この素晴らしい世界に祝福を! #04「この強敵に爆裂魔法を!」異世界でのご近所トラブルここに開幕!
完全にペースを乱されるデュラハンの人には同情する他ないのです。



当面の活動資金にも目途が立ち、装備も一新、新たなスキルも習得。しかしそれでも最初の街からは意地でも出発しないぞと言わんばかりのカズマさん御一行の滞在は続く。それどころか主人公カズマは仲間たちの行動によって心労が加速し、早々に魔王討伐を諦めて変わらない日々を謳歌し始め、遂には業を煮やした魔王軍の幹部デュラハン自らが先陣を切って街に攻め込んでくる始末。
魔王軍の強者が街に攻め込んでくること自体は良いのです。最初の街や村を魔王軍の幹部、時には魔王自らが出向いて滅ぼすなんてのは、王道ファンタジーにおいてしばしば見られる光景である。しかしその襲撃の理由は、例えば主人公含め特別な力を継承する少数民族を滅ぼすためだったり、その地に眠る伝説の武器を破壊するためだったり。いずれにしろ後顧の憂いを早めに断っておくために行われるのが大半なのです。
しかるにその魔王軍の理不尽とも言える所業は、時に主人公の原動力になったりもするのだが、本作ではむしろ全てが逆になっている。まずもって理不尽な所業を繰り広げているのは魔王軍ではなくカズマさん御一行の方であり、彼らの所業によって苦しめられているデュラハンの人に同情したくなってしまう。今回だけを見れば彼はめぐみんによって日々繰り返される騒音トラブルの被害者でしかない。
カズマはカズマで異世界や冒険に対する憧れや浪漫といった感情は既に消え失せており、強敵と相対したからといってそこにワクワクドキドキと言った感情は発生しない。むしろどんな時でも無茶をやらかし変態行為も辞さない仲間の行動や言葉を内心「理解したくない」と思いつつ、ペースを乱され困惑を隠せないデュラハンに憐みにも似た感情を向けている。もうここが面白くて仕方がない。
死に直結する呪いを掛けられて一応シリアスやっているはずなのに、状況を俯瞰して合いの手を入れて来るカズマや、安定の変態っぷりを発揮するダクネスによって全くそれらしくならない。むしろそれらは真面目に振る舞おうと努めるデュラハンとの落差を生じさせ、彼の哀れさをより一層引き立たせている。どこまで行っても主導権は終始カズマさんサイドに在るのだ。
今回は言ってしまえば新しく引っ越してきた先で近隣住民の騒音トラブルに巻き込まれた男が、釘を刺しに行ったら訳の分からない対応をされた挙句、刺したはずの釘を本人の与り知らぬところでアッサリ外されるという何とも救いのない話だったのではないかと。異世界を舞台にしながら直面したのはまたしても現実的なご近所トラブル!まったく、夢もキボーもありゃしない!
また珍しく本職要素で役に立ったアクアの呪い解除は、結果として勝手に盛り上がっていたカズマとめぐみんのやる気を削ぐという空気の読めないものになってしまっていて、役には立っても実に彼女らしい残念さを内包している。諦めの境地に達していたカズマが抱いた僅かなワクワクドキドキの感情を知らぬとは言え無慈悲に奪い取ってしまった駄女神様が流石すぎるのです。
本来であれば夢や希望に満ち溢れているはずの最初の街なのに、出発前にどこか「諦観」の境地に達している主人公と敵幹部。そんな異世界ではあっても現実である以上、容赦なく降りかかるこの世の不条理を改めて感じさせられた回なのでした。めぐみんの爆裂魔法が魔王軍どころか街の衆にすら騒音扱いされていたところなんか妙にリアルで現実的。爆裂魔法、使用するのも一苦労。



金を持っていると知った途端、馬鹿にしているカズマさんに媚び始める安定の駄女神アクアさんでしたが、今回は駄女神なだけでは終わらない!無駄に高いアークプリーストの治癒能力を如何なく発揮して初めてまともに役に立ったわけなのだが、しかし内職や野菜売りに明け暮れ宴会芸を披露している姿の方が輝いて見えるのは何故なのだろう。
穀潰しと言われ日々いびられながらも懸命に生きているポンコツ駄女神アクアさんは、駄目であるからこそ光り輝く不思議な魅力を兼ね備えた逸材なのです。しかし馬小屋で内職するのにも一切の抵抗なく順応している辺り、ある意味作中キャラで一番タフなのアクアさんですよね。打たれ弱いけど立ち直るのも早いし(笑)
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