力を借りて一度目の舞台に上がる。前半クールはアイドルになるまでのその過程を描いていた。だけど魔法はいつか解ける。魔法だけに頼ったままでは夢のような時間もその時に終わりを告げる。だから夢の続きを見るためには強い意思と覚悟が必要なのだ。キッカケは魔法でも夢は自分の力で掴みにいくもの。
故に強い意思に基づく可能性の選択の意義を説いていたのが後半クールだと思う。シンデレラの物語として見た場合、復活を遂げた前回の卯月達の話までで一つの決着を見ている。だから個人的には前回の話に最高の盛り上がりを感じたのだと思う。でもそこで終わりではない。お城に戻ってきたシンデレラのその後はどうなるのか。それが後半クールを通して問われてきたことでもある。
個々のアイドルに対する総括は既に前回までで終了している。だから最終回でもある今回はシンデレラプロジェクトの面々にとっては集大成の場でもあったけど、クローネや他のプロジェクトも含めて、むしろ「今後」どうなっていくのかの方に比重を置いて重視していたのかなと。そういう印象を受けました。
数多くのプロジェクトのアイドルが参加したシンデレラの舞踏会の内容が示していたように、プロデューサーと常務が掲げていた理念は、どちらが正しいわけでも間違っているわけでもなく。一方の側から見えるものもあれば見えない可能性もある。画一的な正しさや方法などない。ライブだけに留まらない多様性に溢れる企画がファンに受け入れられたように。可能性は無限大なのだ。
肝心のライブシーンは思っていたよりは短かく止め画も多かった。ただシンデレラプロジェクトで見ると、ニュージェネ以外の面々は各担当回で乗り越えた先の姿まで描かれていただけにね。その先の姿がまだ描かれてなかったニュージェネと、メンバー全員のライブを動かしたのは、メンバーの「今後」をより強く意識させる意図があったと思う。故に見せるべきところは見せていたのかなと。
個人的には前回で一つの到達点に達した卯月とニュージェネの「その後」がどうなるかは見たかっただけに、そこを外さずにやってくれたことは素直に嬉しい。初めてステージに立った第3話の時と同様に飛び出す演出。しかしあの時と違ってステージ上の主役は卯月・未央・凛の3人である。満員のファンを前にやり切った3人の笑顔は格別でありました。高揚を抑えきれないプロデューサーの顔もまた良い。
舞踏会は一つの区切りだけど、そこが終着点ではなく通過点の一つでもある。新しく見つけた道を邁進する者、新たな可能性を切り拓こうとする者。更に輝くために挑戦し歩みを止めずに進み続ける。しかし例え歩む道は違えども思いは同じで繋がっている。そんな彼女達の姿を見られたことが嬉しく安心する。最後に再集結した彼女達の姿は、より強い輝きに満ちていた。
シンデレラプロジェクトも無事に存続し、次なるシンデレラガールを迎え入れる準備が進められていた。下からステージを見てプロジェクトの存続を認めたであろう常務改め専務。常務の考え方に一定の理解を示したプロデューサー。アイドルだけでなく支える側である彼らもまた新たな可能性を見つけて歩み始めた者達と言えるのかもしれません。やっぱりプロデューサーもシンデレラに連なる一人。
階段の上で出会う三人、ガラスの靴を拾い上げるプロデューサーのシーンを筆頭に、ライブの入り方にしても全ての始まりである1話を意識した演出が至る所で為されていて、その部分においても彼女達の成長と変化を実感することが出来た。一つの成果を示しつつ、この先へ向かう彼女達の展望を描く。総じて描くべきことはしっかりと描けていた最終回だったのかなと思います。

紆余曲折を経てデビューを果たし、サマフェスで無事に成功を収めたところまでが前半クールの内容だっただけに、アニマスと同様に後半は一気に駆け上がって終盤で何かやるのかなと思っていたので、そういう意味では予想外でもありました。それだけにアニマスとはまた違ったことをやろうとする制作側の意気込みのようなものも同時に感じていました。
特に後半からはシンデレラプロジェクト以外の多くのアイドルも本格的に参戦し始めただけに、焦点がぼやけて分散するんじゃないかと心配もしていたのです。ただ本編感想で触れた通り、様々な可能性の模索というテーマの元、毎回各アイドルごとにやるべきことをやって、終盤の卯月の展開に繋げたのは見事だったと思う。
個人的には終盤にかけて行われたしまむーとニュージェネ関連のエピソードだけでも見た甲斐はあったと思ってる。思っていたより重い展開が続いたけど、最後の最後で報われて良かったなぁと。月並みすぎるけどこんなことしか言えないよう。
また自分はアニメから入った組で本作に出てくる数多くのキャラを覚えられるか心配だったけど、終わってみれば思ったよりは覚えられたかな。シンデレラプロジェクトのメンバーは覚えたし、他の部署の子にしても大体は…。それでも元々本作を知っていた人と比べたら、本作の魅力の半分も享受出来ていないのかも。そこはゲームをやってなかった自分の怠慢もあるけど少し悔しい(笑)
開始当初に思っていた以上にのめり込み、毎回の内容の濃さも相まって、無駄に長くなって途中から持て余していた感もあったんですが、形はどうあれ最後まで完走出来て良かった。序盤の頃はもっとアッサリ風味だったのに本当なんでこうなった。もうちょい簡潔に出来たら良かったなぁ。
何はともあれ分割2クールの長丁場。最後に少し間隔が空いてしまったけど製作スタッフの皆さま、本当にお疲れ様でした。アニマスとは違った切り口からのアイドルストーリー堪能させて貰いました。普通の子でも輝くことは出来る。アイドルものの原点にして最大級の希望。それを根底に置き丁寧にやってくれたことに感謝しかないです。
最初は何とはなしに言っていた感のあった笑顔という言葉に、最後は強い説得力とそこに込められた深い意味を伴わせながらの素敵な終わり方。心からの笑顔って本当に素晴らしい。夢のような時間をありがとうございました!
にほんブログ村
- 関連記事
-