この素晴らしい世界に祝福を! #05「この魔剣にお値段を!」留まるところを知らないカズマさんの鬼畜な所業の数々。
鬼畜パーティーに振り回される正統派勇者と魔王軍幹部に明日はあるのか!?



転生時に憧れ夢見たはずの異世界での冒険などとは全く縁遠く、降りかかる厄災は元居た世界以上に現実的なものばかり。すっかり擦れてしまったというか元から持っていた一面が現実的な要素により刺激され表出し始めたというか。今まで以上に誰に対しても遠慮がなくなり、正統派とは程遠いカズマさんの鬼畜な所業が際立ち始めたように感じる。
浄化クエストのためにアクアを檻の中に閉じ込めて半日近く自分たちは何もしないで見守り続ける。これ自体が冒頭でカズマが語っていた理想の勇者像とは真逆を行くもので賞賛とは無縁の行い。事情を知らない者が傍から見たら、むしろ非難しか飛んでこないような鬼畜な所業。街へ帰還した際の哀愁漂いまくりなアクアの憔悴しきった姿が、そのイメージを更に強くしてくれる。
そんな彼らに直接物申す人物として現れた正統派勇者っぽいミツルギは、冒険者として常道を外れるカズマ御一行の所業に苦言を呈すると言う意味で、前回のデュラハンさんと似た役割を担っている。しかし、最も異なるのは彼がカズマと同じ境遇の異世界転生組でありながら、あらゆる点でカズマとは真逆であり、カズマの理想の冒険者像をそのまま体現している存在であることだろう。
イケメンで周囲に称えられ戦うための真っ当な力を持っているファンタジー世界における王道の勇者像。しかし主要キャラが奇人変人で占められている本作においては、彼の王道っぽさはむしろ異質なものとして映り浮いてしまう。その証と言わんばかりに普通であれば賞賛を浴びるはずの彼の行動は、カズマ御一行に誰一人として受け入れられることはない。
またミツルギの王道っぽさが際立てば際立つほど自然と彼と対照的な存在であるカズマの行動がより鬼畜なものとして見える。まぁでも自分が望んで止まないものを全て手にした相手から、勘違いによる言いがかりに等しい暴言を吐かれたらね。カズマでなくてもちょっと意趣返ししてやりたくなるのも無理からぬことだろうと思うわけです。そんなことを思う時点で彼らに毒されているのかもしれぬ。
めぐみんのパーティー加入時や今回ミツルギに鬼畜呼ばわりされた際の反応を見ても分かる通り、カズマは割かし街の衆の目や体裁を気にする側面が見受けられるが、その彼が今回に限ってはミツルギと彼のパーティーメンバーの女の子二人に対して男女平等と称するえげつない行為を公衆の面前で繰り広げていた。それだけに今回はいつも以上に彼の「鬼畜」っぽさが際立って見えたのかなと。
スティールをやろうとしたカズマさんの指のヌルヌル加減たるやね。アクアとめぐみんが被害に遭ったカエルのヌルヌル粘液に勝るとも劣らないヌルヌルっぷりで一番力が入っていた。それだけに今回一番見せたかったのは正にこのカズマさんの鬼畜な所業なのだろうとね。彼が敬遠したがる他三人にすら引かれる鬼畜っぷり。やはりカズマはこの一行を率いるに相応しい人材なのだ。
本人以外に使えない魔剣を速攻で売り払って金に換算するところも、現実的かつカズマの情け容赦ない面を引き出していてそこまででも十分面白かったのに、忘れかけた頃に颯爽と再登場するデュラハンさんのオチでもう駄目だった。カズマ一行は半日池に居てその後にゴタゴタやってたので久しぶりに爆裂魔法の騒音から逃れられた一日だったろうにね。
自分の掛けた呪いが既に外されていることなど全く知らず、城で一日中彼らがやってくるのを待ち構えていたデュラハンさんの姿を想像したらあまりに不憫で涙なしではいられない。一度ならず二度までも最初の街に自らの足で出向く羽目になってしまった魔王軍幹部。まともな指摘をする奴ほど振り回される。勇者ミツルギと魔王軍幹部デュラハンさんに憐みを覚える今回のお話なのでした。

水を司る女神らしく宣言通りに池の浄化を成し遂げた仕事っぷりもさることながら、違う意味でもキッチリと仕事をしているアクアさんが流石なのでした。宴会芸スキルを使わなくても魅せるところはキッチリ魅せる!うむ、これは眼福。
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