三者三葉 #05「もうこはんはもうないんですね」実際に体験してみなければ分からないことがある。
知ること、気が付くこともまた一つの成長。



ひと夏の体験を経て少女たちはまた一つ成長していく。ということで今回は体調不良から不慮の事故で小さな怪我を負ってしまった葉子様の代役として、双葉や照を始めとした周りに居る友人たちが、主に薗部さんの企みによってバイト仲間として引き入れられる話だったわけだけど、ここから様々な経験を通して成長していく少女たちの姿と、それを見守り気遣う大人達の姿の両方が見えた気がします。
何事も体験してみなければ分からないという作中での薗部の発言もありましたが、実際に経験してみなければ分からないことや気づけないことも世の中にはあるわけです。大食い趣味から転じて作ることまでやってのける双葉は、その知識も活かして天職とも思える働きぶりを見せますし、照も制服に対して思うところはあるものの、普段通りのソツのなさで接客をやってのけるわけです。
一方で照への対抗心から、始めたばかりの双葉や照が出来る程度のものなら誰にでも出来ると豪語していた西山さんは、実際にやってみると慣れない作業やハプニングの連続から右往左往してしまう。ただここで重要だと思うのは、単純に出来た出来なかったという結果の方ではなく、自分に出来ないことに改めて気づかせてくれた過程の方にあるのではないかと思います。
作業を通して新しい専門知識や技能を得ることは確かに成長と言える。ただ新しいことを得ていなかったとしても、今現在の自分に出来ることと出来ないことをアルバイトという社会的経験を通して身を持って知るということも、また立派な成長と言えるのではないかと思います。身内や友達といった内輪の中ではなく、社会や仕事の中で己の身の丈を知ることも、大人の階段を登る上で必要不可欠なことなのです。
上手く出来ない、でも褒められると心底から嬉しい。そして同じ立場の仲間と共に仕事を成し遂げる楽しさや達成感。薗部に半ば無理やりやらされたこととは言え、これらは彼女が実際に体験しなければ知りようもなかったこと。新しく出来るようになったことは少ないかもしれない。しかしバイトを通して己を知り、未知の感覚を知った彼女は、これまでの彼女とはもう異なる彼女になっている。
それをしてひと夏の経験を通じた西山さんの成長と言ってもいいのかなと。またお店が繁盛する時間帯に、彼女をサポートする形で仕事の上では先輩にあたる葉子様の姿を描くことで、葉子様の成長も感じさせてもくれます。元お嬢という肩書や普段の彼女の言動から、果たして本当にまともに仕事が出来ているのかという疑問は、前々回から付いて回っていたわけです。
しかし実際は双葉や照が危惧したようなことにはならず、後輩の西山さんを気遣いつつもお客様に対してきちんとした接客を行っている。これも元お嬢様だった葉子様がアルバイトを通して身に着けた一つの成長の証。普段の彼女の立ち居振る舞いや、過去の姿をある程度把握した今だからこそ、葉子様が「普通」に働いている姿が訴えかけてくる力も強いものがあるなと感じます。
副題にある蒙古斑は、通常乳幼児に対して用いられるものですが、一方で若者の未熟を指摘する際に用いられることもある言葉でもある。故に今回は十代の少女たちが、初めての経験を通して見せてくれた様々な姿から色々な視点からの成長を実感させられる回であったのかなと思った次第。未だ未熟で経験の浅い彼女達だからこそ、しかし一つの物事から得るものは、成熟した大人たちよりも多いのです。
また今回はそんな大人たちの未熟な少女達を見守る目線も良かった。山路の葉子様に対する対応を見た薗部は甘すぎると指摘するわけですが、それは言った彼女自身も同じだと思います。本人の趣味嗜好を別にして、今回これだけ新しくアルバイトを引き入れたのは葉子様の負担を減らしたい彼女の思いが見て取れるし、彼女なりの気遣いでもあったと思います。
西山さんのフォローをしながらバイト仲間と共に楽しく仕事をする光景。薗部曰く「女子高生たちのキャッキャウフフ」な光景も、幼少期の葉子様を知り、今の彼女の交友関係をそれとなく気に留めていた彼女だから思うところがあったのではないでしょうか。つまるところ西川家の元使用人は良くも悪くも葉子様思いで、彼女に対して甘いのです。前々回も同じこと言いましたが葉子様は愛されている。
ちょっぴり変わり者だけど年長者の薗部さんが見まもる若き女子高生たちの成長の一幕。その過程。新しい経験を得て、ほんの少し子供から大人へと近づいた彼女達。幼児特有の「蒙古斑」を絡めた副題から、そんなことを考えさせらた今回のお話なのでした。それとは別の意味で、ひと夏の経験は少女を大人にするといいますが、それはきっとまた別のお話。



うむ、今週も各キャラの普段とは異なる姿を沢山拝めてありがたい。その中でも元気っ娘双葉さんの格好がハマりすぎていて個人的にツボ。前々回の葉子様の時と同じこと言ってるような気が…。何はともあれ眼福なのです。現場スタッフの魅力だけで集客出来てしまうレベル。
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園部さんのお店でのバイトなんか楽しそうにやってましたね~。
双葉たちにはバイトもいい経験になったでしょう。
夏休みだからてっきりどこかに遊びに行くのかと思いましたが。
双葉のメイドコスも見たかったな・・・